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ツイッターから景況感に関する情報を抽出
経済産業省が、ツイッターの投稿や民間企業が持つ販売情報などを、人工知能(AI)を使ってビッグデータとして活用して景気動向を把握する新しい経済指数の開発を進めている。
既存の統計では公表まで時間がかかるのに対し、経済活動の変化を小刻みにとらえることができるのが最大の特長だ。これまで以上に迅速な政策判断につなげたい考えだ。
新しい指数は、「景況感」「鉱工業生産予測」「家電量販店動向」の3指数。経産省は7月19日からインターネット上で試験的に公開を始めている。
景況感は、毎日のツイッターの投稿から「残業で疲れた」「給料が増えない」などといった景況感に関する情報を抽出し、ポジティブ・ネガティブの評価を行って算出。従来の統計調査ではとらえられなかった日々の景況感の変化を数値化する。
生産予測は仕事や景気に関する書き込みを抽出し、統計等の「オープンデータ」を組み合わせることで経産省の「鉱工業生産指数」を予測する。
どちらもAIが自ら学習し判断能力を高める「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる技術を活用し、投稿の内容や出現回数を分析する。
量販店動向は、店舗のレジを通じて購買情報を集積した「POSデータ」を使った。現在は全国約2500店の家電量販店のデータを集計し、売上高をカメラやAVなど分類別も含めて掲載している。来年1月以降はスーパーやコンビニも追加する予定だ。
鉱工業生産や商業販売に関する既存の統計は、どうしても集計に時間がかかり、発表は1カ月程度先になる。対する新指数は毎週の結果が翌週に公表される。ただ収集できるデータや分析能力が不十分で、精度向上が今後の課題だ。
経産省は2018年度予算の概算要求額を、前年度当初予算に比べて約6%増の約1兆4200億円とした。技術革新や生産性向上のカギとなるビッグデータの利活用を「コネクテッド・インダストリーズ政策」として重点項目に掲げている。省内を実践の場とすることで、各企業にもAIの活用を促すのが狙いだ。
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