一流ビジネスマンほど「印象」にこだわる理由
2016年11月28日

ビジネスパーソンに対して「仕事ではファッションが大事」と言えば、結構な確率で否定されるだろう。大事なのは中身であって、服装などは二の次であると。
では、「仕事では印象(インプレッション)が大事」と言い換えたらどうだろうか。おそらく、賛同する人がもっと増えるのではないか。
「人は見た目が9割」とも言われるが、仕事をするうえでファッションは軽く見られることが多い。
だが、「ファッションとは、その人の内面、在り方を表すもの」と考えれば、そのプライオリティは相当高まる。その人全体の「印象」を大きく左右するからだ。
「お客様と会ったときは、まずその方の“人となり”を見ます」
こう話すのは、経営者やエグゼクティブ層を中心に、多数の顧客を抱えるファッションスタイリストジャパンの西岡慎也氏。西岡氏はマンツーマンのコンサルティング形式で、ビジネスシーンなどにおいて印象を高めるファッションコーディネートを手掛けている。
これまでに約3万人をコーディネートしてきた西岡氏の元を訪れるのは、ファッションに自信のない人のみならず、さらにセンスに磨きをかけたい人、転職を考えている人など、さまざまだ。
スタイリストを付けるのは富裕層というイメージが強いかもしれないが、西岡氏の顧客の中には年収400万円代の層もいるという。
「身だしなみにお金をかけるというのは、そもそも意識が高いことの表れでもあります。つまり、自分を見つめ直せる方たち。そういう方は仕事においても実績を上げています。今、自分に必要なものを長期的に考えれば、服装にこだわることのコスパは良い、と感じることができるのです」
顧客の内面を探るために、西岡氏はコンサルティングにじっくり2時間掛けるという。
「ファッションも仕事と同じで、準備が大事。その人の“在り方”や“考え方”から設計していきます」
仕事において、設計、構築、見直しといったプロセスは重要だ。ファッションについても同じことが言えると西岡氏は言う。
だが、多くの人がファッションに対して否定感を持つのはなぜか。それは、「知らない」ことによる不安があるからだ。
「たとえば、スーツのジャケットの袖よりシャツの袖が長く作られているのは、もともと欧米ではワイシャツは下着の位置づけで、ジャケットに皮脂がつくのを防ぐという理由があります。そういうことを知れば知るほど、ファッションに対する恐怖心や否定はなくなっていくんです。否定をなくせば、知ることが楽しくなり、ふるまいにも自信が生まれます」
なぜ、その服を着るのか。そこに理由と根拠があれば安心と自信につながり、それが態度に表れる。ひいては、他人に自分の内面を知ってもらう助けとなる。
印象アップに関する西岡氏の豊富なノウハウの中から、コーディネートのテクニックを、一例だけ教えてもらった。
「リーダーシップが強く情熱的な方には、落ち着いた雰囲気の色を中心にコーディネートします。逆におとなしいタイプなら、積極性が前面に出るようにして全体のバランスを取ってあげます。基本は、その人の内面からの“引き算”になります」
論理的で頭が良く、業界の知識に長け、努力も人一倍しているのに、なぜかもう1つ成果が出ない。そんなビジネスパーソンがいるとしたら、その原因はひょっとすると「印象」にあるのかもしれない。
「エグゼクティブのためのインプレッション(印象)コントロール」
講師:西岡慎也氏(株式会社ファッションスタイリストジャパン社長)
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