政治・経済

 財務省が、消費税率10%への引き上げをめぐる安倍晋三首相の発言に神経を尖らせている。首相は従来、リーマンショックや大震災のような重大事態がなければ2017年4月に再増税を実施するとしてきたが、ここのところ「世界経済の大幅な収縮」と言い始め、与野党などから増税延期が本音だとの見方が急浮上してきたためだ。財務省では「再び増税を先送りすれば、延期癖が定着する」と危機感を強めている。

 首相は「リーマンショックや大震災のような重大な事態」が起きない限り増税すると繰り返している。しかし2月19日、最近の個人消費の低迷は8%への消費税増税が「大きく影響した」とし、2月24日の衆院財務金融委員会では、増税の考えは変わらないものの「世界経済の収縮」が起きれば中止もあり得ると述べた。減速感を強める中国経済や原油安など世界経済の先行きが日本経済に及ぼす影響を見極めたいとの考えからだ。さらに、菅義偉官房長官が2月26日の会見で、消費税増税に関し「税率を上げても税収が減るようなことになったら、そういう(増税)政策を取るべきではないのは当然のことだ」と述べ、増税で景気が大きく悪化し税収全体が落ち込むと想定される場合は、延期も排除しないとの認識を示した。

 与野党内では、こうした発言を受け、衆参ダブル選の観測とも重なり、官邸は「増税延期が本音なのでは」との声も絶えない。

 ただ、首相は3月3日の参院予算委員会で、増税について「経済の収縮」という表現は使わず、もともとのリーマンショックや大震災がなければ「現時点では実施する」と表現を軌道修正した。財務省はほっと胸をなで下ろすが、判断は首相の思い一つで、その胸の内を探る時期が続く。

 

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