福岡市に本社を置くメディエイターは、新事業で地方の中小企業にグーグルのクラウドサービスを活用したDX推進をサポートする。黒木社長を突き動かすのは「先進的なDXとデジタル化が遅れがちな中小企業との媒介役になる」との思いだ。(雑誌『経済界』2023年1月号より)
中古パソコンの再生・販売を手掛けるメディエイター(パソコン市場)が2023年で創立20年を迎える。黒木英隆社長はこの20年間の社会の変化を「モノからコトへ、供給社会から活用社会へと移行しました。顧客との関係も一過性から継続性へと変化しています」と分析。その上で、23年を「従来の事業は継続しつつ、新たな社会ニーズに応えられる企業へと進化する元年にしたい」と語る。
これまで個人顧客がメインであった同社だが、新たに地方都市の中小企業を対象にグーグルのツールを活用したDX推進サポートと、パソコンの再生サービスに力を入れていく。
「ある調査によれば日本のデジタル競争力は主要64カ国中28位。デジタル人材の充足度は64位でした。今や日本はデジタル後進国であり、特に地方の中小企業はデジタル化の遅れが深刻な課題です」
同社は地方の中小企業に「Google Workspace」の活用を提案する。メールやファイル共有、オンライン会議など複数のツールがまとまった企業向けのクラウドサービスだ。連絡、通達や会議招集といった社内のコミュニケーションにおいて手間が省かれ、協力会社など社外との情報共有もスムーズになる。
同サービスを最大限に活用すれば「10倍以上の生産性向上も期待できる」という。併せて同社は、日本10Xデザイン協会にも参画。産学官連携コラボDXプロジェクトを立ち上げ、地方の大学生を中心に企業のDXをデザイン・指導できる人材を育成していく方針。
一方、パソコンの再生サービスは、大きく2種類。①型が古くてもウィンドウズ11が使えるパソコンをアップグレードするものと、②古すぎてウィンドウズの必要性能を満たさないパソコンを、グーグルのChromBook化するサービスだ。いずれも同社が培ってきた「パソコン再生力」を発揮したもので、SDGsの観点から中小企業のDX強化を必要最小限のコストで賄うための支援を提案する事業・サービスである。
社名の「メディエイター」は、英語の「媒介する」から取ったもの。先進的なDXと地方の中小企業との媒介役になるため、新しいステージを歩み出す。
会社概要 設立 2003年8月 資本金 9,970万円(資本準備金含む) 売上高 24億7,000万円 本社 福岡市中央区 従業員数 93人 事業内容 情報/通信機器の再生・販売、「パソコン市場」(店舗)の全国展開ほか http://mediator-net.jp/company/ |