経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

クライアントの信頼を積み重ね その先の顧客との橋渡しを支援 内田嘉彦 TETRAPOT

TETRAPOT 社長 うちだ よしひこ 内田嘉彦

テレマーケティングを通じて、クライアントとその顧客の深い信頼関係(カスタマーエンゲージメント)を築く支援をしてきたTETRAPOT。技術発展が目覚ましい業界において、AIなどの最新テクノロジーの活用と細心のホスピタリティで、次のステージへと躍進する。(雑誌『経済界』2025年5月号「注目企業」特集より)

TETRAPOT 社長 うちだ よしひこ 内田嘉彦
TETRAPOT 社長 うちだ よしひこ 内田嘉彦

ビジネスインテリジェンスで顧客に貢献するサービスを

「心を動かす感動のソリューション」を掲げ、セールスマーケティング支援・コンタクトセンター運営を行うTETRAPOT。自社を「もっとも価値あるカスタマーエンゲージメントを創り上げるCX パートナー」と位置付け、「お客様の満足の大きさが、私たちの未来を創る」という経営方針の下、創業以来成長を続けてきた。近年は幅広い事業を展開しており、通信事業のみならず通販事業や金融事業、公共事業の領域にも場を広げる。社長の内田氏は、事業拡大に当たって大切にしている3つのポイントを挙げる。

「一番大切なのはクライアントさまのニーズです。私たちはアウトソーシングが事業領域ですので、共創パートナーとしてニーズを敏感にキャッチし、創意工夫を重ねることが欠かせません。次にビジネストレンドのキャッチアップです。私は日本コンタクトセンター協会の事業委員ですが、業界各社や他業界の諸団体との交流を通じてビジネストレンドを得て経営戦略に生かしています。そして、従業員のモチベーション。弊社は平均年齢が27・5歳と、未来への可能性に満ちています。デジタルネイティブだからこそ、『新たな事業領域にチャレンジしたい』という思いを経営資源としています」

情報収集の感度を高め、事業戦略を練り、実践してきた同社。国内トップのBPO事業会社や、外資系IT企業でビジネスキャリアを積んできた内田氏は、情報の中でも「CX(カスタマーエクスペリエンス)」につながる「BI(ビジネスインテリジェンス)」を重視する。

「ドラッカーが示すように、顧客だけが需要を創出するわけですから、企業経営におけるBIはCXの情報が大事です。これは顧客とのコミュニケーションの中でしか得られません。私たちが担う多面的なタッチポイントでお客さまが望んでいることを捉える。そのカスタマーインサイトをクライアント企業の事業経営に資するBIとして伝えて生かされることが重要です」

テクノロジーの活用により顧客理解と関係構築が深化

顧客の体験価値を重視し、クライアントとその先の顧客との深い関係構築を支援してきた同社。内田氏は、以前に増してカスタマーエンゲージメントの向上が重視されていると語る。

「アップセルやクロスセルにはどの企業も積極的に取り組んでいます。一度の購買をゴールとせず、お客さまのニーズやタイミングに合わせ、より魅力的な商品やサービスをお届けしファンになっていただく。それには、カスタマーエンゲージメントを高める適度な距離感の関係構築が欠かせません」

また、昨今カスタマーエンゲージメントの向上に当たり、追い風となるのが最新テクノロジーの活用だ。

「お客さまとのタッチポイントから得たビジネスインテリジェンスを事業へ生かす手法はAIにより飛躍的に進化しました。AIの活用により、従来とは比較にならないほどのスピードと正確性で顧客へのベストソリューションを提供できます」

国内ではDXがビジネスプロセスをデジタル化することを指す「デジタライゼーション」にとどまり、本来の目的である「デジタル化によって新たな価値を創出し、ビジネスモデルや企業のあり方を変革していく」段階まで活用できている企業は少ない。しかし、同社はテクノロジーを活用し、攻めのDXに果敢に挑む。

「私たちは自ら経験して得た知見から実績を上げてきました。しかし、実績を生み出してきたやり方にこだわると成長は止まります。いつでも新しいテクノロジーをベストプラクティスとして活用し挑戦することが重要。インバウンド型のCXコンタクトセンター業務では、顧客の課題をストレスなく解決するために総合的なAIプラットフォームを検討しています。またアウトバンド型のセールスマーケティング業務では、『説明型・プッシュ型』ではなく『傾聴型・プル型』の応対をオペレーター習得できるよう、AIを活用したトレーニングのPoCを進めています。AIテクノロジーとオペレーターが協奏するサービスが弊社の価値の中心になるよう取り組んでいます」

一人一人の顧客と継続的かつ深い関係を築き、最適な提案をし続ける。縮小していく国内市場においては、こうした取り組みが困難を打開する光明となる。同社のサービスは今後ますます注目を浴びていくことだろう。

事業の伸長は人財の尊重からクライアントと共に次へ

同社の取り組みは、テクノロジーの活用だけにとどまらない。内田氏は2025年に注力する点として、細心のホスピタリティとそれを生み出す「人財」を挙げる。

「カスタマーエンゲージメントの重要性はこれまでに述べてきた通りですが、弊社では従業員エンゲージメントの向上にも注力しています。ホスピタリティ溢れるCS応対を実現するためにはESが重要です。私たちのビジネスは現場のオペレーターの存在があってこそ。従業員一人一人の可能性を引き出し、より価値あるサービスを提供し信頼される存在であり続けたいと願っています。そのためにも、本年度はより人財への投資も強化していきます」

顧客だけでなく従業員のエンゲージメントも高め、共に会社の未来を描く継続的かつ深い関係を築く。経営手腕が光る25年に期待だ。 

会社概要
設立 2008年5月
本社 大阪府大阪市北区
従業員数 870人(2025年1月31日時点:うち社員200人)
事業内容 テレマーケティング事業、フィールドマーケティング事業、コンタクトセンター事業、ビジネスアウトソーシグ事業
https://www.tetra-pot.com/