文化・ライフ

 ビジネスパーソンに対して「仕事ではファッションが大事」と言えば、結構な確率で否定されるだろう。大事なのは中身であって、服装などは二の次であると。

 では、「仕事では印象(インプレッション)が大事」と言い換えたらどうだろうか。おそらく、賛同する人がもっと増えるのではないか。

 「人は見た目が9割」とも言われるが、仕事をするうえでファッションは軽く見られることが多い。

 だが、「ファッションとは、その人の内面、在り方を表すもの」と考えれば、そのプライオリティは相当高まる。その人全体の「印象」を大きく左右するからだ。

 「お客様と会ったときは、まずその方の“人となり”を見ます」

 こう話すのは、経営者やエグゼクティブ層を中心に、多数の顧客を抱えるファッションスタイリストジャパンの西岡慎也氏。西岡氏はマンツーマンのコンサルティング形式で、ビジネスシーンなどにおいて印象を高めるファッションコーディネートを手掛けている。

 これまでに約3万人をコーディネートしてきた西岡氏の元を訪れるのは、ファッションに自信のない人のみならず、さらにセンスに磨きをかけたい人、転職を考えている人など、さまざまだ。

 スタイリストを付けるのは富裕層というイメージが強いかもしれないが、西岡氏の顧客の中には年収400万円代の層もいるという。

 「身だしなみにお金をかけるというのは、そもそも意識が高いことの表れでもあります。つまり、自分を見つめ直せる方たち。そういう方は仕事においても実績を上げています。今、自分に必要なものを長期的に考えれば、服装にこだわることのコスパは良い、と感じることができるのです」

 顧客の内面を探るために、西岡氏はコンサルティングにじっくり2時間掛けるという。

「ファッションも仕事と同じで、準備が大事。その人の“在り方”や“考え方”から設計していきます」

仕事において、設計、構築、見直しといったプロセスは重要だ。ファッションについても同じことが言えると西岡氏は言う。

だが、多くの人がファッションに対して否定感を持つのはなぜか。それは、「知らない」ことによる不安があるからだ。

「たとえば、スーツのジャケットの袖よりシャツの袖が長く作られているのは、もともと欧米ではワイシャツは下着の位置づけで、ジャケットに皮脂がつくのを防ぐという理由があります。そういうことを知れば知るほど、ファッションに対する恐怖心や否定はなくなっていくんです。否定をなくせば、知ることが楽しくなり、ふるまいにも自信が生まれます」

なぜ、その服を着るのか。そこに理由と根拠があれば安心と自信につながり、それが態度に表れる。ひいては、他人に自分の内面を知ってもらう助けとなる。

印象アップに関する西岡氏の豊富なノウハウの中から、コーディネートのテクニックを、一例だけ教えてもらった。

「リーダーシップが強く情熱的な方には、落ち着いた雰囲気の色を中心にコーディネートします。逆におとなしいタイプなら、積極性が前面に出るようにして全体のバランスを取ってあげます。基本は、その人の内面からの“引き算”になります」

 論理的で頭が良く、業界の知識に長け、努力も人一倍しているのに、なぜかもう1つ成果が出ない。そんなビジネスパーソンがいるとしたら、その原因はひょっとすると「印象」にあるのかもしれない。

西岡慎也経済界倶楽部分科会

「エグゼクティブのためのインプレッション(印象)コントロール」

講師:西岡慎也氏(株式会社ファッションスタイリストジャパン社長)

 

 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

二宮清純のスポーツインサイドアウト

一覧へ

米山公啓の現代医療の真相

一覧へ

見落としやすい薬の副作用

[連載] 現代医療の真相(第19回)

現代医療の真相

[連載] 現代医療の真相(第18回)

肺炎球菌ワクチンから見えるワクチン後進国日本

[連載] 現代医療の真相(第17回)

認知症・徘徊老人を受け入れる街づくり

[連載] 現代医療の真相(第16回)

サプリメント・ブームにもの申す

[連載] 現代医療の真相(第15回)

インフルエンザ予防接種は受けるべきか

吉田たかよしのビジネス脳の作り方

一覧へ

ネット検索の集中力は「独り言」で高まる!

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第20回)

ビジネス脳の作り方

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第18回)

人材育成のコツ ~部下の才能を褒めるとダメ人材に育つ~

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第17回)

株取引の損得は男性ホルモン量で決まる?

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第16回)

アルツハイマー病は脳の糖尿病!?

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

総合事業プロデューサーとして顧客と共に成長する―中尾賢一郎(グランドビジョン社長)

広告やマーケティング、ブランディングを事業プロデュースという大きな枠で捉え、事業が成功するまで顧客と並走する姿勢が支持されているグランドビジョン。経営者の思いを形にしていく力で、単なる広告代理店とは一線を画している。 中尾賢一郎・グランドビジョン社長プロフィール &nb…

中尾賢一郎(グランドビジョン社長)

人材戦略を経営の核に成長する駐車場ビジネスのプロ集団―清家政彦(セイワパーク社長)

「PCのかかりつけ医」として100年企業への基盤構築を進める―黒木英隆(メディエイター社長)

新社長登場

一覧へ

森島寛晃・セレッソ大阪社長が目指すクラブ経営とは

前身のヤンマーディーゼルサッカー部を経て1993年に創設されたセレッソ大阪。その25周年にあたる2018年12月に社長に就任した森島寛晃氏は、ヤンマー時代も含めて通算28年間セレッソ一筋、「ミスターセレッソ」の愛称を持つ。今も多くのファンに愛される新社長が目指すクラブ経営とは。聞き手=島本哲平 Photo=藤…

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

イノベーターズ

一覧へ

20歳で探検家グランドスラム達成した南谷真鈴さんの素顔

自らの手で未来をつかみ取る革新者たちは、自分の可能性をどう開花させてきたのか。今回インタビューしたのは、学生でありながら自力で資金を集め、世界最年少で探検家グランドスラムを制した南谷真鈴さんだ。文=唐島明子 Photo=山田朋和(『経済界』2020年1月号より転載)南谷真鈴さんプロフィール&nbs…

南谷真鈴

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2020年1月号
[特集] 新しい街は懐かしい
  • ・「街の記憶」で未来をリノベーション
  • ・日本橋が「空を取り戻す」水辺と路地がつながる街へ
  • ・水辺はエンタメの宝庫だ 大阪が目指す観光客1300万人
  • ・街の誇りを取り戻せ 名古屋・堀川復活プロジェクト
  • ・なぜ水辺に都市が栄えるのか
  • ・2020以降は海と川がさらに面白くなる
  • ・「住む」と「働く」両方できるが求められている(たまプラーザ)
  • ・「土徳」が育む一流の田舎(南砺市)
  • ・音楽ファンが集う街づくり
[Special Interview]

 辻 慎吾(森ビル社長)

 東京が世界で勝ち抜くために必要なこと

[NEWS REPORT]

◆飛びたくても飛べないスペースジェットの未来

◆エンタメが街を彩る 地方創生に挑むポニーキャニオン

◆問題噴出のコンビニをドラッグストアが抜き去る日

◆始まった自動車世界再編 日本メーカーはどう動く?

[特集2]

 経済界福岡支局開設35周年記念企画

 拓く!九州 財界トップが語る2030年のかたち

ページ上部へ戻る