国際

20151222NIRUMARA

在外インド人からは毎年700億ドルが国内還流

 2015年に国外に居住するインド人は2500万人で、国外移住人口としては世界最大だ。米国、英国、オーストラリア、シンガポールなどがインド人の主な移住先で、移住目的は、学問、ビジネスなどとなっている。

 アメリカ国勢調査局は、在米インド人世帯の平均年間所得は、国の平均である3万8885ドルに対して、6万ドルであると推定している。在米インド人の年間購買力は250億ドルと推定される。インド人は、米国内の低価格ロッジの50%、ホテルの35%を所有しており、その市場価値は約400億ドルに上る。

 米国のインド人の9人に1人がミリオネアであり、米国のミリオネアの10%にあたる(03年Merrill Lynch SAマーケット調査)。

 カリフォルニア大学バークレー校の調査では、シリコンバレーで働くエンジニアの3分の1がインド系であり、シリコンバレーのハイテク企業の7%はインド人がCEOである(Silicon India Readership Survey調べ)。

 インド人は、他のアジア系と同じく、米国内の民族グループの中で最も高度な学歴を有している。全インド人の約67%が学士以上の学位を所有している(国全体では28%)。全インド人の約40%が修士号、博士号またはその他の専門的学位を所有しており、これは米国の平均の5倍だ(政治意識に関するインド系アメリカ人センター調査)。

 英国におけるインド人移民コミュニティーは、現在第3世代を迎えている。在外インド人(NRI)は非常に成功しており、かつてはバスの車掌、ウェイター、小売店主などであったのが、現在では医者、法律家、会計士、成功したビジネスパーソンなどになっている。

 毎年、在外インド人から、インド国内の家族向けやその他の目的で、およそ700億ドルがインド国内向けに送金される。インドは、自国民からの最大の外貨送金受取人ということになる。

不動産市場に流れる在外インド人からの投資

 NRIの所得が大きく増えたことで、インド政府は、国内の多くのプロジェクトにNRIからの投資を呼び掛けており、その内の部門のひとつが不動産部門だ。

 インドの不動産市場は近年、持続的に成長し、不動産物件の価格は記録的高値に達した。このことは、インド経済の成長を後押しする巨額の投資を引き起こし、不動産部門は、国内で2番目に多く従業員を雇用する部門となった。

 FEMA(外国為替管理法)およびインド準備銀行(RBI)の規則緩和によって、NRIにとってインドへの投資が容易になった。税金関連も緩和され、住宅ローンの利子がNRIの課税対象所得から限度額なしで控除可能となった。

 インドで不動産物件を持つことは、米ドルとインドルピーの換算率のお陰で大きな投資を行う必要もないため、NRIにとってビジネスの観点からも利益がある。NRIによるインド国内への投資は35%に増加する見込みだ。

 最近の調査によると、不動産物件に投資するNRIは、デリー首都圏、チャンディーガル、アフマダーバード、プーネ、ムンバイ、コルカタ、バンガロール、ハイデラバード、チェンナイおよび他のTier2都市への投資に熱心なようだ。

国内でのキャリア獲得へ在外インド人もUターン

 近年、海外に移動するインド人の傾向が逆転し始めた。多くの在外インド人は、インド国内でも同じようにキャリアの機会があると考えているため、インド国内に戻りたがっている。インドが新規起業に適した場所になり、多くのベンチャーキャピタルを引き付けているため、多くのNRIはこの分野で生じる機会を掴むことに熱心だ。

 ルピーが下落していることもあり、不動産は在外インド人にとって利益の見込める投資オプションとなった。また、市場の活況度に関係なく、多くのNRIは、インドに戻って自らの場所を見つけたがっている。

 お金の投資とは別に、最近では時間への投資も役割を担っている。多くのNRIの間で社会的な意識が高まり、自らの母国に奉仕したいという機運が高まっている。

 14年に行われた選挙における意識向上キャンペーンに多くのNRIが積極的に参加して、友人や家族に投票を呼び掛けたことは良く知られている。しかし、それがすべてではない。巨大な多国籍企業で働く技術者で、最近日本から帰国したインド人の友人A氏は、

 「私はSwachh Bharat Campaign(クリーンインディアキャンペーン)に積極的に参加し、貢献したい。日本の清潔さに感銘を受けた。自分の国も同じように清潔になってほしい」と言っている。

筆者の記事一覧はこちら

関連記事

好評連載

グローバルニュースの深層

一覧へ

習近平政権下の中国経済と新時代の到来

[連載] グローバルニュースの深層

グローバルニュースの深層

[連載] グローバルニュースの深層

原油事情に関するロシアの分析

[連載] グローバルニュースの深層

プーチン露大統領の内外記者会見

[連載] グローバルニュースの深層

中間選挙後の米国を展望する

[連載] グローバルニュースの深層

中国を制するものは世界を制す

変貌するアジア

一覧へ

鴻海によるシャープ買収のもう1つの狙い

[連載]変貌するアジア(第37回)

[連載]変貌するアジア(第36回)

SDRの一翼を担う人民元への不安

[連載]変貌するアジア(第33回)

開催意義不明の日中韓首脳会議

[連載]変貌するアジア(第32回)

朱立倫の総統選出馬と台湾海峡危機

津山恵子のニューヨークレポート

一覧へ

CESの姿が変わる花形家電よりもネットワークに

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第20回)

津山恵子のニューヨークレポート

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第19回)

米・キューバ国交回復のインパクト

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第18回)

クリスマス商戦に異変! 店舗買いが消え行く

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第17回)

格差問題が深刻化する米国―教育の機会格差解消にNY市が動き出す

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第16回)

米中間選挙で共和党が圧勝 16年大統領選はどうなる!?

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次世代の医療現場を支える病院経営の効率化を推進――保木潤一(ホギメディカル社長)

1964年にメッキンバッグを販売して以来、医療用不織布などの、医療現場の安全性を向上する製品の普及を担ってきた。国は医療費を抑える診断群分類別包括評価(DPC制度)の導入や、効率的な医療を行うため病院のさらなる機能分化を実施する方針を掲げており、病院経営も難しい時代に入っている。ホギメディカルは手術室の改善か…

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

リグナ社長 小澤良介 家具のEC販売から様々な展開へ

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年12月号
[特集]
平成 ランキングで振り返る“時代”の経営者

  • ・バブル破裂で顔ぶれ一新 平成人気経営者の系譜
  • ・次の時代を創るリーダーとは?

[Special Interview]

 榊原定征(2025日本万国博覧会誘致委員会会長)

 「誘致決定まで1カ月 大阪万博を日本経済の起爆剤に」

[NEWS REPORT]

◆コンビニ軽減税率適用で激化する「外食VS中食」の戦い

◆「液晶のシャープ」が有機ELスマホを発売 初の国産パネルで攻勢をかける

◆「世界一高い」と認定された日本の携帯料金のこれから

◆チャネル政策を見直すトヨタ自動車の危機感

[特集2]

 北海道・新時代の幕開け

ページ上部へ戻る