政治・経済

経済産業省 商工中金立て直しへ

 国の制度を悪用した不正融資が発覚した商工中金に対し、経済産業省は、有識者会議を開く同社のガバナンス(企業統治)改革などを検討する。最大の焦点は先延ばしされてきた完全民営化で、世耕弘成経産相も抜本的な経営改革を視野に入れる。ほぼ全店で不正が蔓延し、実態を隠蔽しようとした商工中金の立て直しには“解体的出直し”への覚悟が問われている。

 世耕経産相は10月27日の閣議後記者会見で、完全民営化について「(有識者会議では)ゼロベースで議論いただく。検討の結果、出てくれば受け止めて対応したい」と否定しなかった。会議では再発防止策や社外取締役の増員といった経営の透明性を高める案を検討する。不正の温床となった「危機対応融資」制度も見直し、年内に結論を公表する。

 もともと、商工中金を含めた政府系金融機関は資金力の乏しい民間銀行を補完し、中小企業などに融資するために設立された。民業圧迫との声を受け、商工中金は2008年から段階的に民営化されるはずだった。同年のリーマンショックで民間の金融機関で貸し渋りが横行すると、「トヨタ自動車ですら商工中金頼みだった」(経産省幹部)ほど、存在感を発揮し、民営化は先送りされた。一方で、経営陣は危機対応融資を維持すれば民営化を回避できると考え、不正をいとわない姿勢が広がった。政府系金融機関の地位に固執した結果、全100店舗中97店舗の444人が不正に関与するという異常事態を引き起こした。

 ただ、省内には民営化の慎重論も根強く、辞意を表明している元経産事務次官の安達健祐社長にも、「直接、不正にかかわったわけではなく、たまたま今の地位にあって責任を取らされている」(同省幹部)と同情的な声も聞かれる。安達社長が10月25日に危機対応業務をめぐる不正融資問題の調査結果を中小企業庁に提出した際には、かつての上司を慮ってか、報道陣に公開されたのは安藤久佳長官に報告書を手渡す数十秒間のみ。安達社長の謝罪など、言葉のやりとりは公表されなかった。世耕経産相は「組織としてのけじめをつける」と述べ、自らの給与の2カ月分を自主返納し、事務次官と中企庁長官にも厳重注意処分する気の遣いようだ。

 世耕経産相は安達社長の後任に民間出身者を充てる考えを示しているが、経産省は一時的なトップ人事にとどまらない改革案が示すことができるのか、注目される。

 

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