テクノロジー

学校の授業は「聞く」が主体と語る加藤俊徳氏

201709脳番地

 小学2年生の時、「イキイキしているのは、体育、図工の時間だけです」と担任の先生に告げられた母は、青ざめて帰ってきました。息子の脳の発達が遅れていることを示唆されて途方にくれた様子でした。幸い、私は、遅れていた脳の発達を取り戻し、今、医者として、脳科学者として活動ができています。

 文章を読むことすらままならない状況からなぜ、私が脳の使い方を人に説けるまでになれたのか?

 その秘密は、「見る」ことです。

 人は、見れば見るほど頭が良くなるのです! 間違いありません。ただ、見ることを極めていかなければなりません。

 体育と図工の時間の共通点は、目を使ってよく見る力が必要なことです。自分に見る力があっても、その能力が発揮されたり、認められるチャンスは、社会に出るまで多くはありません。

 その理由は、学校の授業が、聞くこと、聞いて記憶することを基本としているからです。授業がつまらない、座っていられない人は、見る力を使えば、その日から楽しくなります。

 座学が苦手な人の多くは、聴覚系が弱く、視覚系を使って情報を脳に取り込む能力が育ちやすくなります。行動することで能力が発揮される脳タイプの人がいるのです。

 もしかしたら、運動音痴、絵が苦手という人は、見る力が不足しているかもしれません。

自分の「見る力」を発見した加藤俊徳氏

 私は、医学生だった25歳の時に、初めて自分の見る力がもしかして、少し人より優れているかもしれないと自覚できました。頭部のレントゲン写真を1度見ただけで、ほとんど記憶していました。頭がいい同僚がなぜ、記憶していないのか、不思議でした。あるがままのレントゲン写真をなぜ、おぼろげにしか頭に入れられないのか?

 その時、授業を担当してくださった医者の先輩の様子を見て、見ることなら何とかやれるかもと思いました。その後、MRI脳画像診断の新しい分野を開拓し、多くの発見や発明ができたのは、私が鍛えてきた「見る力」のお陰です。私の見る力の原点は、海です。海を見て育った私は、祖父の船に4歳から乗っていました。暇さえあれば、空を見て、カモメを見て、水面を見て、いつしか、見えない水中まで想像するようになりました。祖父と共に過ごし、波の読み方、天候の読み方など、見る力を自然に深めていきました。

 26歳で医者となり、医療現場に行くと、見る力が9割を占めていて、自分が医者に向いていたことを自覚できました。10年以上前に見た患者さんの脳画像を今でも3次元で詳細に思い出すことができます。見るだけで記憶力を上げることができたので今の私があると言って過言ではありません。

 見る力がある人も、少し足りない人でも見る力で記憶力を鍛えられるのです!

(かとう・としのり)昭和大学客員教授。米ミネソタ大学放射線科MRセンターに6年間在籍、慶應義塾大学、東京大学などで脳研究に従事した後、2006年「脳の学校」を創業。13年加藤プラチナクリニックを解説し、経営者向け脳画像診断指導を行っている。最新刊『見るだけで記憶力が上がる本』(宝島社)。

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