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大激戦の加熱式たばこ市場に英国から新たな刺客「グロー」が登場

加熱式たばこの「タバコ感が弱め」の真偽は

glo

最近、巷で話題の加熱式たばこ、米フィリップ・モリスの「アイコス」、日本たばこ産業の「プルーム・テック」、に次いで、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(以下、BAT)の「グロー」が、東京へ本格進出します。今回は、BAT社が5年間で約1千億円を投じて開発した電子たばこのひとつで、日本で世界初として発売したグローを解説します。

 BATは既に14カ国で電子たばこの販売実績がありますが、グローの販売は日本が初めて。販売は昨年12月から始まっていました。

 宮城県仙台市の約600店舗でテスト販売をした結果、反応がとても良かったため、首都東京でも成功を収めると確信しての投入とのこと。

 グロー本体は5万台近く販売され、仙台市内では喫煙者の5人に1人が使っている計算です。スティックの販売シェアも8%近くあり、感触としてはかなり良いとのこと。

 また、昨今の加熱式たばこの品薄状態に関しても、7月の販売開始から潤沢な台数を用意して、欠品にならないように万全を期しています。7月3日から東京、大阪、宮城の3都府県にて約1万3千店舗での扱いを計画しています。

 使用するには、「グロータバコヒーター」と、本体に挿す専用タバコの「KENTネオスティック」が必要です。初期費用は、本体8千円、専用KENTネオスティック420円。タバコスティックは「ケント」ブランドとして、ブライトタバコ(通常味)、フレッシュミックス(メンソール系)、インテンスリーフレッシュ(メンソール系)の3つ。販売元によれば、「アドバンスト・ヒート・テクノロジーで加熱し、発生する霧状のベイパーを吸って楽しむ。灰が出ず、ニオイも少ない点が特徴」となっています。

 普段「アイコス」ユーザーでもある筆者の率直な個人的な感想ですが、ネット上などで言われている「たばこ感が弱い」という印象はあまり持ちませんでした。アイコスが仮に6mgくらいだとすると、グローは若干弱めですが、雰囲気としては、4mgくらいのたばこを吸っているようなイメージです。

 1回の本体USB充電で、約30回吸えます。差し込む穴をふさぐ部分をスライドして開け、たばこスティックを本体に挿してスイッチボタンを長押しし、40秒ほど本体でタバコを内部で加熱。本体のLED照明が丸く全部付いて、一瞬振動したら約3分間吸えるというシンプルな設計となっています。火を使わずに蒸気で吸います。

 難点をあげると、アイコスでも感じる加熱する際の独特の匂いが若干あるところでしょう。しかし、たばこを直接加熱せずに外側から過熱するため、アイコスより匂いも少なく、個人的には大丈夫だと感じます。

iQOSとglo

筆者撮影、アイコス本体とマルボロを挿したホルダー(左)、ケントを挿したグロー(右)

加熱式たばこの感覚とはどのようなものか

 吸い終わるまでに、本体にある丸い照明窓の白い丸がどんどん短くなっていき、明かりが全部なくなったら終わりとなります。吸い終わる約20秒前には、終わりを告げるために一瞬振動するという面白い工夫もあります。途中で電源ボタンを長押しして、中断することもできます。

 この商品がアイコスと違うのは、2パーツではなく1パーツであるため壊れにくいという点です。本体は小さく、スティックが普通のタバコよりも細めで、吸い終わったら挿し口のスライドカバーを閉めるという簡単な使い勝手も魅力です。

 また、個人の好みによって好き嫌いが分かれるかもしれませんが、100ml紙パックジュースをストローで吸うような感じがします。

 アイコスは一回吸うと充電しなければなりませんが、本体で直接充電するために連続での使用も可能です。筆者の感想としては、アイコスよりも小型という点と手に持ってそのまま使える点、また、立てて置ける点を考慮すると、結構流行るのではないかと思います。

 一方、JTの加熱式たばこ「プルーム・テック」が福岡でテスト販売をされており、6月29日より都心部の銀座、新宿等にある「プルーム・テック専門店」と、一部都内タバコ販売店での展開も始まります。そして、7月10日より港区、渋谷区、新宿区、千代田区、中央区、品川区の約100店舗にて展開されると告知されています。

 ますます激化する加熱式たばこ市場の動向から目が離せなくなってきました。

*本記事はたばこやパイプたばこなどの推奨や宣伝をする目的では全く無く、純粋に商品分析のために書かれたものです。たばこは人体に有害とされているため、推奨されるものではありません。

山本康博氏の過去記事はこちら

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山本康博(やまもと・やすひろ):ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役、ブランドマーケッター。日本コカ・コーラ、JT、伊藤園でマーケティング、新商品企画・開発に携わり、独立後に同社を設立。これまで携わった開発商品は120アイテム、テレビCMは52本製作。1年以上継続した商品を計算すると打率3割3分、マーケティング実績30年。現在では新商品開発サポートのほか、業界紙をはじめとしたメディア出演や連載寄稿、企業研修、大学等でのセミナー・講義なども多数実施。たたき上げ新商品・新サービス企画立ち上げスペシャリスト。潜在ニーズ研究家。著書に『ヒットの正体』(日本実業出版社)、『現代 宣伝・広告の実務』(宣伝会議)、英語著書『Stick Out~a ninja marketer~』(BVC)など。

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