政治・経済

エラーが少ない“守備型内閣”

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イラスト=のり

 「国民から大きな不信を招く結果となり、あらためて深く反省し、お詫び申し上げる」

 8月3日、第3次安倍第3次改造内閣の発足後、官邸で記者会見に臨んだ安倍晋三首相は冒頭、加計学園問題や南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報隠ぺい問題についてのお詫びを口にした。内閣支持率低下の大きな原因だっただけに、この改造人事でリセットしたい気持ちなのだろう。

 「結果本位の仕事人内閣だ」と、安倍首相が胸を張る新内閣の顔触れを見渡すと、確かにやや地味ではあるがエラーが少ない“守備型内閣”だといえる。しかし、自民党関係者はこう懸念を隠さない。

 「堅実な陣容にシフトしたのは一目瞭然です。しかし、加計学園問題や自衛隊の日報問題は、何も解決していません。このままフタをしてしまうようだと、またしても支持率低下に拍車がかかり、完全な死に体内閣になってしまいます」

 今年10月22日には、自民党の木村太郎衆院議員の死去に伴う衆院青森4区補選、同じく自民党の白石徹衆院議員死去に伴う愛媛3区補選の投開票が行われる。この結果で自民党がダブルで負けることがあれば、年内の衆院解散は行われないとの見方が大勢を占めている。自民党の中堅衆院議員はそのワケをこう語る。

 「安倍首相では戦えない、となるわけです。都議選後、世論調査で内閣支持率が1カ月下落し続けた理由は『安倍首相が信用できないから』でした。つまり、内閣の顔触れを替えても、“表紙”を代えない限りダメだということ。逆に、支持率がV字回復し、両方の補選を勝ち抜ければ、再び安倍首相がイニシアティブを握れることになる」

 加えて、来年末の衆院議員任期まで待てない解散を引っ張ることも許されないと、他の自民党関係者は語る。

 「来年後半は、天皇退位に向けてのスケジュールが立て込むため、解散総選挙はしづらい。なので、解散リミットは通常国会会期末の6月末ごろまでと見ていいでしょう。つまり、この1年以内に解散総選挙が行われると言っていい。その場合、安倍首相で解散を打つのか“違う顔”で戦うのか、選択を迫られる時期がやってくる」

取り返しのつかない大敗の可能性も

 野党に目を向ければ、8月3日の時点で、自民党を離党した若狭勝氏、民進党を離党した長島昭久氏らによる新党はできていない。改めて言うまでもなく、小池百合子都知事が率いる都民ファーストの会の国政版だが、年内には5人以上で新党が結成されるもようだ。

 「“小池新党”という受け皿ができれば、わが党からは大量の議員が離党し、“移籍”すると見られています」

 こう語るのは民進党関係者だ。蓮舫代表が辞任を発表し、代表選が9月1日に実施されることとなり、枝野幸男元官房長官と前原誠司元外相が出馬を表明。2人のガチンコ対決に、党の分裂危機、崩壊危機が囁かれる羽目になっている。

 この状態を横目に、自民党からはこんな声も漏れ伝わってくる。

 「この野党の現状を見れば、早いタイミングで解散を打つのが負け幅を少なくする唯一の戦法だ。ところが、内閣支持率が微増し、このままで行けると安倍首相が勘違いすると痛い目に遭うだろう」

 こう語る自民党関係者は、支持率が少しでも上向けば、安倍首相は改造人事が功を奏したと思い、自身の手で3期目の総裁選に向かうべく解散のタイミングを計っていくと予想するのだ。しかし、これが落とし穴で、取り返しがつかない大敗への道につながる可能性があるという。

 「7月の都議選は、従来の自民党支持層の2~3割が都民ファーストに投票した結果、自民党が惨敗したのです」(前出・自民党関係者)

 これは自民党支持層が「今回はお灸を据えてやろう」と行動に出た結果で、加計問題や日報問題をクリアにしない限り、票が戻ってはこないという。都議選は公明党の学会票が離れ、無党派層が自民党にノーを突きつけた。加えて、自民党支持層離れが招いた結果だというのだ。

 安倍首相に突きつけられたものは、改造内閣による経済政策の充実だけではない。不信の元となったさまざまな問題について、お詫びだけでなく、解決に向けた取り組みが不可欠なのだ。

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