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陰圧ルームから脱炭素へ コロナ禍の転機で大躍進 小型CO2回収装置開発 山本健二 レブセル

レブセル 代表取締役 やまもと けんじ 山本健二

感染症対策用の陰圧ルームを手掛けるレブセル。酸素カプセルで培ったノウハウを活用して開発した陰圧ルームの需要はコロナ禍に急拡大し、多くの医療機関に導入された。近年は大気中のCO2回収装置も開発。回収後はガラスなどに再利用できる仕組みが注目を集めている。(雑誌『経済界』2025年5月号「注目企業」特集より)

レブセル 代表取締役 やまもと けんじ 山本健二
レブセル 代表取締役 やまもと けんじ 山本健二

レブセルは2014年設立のスタートアップ。酸素カプセルメーカー出身の山本代表はその効果の検証のため独立。広島大学や帝京大学と共同研究を進め、東京五輪に向けて新製品を売り出すつもりだったがコロナ禍が直撃した。

「酸素カプセルの取引先はスポーツクラブやマッサージ店です。コロナ禍で設備投資が一気に止まり、一時は倒産も覚悟しました」

だが、ピンチはチャンスでもある。高圧の酸素カプセルの技術を利用すれば、室内を低圧にした陰圧ルームもできる。内部が外部より低圧になっている状態は細菌やウイルスが外部に流出せず、感染症対策に使える。

山本代表は早速、陰圧ルーム「東雲」を20年秋に発売。ユニット式で大きさを変えられる発熱外来室として好評を博し、翌年までに6種類ものバリエーションを揃えた。

「病院などの医療機関には営業したこともありませんでしたが、補助金の後押しもあって、あれよ、あれよという間に広がっていきました」

導入実績は38都道府県・500件超に及ぶ。レブセルの転機は続く。陰圧ルームをきっかけに空気清浄機を手掛ける日本エアテックとの協業が実現。そこで日本エアテックが注目したのが、レブセルが酸素カプセル用に開発していたCO2吸収技術だった。

「酸素カプセルは密室なので利用者の呼吸によってCO2濃度が急速に高まります。これを抑えるため、カプセル内のCO2を回収するDAC(ダイレクト・エア・キャプチャー)の技術を開発しました」

独自開発した世界最小クラスのCO2回収装置は1台当たりCO2吸収フィルターの交換頻度により年間50㎏から100㎏のCO2を回収。回収後はガラス製品の原料の一部としてカーボンリサイクルできる。大手飲料メーカーや大手化粧品メーカーなどから「CO2を利用したガラス製品をつくりたい」とオファーが相次いでおり、大阪・関西万博にもスタートアップ枠で出展を予定している。

「温暖化を解決するには一人一人の協力が重要で、誰もが簡単に温暖化対策に参加することができれば大きなビジネスとしても期待を持つことができます」 

会社概要
設立 2014年5月
本社 神奈川県横浜市都築区
事業内容 感染症対策陰圧室関連の開発・製造販売、温暖化対策製品の開発
https://www.revcellnpr.com/
https://www.revcellcarbonoffset.com/