文化・ライフ

子どものころから長年続いた母親との確執、結婚・離婚など、波乱万丈の人生を歩んできた、作家のいつかさん。自らの豊かな人生経験を元に、現在は幅広い層の男女の恋愛・結婚の指南役として活躍するいつかさんの半生と、その素顔に迫ります。

いつか氏が語る 女性が生きやすい時代にその上で求めたいもの

201711SANSAN_P01

いつか 東京都生まれ。著書は『わたし幸せじゃないの?』(経済界)、『ガラスの天井のひらきかた』ほか、恋愛・結婚のエッセーや自己啓発書、ビジネス書など電子書籍を含め50冊超、累計50万部を数える。世界50カ国以上に多彩な人脈を持つ。

佐藤 いつかさんとはもう10年以上のお付き合いになりますが、こうした場で、面と向かってゆっくりお話しするのは初めてですね。

いつか 緊張しますね(笑)。『ゼッタイ、必ず、大丈夫』『結婚できない10の習慣』に続き、『わたし幸せじゃないの?』を発行していただき、ありがとうございました。

佐藤 こちらこそありがとうございます。この本はいつかさんの半生を踏まえた女性の生き方について、膨大なデータを元に緻密に書かれていて、言葉一つ一つに重みを感じながら興味深く読ませていただきました。今は女性を取り巻く社会的環境が30年前とは大きく変わり、女性は生きやすく、働きやすくなりましたが、その環境に甘えてはいけない、まだ不十分なところもあるとも示唆しています。看護師の待遇の良さとその歴史的背景のところで触れられていましたね。

いつか 深く読んでいただきうれしいです。職場に女性が多い他の職業と比べて、看護師は、長い時間をかけて社会で闘ってきた歴史があります。職能団体や政治団体をつくり、政治家を輩出し、明確な問題意識を持って発言し、行動してきたから待遇がいい。2016年4月に女性活躍推進法が施行され、女性の環境は改善されました。でもそれに甘えて満足していてはいけないと思うんです。問題に対しては「間違っている」と主張し、自ら権利を勝ち取っていくという姿勢があって、初めて女性が活躍できる社会ができるのだと思います。

佐藤 仰るとおりですね。女性は与えられた社会を生きるのではなく、女性自らが切り開いていくという姿勢と覚悟が必要ですよね。

いつか氏の思い 波乱万丈な人生を経て今、女性に伝えたいこと

佐藤 いつかさんは子どものころからご両親のスパルタ教育を受けて育ち、親との確執もあったそうですが、そういう環境も人格形成に影響した部分はあるのでしょうか?

いつか 私は3人姉妹の長女です。最初の子だから余計に厳しいのもあったのでしょうが、育て方が妹たちとはまるで違っていました。「一番になるのが当たり前」と言われ続け、どこまで頑張ればいいんだろうと悩みました。転機となったのは、16歳のころ原宿の歩行者天国で、雑誌の読者モデルとしてスカウトされたことです。自分の稼いだお金で高校卒業とともに一人暮らしを始め、コピーライターの仕事をするようになりました。いろいろな方に助けていただき、今があります。佐藤社長は、有名な経営者のお父さまとの親子関係はいかがでした?

佐藤 私は4人兄弟の長女なので、親の生活が厳しい時期に産まれた私と、親が豊かになってから産まれた子どもたちとでは、子育ての仕方が違いました。でもそれは仕方のないことですよね。父親との関係は、周りからは、「有美ちゃんはお父さんにかわいがられて」と言われましたが、父親を恋人のように感じたことはありません。よく叱られましたし、怖い存在でしたよ。いつかさんの20代のころはいかがですか? 世界各国を旅されていたそうですが得たものはありましたか?

いつか 叔母がアメリカに住んでいたので、20歳でアメリカに渡り、そこで日本のシステムにとらわれていては駄目だと気づきました。日本では他人と同調するのが美徳だとされますが、アメリカでは自己主張し、他人の意見も尊重します。これまでに50カ国以上を訪れ、世界中の人々のモノの見方や考え方を知ることができたのは財産です。

佐藤 海外で学んだことで、日本社会に必要なことはありますか?

いつか これは本にも書きましたが、周囲に流されないこと、他人の視線に縛られないこと、自分を犠牲にしないこと、頑張り過ぎないこと、陰口を言わないことは今の日本社会に必要ですね。

201711SANSAN_P02佐藤 それらは裏返せば、日本人の弱点ともいえる特性であり、文化ですしね。その後、結婚・離婚を経験され、その経験を真正面から受け入れて、30代、40代と女性に向けて50冊以上の恋愛・結婚の本を書き続けてこられた。今回の本と新刊『ガラスの天井のひらきかた』は、これまでと比べてもう一段上の新しい価値観で書かれたフェミニズムのバイブルと呼べる内容です。

いつか 50代になってモノの見方がずいぶん変わったというか、自分自身の中で意識改革があったんです。例えば若いころは恋愛・結婚に執着していましたが、今は「ケ・セラ・セラ」と思うようになりました。その上で、女性であることを生かしてどう生きるか。それを2冊の本に込めました。

佐藤 波乱万丈な人生を経ているからこそ、今のいつかさんが在るのでしょうし、それが作家としての言葉に宿っているから、同じ女性にも、また男性にも、性別を越えて響くのだと思います。経験を受け入れるだけでなく、生かすことは大切なんですね。

似顔絵=佐藤有美 構成=大澤義幸 photo=佐藤元樹

関連記事

好評連載

二宮清純のスポーツインサイドアウト

一覧へ

米山公啓の現代医療の真相

一覧へ

見落としやすい薬の副作用

[連載] 現代医療の真相(第19回)

現代医療の真相

[連載] 現代医療の真相(第18回)

肺炎球菌ワクチンから見えるワクチン後進国日本

[連載] 現代医療の真相(第17回)

認知症・徘徊老人を受け入れる街づくり

[連載] 現代医療の真相(第16回)

サプリメント・ブームにもの申す

[連載] 現代医療の真相(第15回)

インフルエンザ予防接種は受けるべきか

吉田たかよしのビジネス脳の作り方

一覧へ

ネット検索の集中力は「独り言」で高まる!

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第20回)

ビジネス脳の作り方

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第18回)

人材育成のコツ ~部下の才能を褒めるとダメ人材に育つ~

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第17回)

株取引の損得は男性ホルモン量で決まる?

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第16回)

アルツハイマー病は脳の糖尿病!?

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

上場して分かったTOKYO PRO Marketのメリット―前田浩・ニッソウ社長に聞く

多くの経営者が目標とする株式上場。しかし、上場に掛かるコストや時間、その他諸々の条件を考慮して、「上場は到底無理」と諦めてしまうケースも少なくない。そんな経営者にとって有力な選択肢となるのが東京証券取引所の運営する第五の市場TOKYO PRO Marketへの上場だ。2018年に同市場に上場を果たした、株式会…

前田浩氏

未来のモビリティ社会実現に向け日本と欧州の懸け橋に―シェフラージャパン

日本一歴史の長い女性用化粧品会社が挑む「革新と独創」―伊勢半

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

再エネ時代到来に向け、大石英司・みんな電力社長が目指す「顔の見える」世界

「消費者が電力の供給者を自由に選択できる時代へ」―― 再エネ主体の「顔の見えるでんき」をコンセプトに掲げるみんな電力が目指すのは、富が一部の人々に独占されないフェアな世界だ。法人顧客を中心に、同社への支持が集まっている理由を大石英司社長に聞いた。(吉田浩)大石英司・みんな電力社長プロフィール 消費者が発電事業…

佐藤輝英・BEENEXTファウンダーに聞く「起業家から投資家に転身した理由」

チェ・ゲバラに憧れた10代起業家が目指す「働き方革命」― 谷口怜央・Wakrak(ワクラク)社長

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年7月号
[特集] 素材の底力〜世界をリードする素材産業〜
  • ・素材のイノベーションが日本経済をリードする
  • ・化学工場 企業ごとの特色も鮮明に存在感増す化学素材
  • ・電気自動車普及が始まる車載バッテリーの覇権戦争
  • ・炭素繊維 市場を開拓してきた日本が技術的優位を保ち続ける法
  • ・「鉄は国家なり」の時代を経て問われる「日の丸製鉄」の競争力
  • ・経産省 日本の素材産業が世界をリードするための3つの課題
  • ・就職人気は下位に低迷でも焦らない素材メーカー
[Special Interview]

 日覺昭廣(東レ社長)

 「長期的視点で開発するのが素材企業のDNA」

[NEWS REPORT]

◆営業利益率10%突破 ソニーならではの「儲けの構造」

◆日本初の民間ロケットが宇宙空間に到達

◆携帯参入まであと4カ月 国内4番手「楽天」の勝算

◆日産・ルノーが直面する「経営統合問題」長期化の落とし穴

[Interview]

 「君は生き延びることができるか」──ガンダム世代が歩んだ40年

 常見陽平(評論家・労働社会学者)

ページ上部へ戻る