マネジメント

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(とくしげ・とおる)1970年生まれ、山口県出身。94年九州大学工学部卒業後、住友海上火災保険(現・三井住友海上火災保険)入社。29歳で退社後、2000年米サンダーバード国際経営大学院でMBA取得。10年4月テラモーターズを創業し、代表取締役社長に就任(現任)。16年3月テラドローンを設立し、代表取締役社長に就任、現在に至る。

 ドローン業界でグローバル展開を視野に入れた戦略が注目を集めているのが、テラドローンだ。徳重徹社長はもともと電動バイクを製造・販売するテラモーターズを立ち上げ、その功績により、当社主催の「金の卵発掘プロジェクト2012」にて審査委員特別賞を受賞。そのテラモーターズに続く新規事業として2016年3月、テラドローンを設立した。ドローンでもメガベンチャーを目指す徳重社長に話を聞いた。

EVに次ぐ新事業としてドローンに参入

―― まず、ドローン事業を始めた経緯についてお聞かせください。

徳重 われわれはEV(電動バイク)の会社をやっていて、メガベンチャーをつくるという目標がありました。そして、EVは堅実に拡大していくメドが立ち、新しい事業を立ち上げる流れで、いろいろ調査しました。その中でドローンを始めたのは、いくつかポイントがあります。まず非常に大きいのは、市場の黎明期であるということ。インターネットもスマートフォンもそうでしたが、市場の黎明期をいかにとらえるかは重要です。

 次に、市場が拡大するときに競合に勝てないといけません。ドローンのことをいろいろ分析すると、事業で勝つためのポイントは、一つはスピード、もう一つはグローバルだと思っています。規制やテクノロジー、マーケット、競合がダイナミックに、しかもグローバルに変わっていくわけです。そこにいかに対応できるかが極めて重要ですが、それは当社が得意なことでもあります。グローバルに展開でき、かつダイナミックにスピード感を持ってやれる。市場はまさにこれからで、しかも会社自体がそういう競争に勝てるような会社だということです。

 もう一つ、実はドローンの領域は日本が昔からやっていたことなんです。技術はあったわけで、なおかつヤマハの農薬散布など、ビジネスアプリケーションもありました。本来なら、日本が先頭に立ってしかるべき分野だったわけですが、この2~3年で周回遅れ以下になっています。これには悔しいという思いもありますし、諸々のファクターがあってドローンを始めているという状況です。

―― 具体的には何をやられているのでしょうか。

徳重 今われわれがやっていることは大きくは二つ。一つは、土木測量において、ドローンを活用して時間とお金を大きく削減することです。例えば、道路をつくったり、東北の復興で高台をつくったり、土を触るような土木工事は、従来はトータルステーションで測量をしていますが、これをドローンでやれば、早く安くできます。ただ、それだけなら誰でもできますが、われわれは高い精度が出せます。しかもそれを全国レベルでできることが当社の特徴です。

 もう一つは管制システムです。これからドローンが増えていく中で、空港の航空管制のように、ドローンの管制も非常に必要になります。また、今は土木測量や農薬散布も目で見てドローンを操作しています。しかしドローンが産業になるためには、目に見えていないところにもドローンが正確に衝突せずに飛んでいく「目視外飛行」ができないといけません。それを実現するのがドローン管制で、UTM(Unmanned Aircraft Systems Traffic Management)と呼ばれています。

海外で実績出し日本へフィードバック

DMA-20170207_DRONE_テラドローン_DSC0261―― 測量について、テラの強みをもう少し具体的に。

徳重 ドローンを飛ばすことはワンオブゼムです。ドローンを飛ばして、その後にドキュメンテーションを出しますが、アウトプットのデータ処理などが重要になります。当社はそういうトータルなサービスを高い品質、精度で、かつ迅速に全国レベルで提供できます。そこは圧倒的な違いがあり、それで仕事が来ている感じです。

―― 精度は何に依存するのですか。

徳重 そこはいろいろなノウハウがあります。例えば、単に精度を出すだけなら、低く飛べばいい。しかし低く飛ぶとそれだけ写真の枚数が非常に多くなる。写真の枚数が多くなると、後処理に時間がかかります。それゆえ、精度を出すための効率的な撮り方が重要になります。それは飛ばし方や、後のソフトの加工など、いろんなところのノウハウの集合により精度を出すことになります。

―― ハードの開発はやらないのですか。

徳重 実はハードもやっています。今、DJIがホビー用にやっていますが、DJIと完全に競合することはやっていません。例えば固定翼のドローンです。マルチコプターのドローンの一番のネックは飛行距離です。日本ならばマルチコプターでよいのですが、海外はもっと広い土地が多く、固定翼のドローンが必要になります。

―― テラモーターズではグローバルに展開していますが、ドローンのグローバル展開は。

徳重 今は国内だけですが、早々に海外への進出を検討している状況です。基本的には、土木測量とUTMから入りますが、海外となると、日本ではないような面白い案件があります。例えばガス田では、5×5キロメートルの土地に30×30×300メートルの穴を掘りますが、この穴が500個あります。今は人が自動車を運転して行き、一つずつ穴のガスの量を測っている。それに対して、ガスの検知器をドローンに積んで測って、おかしいところだけ人が行って確認すればよいという話があります。あとは鉱山から港まで1千キロメートルある場合、鉱山から港まで石炭を運ぶ鉄道をドローンでチェックするという話もあります。

 まずは土木測量から入りますが、オイル&ガスや、森林の環境保全など、広い場所に行くほど可能性はいろいろ出てくると思っています。本当は、日本でもオイル&ガスや鉄道をやりたいのですが、「実績は?」とまず言われてしまいます。実績を海外でつくってからなら、やりようがあるかなと思います。

―― それは商慣習の違いや規制の問題が大きいですか。

徳重 日本はまだドローンの規制はゆるやかですが、やっぱりマインドのところですよ。海外の人にとっては、今でさえ人がいちいち見ていて非効率なわけですから、それをドローンで見て効率的にできるなら良いという発想が海外なら大手の会社でもあります。なので、われわれはとにかく海外で実績を出し、日本にフィードバックしたいと思っています。

プラットフォーム押さえ世界トップクラスを睨む

―― UTMについて貴社の特徴は。

徳重 UTMでは、世界でもまともにやれている会社は3つぐらいしかありません。今回われわれはその中で一番イケているベルギーのユニフライという会社に5億円出資して、筆頭株主になっています。UTMはプラットフォームになりますので、早くプレゼンスを出すことが重要です。あとから他社が参入して巻き返すことは難しいかなというのが本音です。そういう意味では、今回のユニフライへの出資は業界的には非常に大きな話だと思います。

 私の場合、シリコンバレーに5年いたのでリスクの取り方が違いますが、やはり普通に考えると、管制システムの導入は2020年ごろで、先の先の話なんですよ。私自身も実はそう思っていた。ところが昨年6月にアメリカに行き、7月にヨーロッパに行くと、向こうは全然進んでいて、このスピード感でやっていたら駄目だなと感じました。もともと温めていた構想でしたが、考えを改めて6月から急ピッチで、一気に人を投入してつくりこんでいる状況です。

 黎明期のときにスピード感を持ってやることが重要で、私としては今回のユニフライが、インターネットのときのヤフーになるという意識があります。ヤフーがまだ海の物とも山の物とも、何かよく分かっていない時に孫さんが投資して今のソフトバンクの基礎を築いたわけですが、ああいう世界がドローンでも起こりうるかもしれません。それぐらいドローンの中でUTMは大事です。

 それと私が非常に面白いと思っているのが、普通この手の分野はアメリカに既にお化けみたいな会社があるんですよね。しかしドローンでは今はDJIしかありません。しかも、DJIはホビーとハードの会社ですから、これから産業用のサービス、アプリケーションが伸びていく中で、この分野のビッグプレーヤーは世界でもまだいないんですよ。われわれは、日本ではトップランナーの位置付けにほぼ来ていて、世界でもイーブン以上のことはできていると思いますが、次は世界でもトップクラスに入れるように今いろいろと私が仕込んでいます。

―― 土木測量だけでビジネスが広がるイメージですか。

徳重 土木測量の場合は、サービスなので、売り上げ的にはまだまだですが、ハードをやっていけば売り上げはもっと立ってきますし、世界に広がります。ヨーロッパもアメリカも、オイル&ガスや鉱山、土木では、各地で世界的な多国籍企業がやっていて、やり方も同じです。ここで実績があれば、ほかの国に簡単に行きやすくなります。

―― 今、徳重さんの時間の使い方は、テラモーターズよりもテラドローンのほうが多いのですか。

徳重 われわれも、若い人材が育ってきたり、中途で良い人材も入ってきたりしました。EVは安定的に成長してきて、ドローンも日本はだいぶん立ち上がってきたので、彼らに任せています。私のミッションは、とにかく海外の拠点、成功の事例をつくることだと思っています。EVの場合は時間がかかりましたが、ドローンについては、ある国でしっかりと成功できれば、一気にグローバルに垂直立ち上げできると思っています。恐らくEVの時よりはるかに早い成長が期待できます。

 

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