経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

技術とものづくりの町に熱量の交差点を築き 共感資本主義を拓く 大矢 顕 一般社団法人ものづくりパートナーズ

大矢 顕 一般社団法人ものづくりパートナーズ

製造業のインフラ的役割を担う、一般社団法人「ものづくりパートナーズ」。製造業を軸に、多様な業種・世代・立場の経営者や技術者が集うコミュニティだ。2022年の設立からわずか数年で会員数は403名を突破。代表理事の大矢顕氏に、その理念と未来図を聞いた。(雑誌『経済界』2025年11月号より)

大矢 顕 一般社団法人ものづくりパートナーズのプロフィール

大矢 顕 一般社団法人ものづくりパートナーズ
一般社団法人ものづくりパートナーズ 代表理事 大矢 顕 おおや・あきら

日本の製造業を支える中小企業は、後継者不在や採算性といった構造的な課題に直面している。こうした現実を前に「共感で社会を変える」という旗印のもと立ち上がったのが「ものづくりパートナーズ」だ。

「ものづくり業界の課題解決を通じてワクワクする社会をつくる」。大矢氏が三代目を担う大矢伝動精機の理念だ。最近では、全工程をAIで自動化した金属切削加工機「TTMC」を導入して業界のモデルケースとなるべく邁進中。そして、製造業界の技術を集め、近未来必要とされる新事業を生むべくインフラとして設立したのが同法人だ。

「現在は、オムロン創業者が提唱するSINIC理論の『最適化社会』から『自律社会』への移行期。やがて訪れる『自然社会』を見据えて、既存の枠組みや業界慣習を超えた新しい仕組みを作り、共感資本主義を軸とした経済圏を築く。それが働く人の価値を上げ、給料を上げ、中小企業の持続的成長につながると信じています」

同法人は、製造業の枠を超え、変革への熱意を持った共感者だけが集う場づくりを徹底。Give&Giveの精神で与え合う文化のもと、新たな挑戦を次々と生み出す。その活動は実践的だ。業界を変革する中小企業社長を中心に、大企業役員や大学教授、投資家、行政機関らを招いた「ものぱ交流会」からは、既に3件の新規事業と1件のM&Aが誕生。社会課題解決のために、エンタメ・農業・芸術・教育・金融といった異業種とのハイブリッドプロジェクトも発足した。「製造業の課題は業界内だけでは解けません。人材やノウハウ、アイデアを共有し、業界の垣根を超えて技術を磨き合い、新しい価値を生みたいです」と大矢氏は話す。

今年7月、若い世代に製造業を身近に感じてもらうイベント「世界ものづくりフェスティバル」を成功させた。大学や自治体と連携し、名古屋競馬場跡地をものづくりの拠点として再開発する計画も進行中だ。「地域のお金は地域に落ちるべき」と、地域間で助け合うネットワークの強化や一次産業への参画も視野に入れる。

「1社ではできないことも、共感者となら形にできる」。社会のイノベーションが確かな一歩を踏み出している。

設  立2022年7月7日
本  社愛知県名古屋市中区
事業内容企業間の新規事業創出支援事業、ものづくり企業成長支援事業、イベント企画事業、ものづくり相談
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