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落日の経産省尻目にトランプ政権との交渉で存在感を発揮――財務省

財務省

米トランプ政権との交渉で財務省が存在感を発揮している。日米首脳会談では浅川雅嗣財務官が共同声明作りをリード。失態続きで権勢に陰りが見え始めた経済産業省を尻目に、安倍官邸の信頼を獲得しつつある。再三、貿易黒字批判や円安批判を繰り返してきたトランプ大統領だったが、2月に安倍総理が渡米して行った会談は成功裏に終わった。

会談後に発表された共同声明は外交・防衛面では、日米同盟の強化や日米安全保障条約の沖縄県の尖閣諸島への適用で一致。経済面では、麻生副総理とペンス副大統領によるハイレベル経済対話の創設で合意した。為替政策は財務当局間で協議することとし、争点化を避けた。

浅川財務官を筆頭に国際局が外務省と共同で案を練ったものがほぼ原案通り決定した形だ。一方で、会談前に報じられていた雇用創出などの具体的数値を盛った対米貢献策「日米成長雇用イニシアチブ」は盛り込まれなかった。これは経産省がマスコミに事前リークした結果、野党から年金基金の活用などで「朝貢外交」と強く批判された、いわくつきのもので、官邸が激怒。世耕経産相が首脳会談に同行できない憂き目にあった。

これまで安倍政権では首相側近の今井尚哉首相秘書官に代表されるように経産省が発言力を増し、消費増税先送りなどの重要な政策決定では、財務省は「ことごとく煮え湯を飲まされてきた」。しかし、経産省が主導した北方領土返還に向けた日ロ経済活動では思った成果が出せず、再び日米成長雇用イニシアチブでみそをつけた結果、潮目は変わりつつある。

4月中旬にはペンス副大統領が来日を予定しており、最初のハイレベル経済対話が日本で開催されることが決まった。財務省幹部は「首脳会談と同じようにやる」と自信満々の様子で、経済分野では財務省が国土交通省など他の官庁をまとめて交渉に臨むことになりそうだ。

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