政治・経済

永田町で注目を集める桑田ソング「アベーロード」

 2015年第1弾の永田町ウォッチングは、ちょっと違った趣向を凝らして、歌会始としゃれこんでみよう。

 安倍晋三首相と昭恵夫人が昨年12月28日夜、横浜市港北区の横浜アリーナでサザンオールスターズのライブを観賞したことが話題となった。

 ボーカルの桑田佳祐氏がアドリブの風刺を披露する一幕があったからだ。桑田氏は、安倍晋三首相がいるのを意識したかどうか定かでないが、「爆笑アイランド」という曲で「衆院解散なんてむちゃを言う」と、歌詞にはない一節を歌う場面があったという。安倍首相は終了後、記者団から感想を問われ「楽しみましたよ」と、笑顔で余裕の返答。

 その3日後の大晦日は、NHKの紅白歌合戦でサザンが31年ぶりのサプライズ出演を果たした。ところが、ライブ会場からの中継冒頭で桑田氏がちょびヒゲ姿だったことがネット上で問題視された。というのも、桑田氏がヒトラーに扮して安倍首相を揶揄しているのではないかとの憶測が広がったからだ。その直後に歌ったのが、「ピースとハイライト」という政治色の強さを感じさせる歌だったことも拍車を掛けた。

イラスト/のり

イラスト/のり

 ところが、新年早々永田町では、〝もう1つの桑田ソング〟が注目を集めている。

 「さすが、桑田さん。遊び心満載ですね。聴き応え十分で、永田町で働く者は皆、笑えると思いますよ」(維新の党の議員秘書)

 ネットの動画サイト「YouTube」で見られる「アベーロード」がそれだ。09年にフジテレビ「桑田佳祐の音楽寅さん MUSIC TIGER」という番組で放送された曲で、ビートルズのアルバム「アビイ・ロード」の曲をコピーしているのだが、歌詞を日本語に置き換えていかにも原詞に聴こえる〝そら耳〟風に仕上げているのがミソ。しかも皆、政治を風刺している内容だというから驚きだ。

 一部、紹介してみよう。例えば、アルバム1曲目「Come Together」は「公明党BROTHER」と題し、こう歌う。

 〈いいか、もう!? ウザったい政権!!/無防備な総理失格〉(Here come old flat-top He come/groovin’ up slowly He got)

 〈公明党BROTHERすごいなードーパミン〉(Come together, right now Over me)

 9曲目の「You Never Give Me Your Money」は「油田は危機を招き」というタイトルに変わり、歌詞はこうなる。

 〈雨量は樹々を不安にしていた/変電が水を呼ぶ利権と迷走/生まれゆくダム〉(You only give me your funny paper/And in the middle of negotiations/You break down)

 最後の「The End」は「次年度」とし、こう皮肉る。

 〈お家、往来/ああ愉快なご縁が取り持つ党内部/安倍、安倍……/永遠次年度トラぶって/美しい国……夢〉(Oh yeah Alright/Are you gonna be in my dreams Tonight/Love you Love you……/And in the end The love you take/Is equal to The love you make)

 まさに与野党をぶった斬り、官僚も株価狂乱の庶民も一刀両断にしているのだ。

桑田氏の「アベーロード」でコキ降ろされた面々の今後は?

 ビートルズ・マニアとしても知られる桑田氏ならではの音へのこだわりもさることながら、1978年に「勝手にシンドバッド」でデビューした時、ロックに日本語を乗せた名曲と評された桑田氏の言葉選びのセンスを、まざまざと見せつけたものといえよう。

 しかも、風刺の視点を持つ〝作家眼〟の鋭さも研ぎ澄まされている。だから、永田町でも話題となるのだ。政界でもサザンファンの議員や秘書は多い。

 とはいえ、ネット上では一部で批判の声もある。いわく「左に巻かれてる」に代表されるものだ。しかし、意見は自由だが、その指摘は当たらないだろう。民主党や共産党もパロディーの対象となっているからだ。

 全篇を通して、遊び心をふんだんに散りばめる桑田氏の従来の姿勢が貫かれており、加えてパロディーとしてのアプローチが明確で、批評的な詞の世界観が構築されている、そう見るのが妥当ではないか。

 さて、今年の政治日程を見れば、4月以降の統一地方選、9月の自民党総裁選などで、大きな変化は当面ないだろう。しかし、桑田氏に歌にされた面々が、年末にはどう変わっているのか、それとも変わらずコキ降ろされるだけでいるのか。

 歌とともに、現実の永田町の様子を楽しみながらウォッチしていきたい。

 

【永田町ウォッチング】記事一覧はこちら

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ
一般社団法人かぎろい出版マーケティング代表 西浦孝次氏

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第7回)

関西財界の歴史―関経連トップに君臨した芦原義重の長期政権

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

売上実績トップ企業に聞く「住宅リフォームの最新トレンドと課題」―榎戸欽治・ニッカホーム会長

素人にはなかなか分かりにくい住宅リフォームの世界。最近の業界動向と事業戦略について、売り上げ規模で全国ナンバーワンを誇るニッカホーム創業者の榎戸欽治会長に聞いた。(聞き手=吉田浩)榎戸欽治氏プロフィールリフォーム業界におけるニッカホームの競争力水廻りと木工事を絡めた中型リフ…

榎戸欽治・ニッカホーム会長

家族葬のファミーユが目指す「生活者目線で故人に寄り添う」葬儀の形

不動産のノウハウや技術を生かしサステナブルインフラへ―いちご

新社長登場

一覧へ

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

2019年4月、国内インターネット専業証券で初の女性社長が誕生した。創業者であり、カリスマ社長と呼ばれた松本大前社長から後任を託されたのが清明祐子氏。清明氏は09年にマネックスグループに入社し、子会社社長やグループ役員を経て、マネックス証券の社長に就任した。清明社長はカリスマの後任としてどんな会社をつくってい…

マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

「事業部門の連携を活性化させ営業利益100億円を目指す」 内藤宏治(ウシオ電機社長 )

イノベーターズ

一覧へ

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

起業家のスタンスとして、画期的な技術やビジネスモデルを社会で活かすことを目的としたイノベーション先行型もあれば、社会課題解決を最優先とし、そこに必要な技術やノウハウを当てはめていくやり方もある。ハックジャパンCEOの戸村光氏の場合は後者。対象となる課題は「身の周りの気付いたことすべて」だ。(取材・文=吉田浩)…

戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

IT化で変革する産業廃棄物処理の世界―福田隆(トライシクルCEO)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年11月号
[特集] AIが知りたい!
  • ・IT未開の地に挑戦 産業構造をAIが変える!
  • ・AIは物理世界がまだ苦手 汎用ロボットの作り方
  • ・データ分析の起点は「何があれば経営に役立つか」
  • ・AI活用事例
  • ・ワトソン君は業務システムと連携する
  • ・米国で加熱する人工知能ブーム AIは21世紀最大のゲームチェンジャーか
[Special Interview]

 小川啓之(コマツ社長)

 「“経験知”に勝るものはない」コマツ新社長が語る未来

[NEWS REPORT]

◆SBIが島根銀行への出資の先に見据える「第4メガバンク構想」

◆家電同士がデータを共有 クックパッドが描くキッチンの未来

◆新薬の薬価がたった60万円! 日の丸創薬ベンチャーは意気消沈

◆1で久々の優勝を果たすもホンダの4輪部門は五里霧中

[総力特集]

 人材育成企業21

 SBIホールディングス/サイボウズ/メルカリ/ティーケーピー/シニアライフクリエイト/イセ食品/センチュリオン/タカミヤ/中央建設/アドバンテック/合格の天使/明泉学園/オカフーズ

ページ上部へ戻る