トミナガコーポレーションは創業37年の景観工事会社。アスファルト舗装の表面にさまざまなデザインを施す工法「ストリートプリント」の日本総代理店だ。2024年5月には、道路標識製作のニチハツ工業と事業譲渡契約を結び、さらなる飛躍を目指す。(雑誌『経済界』2025年1月号「躍動する九州」特集より)
ストリートプリントは、道路に敷かれたアスファルトの表面を石畳やレンガのようなデザインに変える、カナダ生まれの工法だ。路面を加熱し、軟らかくなった表面にデザインテンプレートで型押し、カラーボンドで塗装する。型のデザインは15種類、カラーは57色が揃う。
同工法は、既存のアスファルトを再利用するため、費用が安価に抑えられる。自然石貼りと比較した場合、およそ半分の費用で施工が可能だ。また、経年による凸凹が発生することもなく、滑りにくいため安全性も高い。日本各地の歩道、車道、公園、商業施設などで利用されている。
日本で唯一、同工法の総代理店を務めるのがトミナガコーポレーションだ。1987年に創業し、左官業や外構工事業を経て、2006年からストリートプリント事業を開始した。以後、民間工事から公共工事へと事業を拡大。現在、北は宮城から南は沖縄まで10拠点を構える。
東日本大震災の復興事業でも、同工法が採用された。「被災地の景観を取り戻すことに貢献できたのは、私たちの誇りです」と語る富永千織代表。7年前に創業者である夫・峰一氏が急逝。営業や経理のサポートをしていた千織氏が後を継いだ。「突然経営を担うことになり大きなプレッシャーがありましたが、頼りない私を社員が支えてくれました」と当時を振り返る。
富永代表は、「変われる者が生き残る」という峰一氏の教えを守り、次々と成長策を打ち出す。
現在進めているのは、米国から輸入している塗料を国内製造に切り替える計画だ。円高などの影響を受けず、安定供給が可能となる。
24年5月には、道路標識製作のニチハツ工業と事業譲渡契約を締結。ストリートプリントとのシナジーにより、事業拡大を目指す。「スマートシティ化や自動運転の普及によって、道路や標識のあり方も変わると予想しています。ニチハツ工業さんと一緒になったことで、より幅広い提案ができるようになりました。今は未来の街づくりに貢献できるとワクワクしています」と笑う。
同社の社是は「先進への挑戦」と「日々発展」。変化を恐れない経営で、日本の景観を美しく変えていく。
会社概要 設立 1992年1月(創業1987年) 資本金 2,000万円 売上高 10億2,800万円(24年9月期) 本社 福岡県春日市 従業員数 46人 事業内容 請負工事、資材販売、道路交通標識の製作・販売・施工 https://tominaga-corp.com |