稼ぐ会社(組織)に成長させるために必要な条件
読者の中には、既に年収1億円を達成した人もいれば、もうすぐ手が届くという人も多いに違いない。今回は、いったいビジネス界で、年収1億円獲得の周辺にいる人とは、どんな人なのか。その仲間になるために必要な条件とは何かを考えてみたい。
条件を探る中で1つはっきりしている事実は、1億円という年収が、1人の働きで獲得するには高過ぎるハードルだということである。
セールスマンの世界なら、私が身を置いた保険業界のように1人で数億円も稼ぐ猛者が幾人か(多くはないが)存在する。しかしそれでも子細に見ればチームで稼いでいることが多い。天才でも、単独で1億円以上の年収を得ることは容易ではないのだ。
つまりは組織である。組織で収益を上げ、社長が年収1億円の壁を破るわけだ。優れた組織なら、優秀な幹部たちが次々とトップに続くだろう。 それが年収1億円の周辺にいる人たちと言ってよい。
組織で、というところが重要である。超有能な社長がいたとしても、彼だけが馬車馬のように働いて年収1億円は実現できない。できたとしても永続は難しい。彼に続く者がいなければ、やがて息切れしてしまう。社長は稼ぎまくる組織を、つくり上げなくてはならないのだ。
だが、年収1億円超の人を輩出する組織というものには、表には見えない秘密がある。
会社の成長を担うナンバー2の使命とは
最大の秘密は、人がいるかどうかだ。特に優秀なナンバー2がいるかどうかで、組織の盛衰は決まる。会社の命運はトップいかんで決まるが、成長するかどうかはナンバー2の存在と器量で決まるのだ。
NHKの大河ドラマで言えば、秀吉における黒田官兵衛のような人間だが、現代のビジネス界で私の身近な代表格といえば、前回登場した(株)アースホールディングス取締役、山下誠司さんだ。
山下さんは38歳。フランチャイズ美容店の集合体である(株)アースホールディングスの取締役で、同時に美容店61店舗を展開する(株)サンクチュアリの代表者だ。同社の年商は40億円。会社設立5年目の31歳で年収1億円を超えた。
山下さんは、ナンバー2の使命をこう位置付ける。
「単なるトップの補佐役ではない。社員の見本にならなくてはならない」
社員の見本である心得として、3点を挙げた。
(1)自分の美学を捨てる。
(2)トップの考え方を徹底的に理解する。
(3)とことん愚直になる。
ナンバー2の「魔法の言葉」が会社を成長させる
「自分の美学を捨てる」は我流を出さないことだ。私たちは成功者を真似ようとしても、つい自分を出してしまいがちだ。それが成長を阻んでしまう。成功者のやり方をそのまま真似ること。個性は後でにじみ出てくるものだから。
そのために「トップを徹底的に理解する」のである。山下さんは店長をしながら経営者修行をしているとき、國分さんの話をすべてメモし、後でパソコンに整理したという。
それは実に徹底して、口癖やボヤキ、行動を逐一記録した。話を聞くときには、単に聞くというレベルではなく、傾聴するレベルだった。この傾聴が9割、自分から話すのは1割と決めていたという。
最後の「愚直になる」は行動の要諦だ。頭のいいバカになること、とも山下さんは表現する。命懸けでやるのだ。
この3条件を一言に集約した、魔法の言葉を山下さんは教えてくれた。
「社長はやりたいことを、思い切りやってください。私は社長が、それをできるように頑張ります」
これを言い切れるNo.2がいる組織は、年収1億円を輩出するはずである。
[今号の流儀]
「稼ぐ組織」と「ナンバー2」がつくれたら成功者だ。
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