政治・経済

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 文科省の有識者会議の暴走が止まらない。先日の「インターンシップは学業の邪魔になるので就職活動と関連付けるな」という「大人の建前(大嘘)」答申に続き、今度は別の有識者会議が、「国立大学の付属中高校が『エリート校』化しているのはけしからん。入試をくじ引きにして引きずりおろせ」ときた。

 「付属校は教員養成を目的としており、エリート校はその機能を果たせない」という建前を振りかざしているが、本音は違うところにありそうだ。

 公教育における反エリート校主義の歴史は長く、半世紀ほど前、日比谷、戸山、西といった、旧制中学の良き伝統を引き継ぎ、自由な校風で、学問、文化、政官財界などに多様な人材を輩出していたエリート公立高校を「学校群制度」で潰した。

 その結果、優秀な生徒は私立か国立大付属校に流れたが、「公教育はエリート養成にかかわるべきではない」という「教育サヨク」たちは、次に国立大付属校に狙いを定め、何度も潰しにかかってきた。

 しかしその間、多くの付属校は、多様な才能を育む良質なエリート中等教育機関として発展し、世界クラスのトップ人材を多数輩出してきた。政官財界だけでなく、演劇の野田秀樹さんや脳科学者の茂木健一郎さん、ノーベル賞受賞者の山中伸弥さんや理研の高橋政代さんなど、世界をリードする独創的な業績を上げている人材が目白押しだ。最近、目立ち始めた世界クラスの技術力を持った大学発ベンチャーの起業家にも、プリファードネットワークスの西川徹さんなど、付属校出身の若者が多い。こうしたトップ人材の中には、飛び抜けて優秀だが家庭の経済事情が厳しく、国立の安い授業料の恩恵が決定的だった人も少なからずいる。

 21世紀は人的資本の時代である。政府も「人づくり革命」を掲げており、そこでは地域を支える基盤人材の教育水準の底上げと同時に、日本の教育の弱点とされてきたグローバルトップ人材の育成も極めて重要となる。学問、芸術、スポーツ等々、グローバル人材育成競争のスタート時点は世界的に若年化が進んでいる。せっかく高い潜在能力の子どもたちが伸び伸びと過ごしている人材プールが目の前にあるのに、それを「一般の子どもを教える教員の養成の役に立たない」という本末転倒な理由で潰すのか。むしろ優秀な才能をどんどん伸ばし、同時に豊かな人間性を育むスーパー中等教育機関として国を挙げてもっと強化すべきではないのか。教員養成と言うなら、突き抜けた才能を伸ばすスーパー教員養成校にすべきではないのか。

 文科省の事務方も有識者会議の連中も、今回の付属校潰しは本気らしい。少子化で生徒が集まらない私立中高校からの「エリート教育を国立がやるのは民業圧迫だ」との業界圧力も追い風だという。「教育サヨク」の「エリート教育なんて私立にやらせておけばいい」という伝統的主張とシンクロして、国賊ものの報告書に結実したようだ。

 この「歪んだ行政」を政治の力で正すことができるか否か。安倍政権の「人づくり革命」の本気度が問われている。

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