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専門資格を多数保有する業務空調のプロ集団 新体制で技術継承促進

九州空調 会長 住本真理

九州空調は創立60年を迎える業務用空調設備工事・保守サービス会社。高い技術力を強みとし、1人で20以上の専門資格を保有する社員が複数在籍する。2025年には役員が新体制となり、新社長と新専務が選任された。今後は会社全体で技術継承の進展が期待される。(雑誌『経済界』2026年1月号より)

九州空調 住本真理のプロフィール

九州空調 会長 住本真理
九州空調 会長 住本真理 すみもと・まり

 九州空調は、住本会長の父・泰英氏が創立した業務用空調設備工事・保守サービス会社。福岡、佐賀、長崎で事業を展開している。売上高の7割を占める保守サービスは、テナントビルや官公庁施設など200以上の顧客を抱える。福岡エリアの同業会社で唯一、矢崎総業と川重冷熱工業の2社と特約店契約を結び、ダイキン工業や三菱重工業など大手メーカーの機器も取り扱う。他方の工事部門は、大半の工事を施主から直接請けているのも特徴だ。

 同社の最大の強みは高い技術力。保守担当者と工事担当者それぞれが現場でノウハウを蓄積し、指定建設業監理技術者や一級管工事施工管理技士といった資格を積極的に取得している。1人の担当者が20以上の資格を保有することも珍しくなく、会社全体の有資格者は約30種で延べ200人以上に及ぶ。

 近年は「子育て応援宣言」や「ふくおか『働き方改革』推進企業」といった行政による登録・認定の取得にも力を入れており、その数は18に上る。登録・認定の取得は、社会貢献が評価される総合評価方式の入札で後押しになるとともに、「組織や業務を見直すきっかけにもなり、会社を強くしている」(住本会長)という。

 2025年5月には、役員体制が新しくなった。前社長に代わり取締役社長に原和彦取締役、新設の取締役専務に浦川剛取締役がそれぞれ昇格した。2人はいずれも中途入社で、勤続30年以上の大ベテラン。社内や協力会社、取引先からの信頼が厚い。社員から社長や専務に昇格する事例は、社内全体のモチベーション向上につながっている。また、原社長と浦川専務は昇格に伴い、一部の現場を若手に任せるようになった。これを機に、会社全体で技術継承が一層活発化することも期待される。

 人手不足の中、人材の拡充にも取り組む。25年に20代の3人を中途採用。住本会長は「心血を注いでこの3人を一人前にする」と力を込める。

 空調事業に携わる企業として、環境問題にも目を向ける。近年はSDGsを啓発するカードゲームを地元の小学校に寄贈している。25年秋には地元金融機関、地元大学と共催で同カードゲームを使ったワークショップを開催し、盛況を博した。

設立1966年9月
資本金2,000万円
本社福岡県福岡市東区
従業員数16人
事業内容業務用空調設備工事、保守
https://kyusyu-kuhchyo.com