テーマパークリゾート「ハウステンボス」は2025年6月に「ミッフィー」エリア、9月にライド型アトラクションを新設。今後も設備投資を積極化し、大都市圏や海外からの集客を通じて宿泊の強化を進める。(雑誌『経済界』2026年1月号より)
髙村耕太郎 ハウステンボスのプロフィール

「ミッフィー」エリア好調 来園者3割増
九州を代表するテーマパークリゾート、ハウステンボスは2025年6月21日、オランダを代表する絵本の主人公「ミッフィー」をテーマにした新エリア「ミッフィー・ワンダースクエア」をオープンした。
開業以来最大の投資で、ミッフィーと一緒に楽しめるライド型アトラクションや、ミッフィーと触れ合い写真撮影ができる常設グリーティング施設、飲食・物販店舗などで構成されている。
集客効果も早速表れ、6月21日から8月末の来園者数は前年同期比3割増。若い女性に限ると4割増加したという。
髙村社長は「ここまでミッフィーの世界観がまとまった施設は他にない。順調な滑り出しだ」と語る。
9月12日には、ミッフィーの絵本の世界に没入できる屋内型アトラクション「ミッフィーのドリームストーリーブック」と「エアクルーズ・ザ・ライド」がオープン。エアクルーズ・ザ・ライドは、巨大なドーム型スクリーンに8K LEDの臨場感ある映像が映し出され、映像と同調してシートが浮き上がるライド型アトラクションだ。映像は海や森、草原や街並みなど地球上の美しい風景で、利用者は空を飛んでいるような体験を味わえる。
設備投資を継続 観光促進で連携
ハウステンボスは22年秋、東京、香港、シンガポールを拠点とするアジアの投資会社PAGの傘下となった。以来、成長戦略として積極的に設備投資をしている。「ミッフィー・ワンダースクエア」は第1弾、「エアクルーズ・ザ・ライド」は第2弾に位置付けられる。大規模な施設やアトラクションの開業が短期間に相次ぐのは過去に例がない。
髙村社長は「今後数年は新施設を年間1つ以上オープンしていく方針だ。新しい体験ができるテーマパークとして充実していく姿を見てもらいたい」と意気込む。
成長の鍵となるのが宿泊の強化。ハウステンボスには「ホテルヨーロッパ」「ホテルアムステルダム」など5つのオフィシャルホテルがある。
髙村社長は「1泊ではなく2〜3泊してもらうことが重要だ」と語る。ハウステンボス全体を宿泊型モデルへと切り替えていく方針だ。このため、東京・大阪方面からの集客を強化。既に両方面へのテレビCMを増やし、認知度向上を図っている。
インバウンド誘致強化 広域観光を推進
インバウンド誘致も重要だ。現在、ハウステンボスを訪れる海外客は10%に満たない。これを増やすため、髙村社長はハウステンボス周辺の長崎県北部や佐賀県西部のエリアが一体となって海外客を呼び込む必要性を訴える。
「魚、野菜、肉などの食材が豊富で、離島や群島は長期滞在やアドベンチャーツーリズムに活用できる。歴史遺産や陶磁器なども含め、訴求可能なコンテンツは十分にある」
25年8月には、佐世保市など12市町で構成する「西九州させぼ広域都市圏」と連携協定を締結。広域周遊観光や滞在期間延伸を促進する事業に、自治体と共に取り組む。
多様な働き方を推進 海外人材も視野に
一方、社内では多様な働き方や人材活用を推進していく考えだ。たとえば年間で数週間のみの勤務を認めることや、園内業務に加え、マーケティング領域では海外人材の採用も検討している。
内外で新たな動きが期待されるハウステンボスから、今後も目が離せない。
| 開業日 | 1992年3月25日 |
|---|---|
| 資本金 | 1億円 |
| 本社 | 長崎県佐世保市 |
| 従業員数 | 1,242人(2022年9月時点) |
| 事業内容 | テーマパーク事業 https://www.huistenbosch.co.jp/ |

