文化・ライフ

W杯アジア最終予選で公正性欠いたジャッジ

 W杯のアジア最終予選が現行のホーム&アウェー方式となったのは1998年フランスW杯予選からだが、初戦を落として本大会出場を果たした国はひとつもない。

 去る9月1日、埼玉スタジアムで行われたUAE戦で日本は1対2と逆転負けした。

 敗因の第一は“中東の笛”だった。カタール人審判のジャッジは、日本人には公正性を欠いているように映った。

 ともあれ、試合を振り返ってみよう。

 日本は前半11分、FW本田圭佑のヘディングシュートで先制した。幸先のいいスタートを切ったかのように映った。

 ところが、だ。前半18分に相手FWが足を滑らせて転倒すると、マークしていたDF吉田麻也が反則をとられた。直接FKを決められ、同点に。

 後半7分のジャッジも首をひねらざるを得ないものだった。日本のペナルティーエリア内に入った相手MFを3人で囲む。行き場を失った相手選手は半ば強引に突破を仕掛け、転倒した。PKを決められ、日本は逆転を許した。

 後半22分には相手ペナルティーエリア内で途中出場のFW宇佐美貴史が倒された。15分前のプレーより、はるかにこちらの方がPKに値すると思われた。

 ところが、こちらはスルー。日本代表ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はピッチに足を踏み入れて抗議した。

 しかし、ここまでなら、まだ「微妙なジャッジ」の範囲内ですんでいただろう。

 試合後、日本サッカー協会の田嶋幸三会長がアジアサッカー連盟(AFC)と国際サッカー連盟に抗議書を出すと明言するに至った原因は、次のジャッジだった。

 後半32分、DF酒井宏樹のクロスにゴール中央にいた本田がヘッドで折り返した。このボールをFW浅野拓磨が左足で合わせた。相手GKが空中で必死にかき出したが、ボールはゴールラインを越えたように見えた。

 だが、レフェリーの判定はノーゴール、さすがにこのジャッジには意図的なものを感じざるを得なかった。

 試合後、本田はきっぱりと言い切った。

 「ゴールでしたね、間違いなく。僕の記憶と目が正しければ、ボール2個分入っていた」

 そして、こんな問題提起を行った。

 「すごく疑問に思ったのは、第4の審判がなぜいないのか。ラインズマンしかいない。そのラインズマンも知らんぷりで、ゴールを割った雰囲気を出さなかった」

 本田の言う「第4の審判」とは、正確に言えば「追加副審」のことである。

 追加副審の仕事は限られている。ボールがゴールラインを割ったかどうかの判断や、ペナルティーエリア内での反則の有無をジャッジする。

悪意のあるジャッジを防ぐためには方策が

 サッカーの本場ヨーロッパでは2008年にアンダーカテゴリー別代表の試合などで試験的に導入された。それを経て12年7月の国際サッカー評議会で追加副審制度の採用が正式に決まった。今では欧州サッカー連盟主催のチャンピオンズリーグや欧州選手権などでも採用されている。

 日本ではどうか。10月に行われるJリーグ・ルヴァン杯の準決勝と決勝、チャンピオンシップでも導入される見通しだ。

 こうした流れを見ていくと、本田が不思議がるのも無理はない。なぜW杯出場がかかった大事な一戦に追加副審がいないのか。AFCの財政難や人材難を理由にあげる関係者もいるが、言い訳にしか聞こえない。

 追加副審の導入が難しいのであればゴールラインテクノロジー(GLT)の導入を急ぐべきだろう。

 GLTは大きく2つに分けられる。ひとつは磁気型。これはボールにマイクロチップを埋め込み、ゴール周辺の磁場の変化を計測する。ゴールラインを越えると1秒以内にレフェリーの持つ受信機が振動し、「GOAL」と表記されるというシロモノ。

 もうひとつはカメラ型。こちらは14年ブラジルW杯で導入された。14台の高性能カメラで、いろいろな角度からボールを追う。ボールがゴールラインを越えるとレフェリーの受信機に合図が送られる仕組みは前者と同じである。

 一方で、こうした“科学の眼”の導入に否定的な向きも少なくない。

 「誤審もサッカーのうち」

 よく、こうした声を耳にする。牧歌的な香りがして嫌いではないが、これでは悪意のあるジャッジは防げない。

 02年日韓W杯では韓国がベスト4に進出した。決勝トーナメントの韓国対イタリア戦を裁いたエクアドル人審判に疑惑の目が向けられた。

 あれもこれも“科学の眼”でシロクロつけろと言っているわけではない。AIの時代を前に人と機械の役割分担を探ってもいいのではないか。(文中敬称略)

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