経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

インフレでも不動産投資で勝つ 相続に特化した子会社も設立 菅谷太一 ハウスリンクマネジメント

ハウスリンクマネジメント 代表取締役 すがや たいち 菅谷太一

収益物件の開発、販売、管理、賃貸運用を一気通貫で行っているハウスリンクマネジメント。インフレで土地や資材が高騰する中、高品質・リーズナブルな物件を提供し、昨年は前年の約2倍の売り上げを記録した。成長の理由を菅谷太一代表に聞いた。(雑誌『経済界』2025年5月号「注目企業」特集より)

ハウスリンクマネジメント 代表取締役 すがや たいち 菅谷太一
ハウスリンクマネジメント 代表取締役 すがや たいち 菅谷太一

「カインドネスシリーズ」の反響が数千件を超える

2月に4冊目の著書『インフレ時代を勝ち抜く1都3県・木造・3階建て新築アパート投資入門』(幻冬舎メディアコンサルティング)を上梓した菅谷代表。インフレで円安の時代に不動産で資産を保有する重要性、良い物件を安く供給するためのノウハウが披露されている。

同社の主力は新築木造アパートの収益物件「カインドネスシリーズ」だ。設計から施工まで自社で行っているため、高品質・ローコストを実現。プロパンガスや管理会社も自社で持ち、施工後のサービスを全てワンストップで任せられるのが特徴だ。

設立10年目となる昨年は物件への反響が数千件を超え、1番手の取り合いが続いたという。そのうち物件供給限度であった約50人のみが購入へと至ることができた。2割がリピーター、8割は新規顧客だという。

「前期はハウスリンクマネジメント、ハウスリンクホーム併せて売り上げが約73億円、営業利益、経常利益とも約6億円で、大きく成長した年となりました」と菅谷代表は話す。

集客方法は会員への新規物件のメール配信、ポータルサイトへの掲載、月1回のセミナーなどだ。

「採用に力を入れたことで販売人員が増え、仕入れ件数も拡大できて、より多くのお客さまのニーズに対応できるようになりました」

売り上げ拡大とともに資金計画も重要となり、今年は初めて金融機関向け決算説明会を実施した。

「経営計画、成長事業、社会貢献といった当社の方針を報告し、社内外に信頼できる企業であることを知っていただけるようアピールにも力を入れています」

これまでは定めていなかったルールをつくるため、上場企業の常勤監査役を顧問に迎え入れて、コンプライアンス、業務規定、利用マニュアルを含めたルールの策定も行っている。

プライバシーマーク取得も目指しており、上場は目指さないものの、上場基準を満たす、内側がしっかりした会社にしていけるよう推進中だ。

DX推進で業務を効率化。経常利益は賞与に還元

社内の地固めとしては、DXの推進に力を入れている。会社の規模が大きくなるに従い、効率化を進めなければ社員の業務負荷が増えてしまう。同社は建築事業部、資産コンサルティング、売買事業部、賃貸管理、ガス事業部、総務、経理、社長室など事業部ごとにシステムがあり、それらを連携している最中だ。

「社員が増えて情報伝達、業務のプロセス、誰が何をやっているのかが見えづらくなってきたため、DXで整理する必要がありました」

さらに社員をしっかり評価するシステムをつくり、頑張れば報われる報酬体系によって社員のモチベーションアップを図っている。

「経常利益のオーバー分に関しては15%を社員に賞与として配分し、前期は全員賞与が15%増えました」

今年は同社で最多となる5人の新入社員の入社を予定している。

収益物件であるカインドネスシリーズは、スペックが良く、自信を持ってお勧めできるため、新入社員も販売を担当し、顧客を獲得できる。

「インフレで物価が上がったので、社員に潤いある生活をしてもらうために給与を上げて待遇の良さを維持していきたい。新卒から正社員年収中央値を超え、3年目で1千万円を超える社員もいるのはベンチャーの魅力だと思います」

「2025年度ベストベンチャー100」への選出、「ホワイト企業認定」取得など、成長企業、ホワイト企業という存在感も大きくなってきた。

価値ある相続物件を次世代へ「カインドネスネクスト」

カインドネス志木
カインドネス志木

同社のもう一つの収益物件の「ポルシェシリーズ」は、老朽化した中古物件をリノベーションし、入居者で満室にして販売するスタイルだ。顧客は富裕層が中心で、家賃収入を得られ、所得税を節税できるのがメリットとなっている。

さらに時代の流れに合わせて、相続物件の開発も始めた。相続税対策は不動産運用のプロと税務のプロの力が必要なため、相続に特化した会社「ハウスリンク相続」を設立中だ。

相続税の税率が上がり、不動産の生前贈与は、死亡前3年間の加算だったのが、7年間の加算へと変更になった。「運用益を得られる資産性+相続税対策は両立させなければ意味がない」と考えている菅谷代表。

「価値が落ちない物件を持ち、お子さんやお孫さんに相続できる『カインドネスネクスト』を供給予定です。築35年が経過しても、相続した人が困らない物件をご用意します」

少子高齢化が進み、一人暮らしの世帯数が半数を超える時代だ。長期的な目線で見ると、地方ではなく1都3県での供給がメインとなる。

「病院もスーパーも公共交通機関も近い首都圏の物件を継続供給できる形にしていきたいですね」

今期の売り上げ目標は、100億円に近い数字を目指している。

「お客さま、社員、お取引先さまの皆さま三方良しの精神で、確実な年輪経営を重ねていきます」 

会社概要
設立 2014年2月
資本金 3,500万円
売上高 11億7,100万円 
本社 東京都千代田区
従業員数 42人
事業内容 不動産売買・仲介、不動産賃貸管理、建物内外装工事・大規模修繕工事、液化石油ガスの販売・仲介、少額短期保険・火災保険販売
https://h-l-m.jp/