「実質0円」で知られるスマートフォンの大幅値引きをめぐる総務省と携帯電話大手のいたちごっこが続いている。安倍晋三首相の指示をきっかけに総務省が4月1日に適用したスマホ適正販売の指針に、NTTドコモとソフトバンクが早くも「違反」した。総務省は5日、両社に行政指導を行ったが、ソフトバンクが同日に発表したコメントは総務省にケンカを売る内容だった。
ソフトバンクのコメントは「速やかに端末購入補助の適正化を図っていく」としているが、その前提条件は「業界全体における取り組みの進捗等を踏まえ」とし、他社の状況をみて対応すると開き直った姿勢だ。さらに「トップシェアの競合事業者(であるドコモ)との価格差がない限り、市場における競争を滅殺させ、消費者に不利益を生じさせる恐れが高い」との考えを示し、何らかの形でドコモやKDDIより安くスマホを売り続けるとの意思表示にもとれる内容となっている。
このコメントは、KDDIを含む3社に求めたスマホ販売状況の報告に基づいて実施した。ドコモは他社からの乗り換えや機種変更の場合、家族で複数台のスマホを購入する際に1台数万円の端末が648円になる端末購入補助が行われていた。一方、ソフトバンクは他社からの乗り換えの場合、ほとんどの機種で端末価格が実質0円で、さらに通信料を約2万1千円割り引くキャンペーンを4月1日から実施していた。
総務省はガイドラインが適用された1日からキャンペーンを行っていたことを問題視。ある幹部は「われわれに反旗を翻したようなもの」と憤りを隠さない。ドコモが「要請を真摯に受け止めて今後の対応を検討していく」とコメントしたのと対照的なソフトバンクに対して、総務省はガイドラインの趣旨を大きく逸脱しているとして、速やかに是正してその結果を書面で報告するよう求めた。
総務省の別の幹部は「実質0円廃止を求めてもいたちごっこを繰り返すだけ。(儲け過ぎといわれる)利益をはき出させる手立てが必要だ」と指摘。長期利用者など既存利用者向け通信料金割引など料金体系の見直しの大なたを振るうべきとの持論を強調した。
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