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学生が主体となって実践的に学び、金融リテラシーの向上を目指す 神田華栄 株のトラ組織委員会 未来金融研究部

株のトラ組織員会 神田華栄 初代組織委員長

株のトラ組織委員会は2021年春に学生の金融リテラシーを高めることを目標に発足した。名古屋大学の2年生だった神田華栄氏を代表に全国の現役大学生が中心になって活動している。きっかけは22年度から高校の新学習指導要領に「資産形成」が登場したことにある。(雑誌『経済界』2024年11月号「リゲイン中部経済」特集より)

株のトラ組織員会 未来金融研究部 神田華栄 初代組織委員長のプロフィール

株のトラ組織員会 神田華栄 初代組織委員長
株のトラ組織員会 
未来金融研究部 神田華栄 初代組織委員長

 株のトラ組織委員会は、学生の金融リテラシーを高める場として「未来金融研究部」を立ち上げ、同時に実際の投資を経験する場として「株トラカップ」をスタートさせた。未来金融研究部は全国の現役大学生が上場企業へ取材しに行き、記事を執筆して、企業の魅力や認知度を学生目線で伝える。株トラカップは取材を通して得た情報を基にオンラインで仮想の株式売買を行い、収益を競う現役の中学、高校・大学生を対象とした参加費無料のイベント。ここでの運用成績で「学生トレーダー日本一」を決める。

 神田氏が投資に興味をもったのは小学校時代で、中学校の自由研究では円高円安をテーマに勉強。以来、経済や金融、資産運用に関心をもって大学時代にはFXや仮想通貨、株式投資などさまざまな投資経験を積み、YouTubeなどで情報収集や発信をしながら金融リテラシーを高めることの重要性を知ったという。そして大学2年生の時に株のトラ組織委員会を設立、神田氏は全国の大学を回り、投資サークルの学生たちと交流を深め、情報交換を深めていったという。

 「株トラカップは経済や企業に興味をもち、世の中の動きを自分なりに考えられるようにすることが目的です。個人戦としてスタートし、今では団体戦も加わって対抗戦のようになっていますが、学生にとって実践を通じて経験を積み重ねる『試す場』になっています」

 貯蓄から投資へのシフトは国の重要施策の一つである。同組織委員会の活動については愛知県、名古屋市のほか文部科学省も後援。企業側も学生記者のインタビューは積極的に受けるなど、応援している。

 最近では春日井泉高校や星城高校で金融勉強会を開催、名古屋大学では名南M&Aの篠田康人社長を招いて公開取材も行った。「金融リテラシーが高まるイベントをどんどん企画していきます。大事なことは自分自身で学び、投資のマイルールを見つけることです。そのきっかけを提供するのが目的です」と語る神田氏。今後も取材や株トラカップなどを通して、多くの若者が資産運用や企業の経済活動に興味を持つような仕組みを考えていく方針だ。 

組織概要
設  立 2020年4月
所 在 地 愛知県春日井市
事業内容 株トラカップ・未来金融研究部を企画運営。各大学支部と連携しながら学生が主体となって上場企業へ取材しながら経済や社会を勉強する