マネジメント

2020年に向けて日本をキャッシュレス化することを経営理念に掲げ、活動をしている。中国モバイル決済システムのサービスを中心とした決済代行ソリューション事業、インバウンド向けマルチ決済サービスのほか、さまざまなキャッシュレスソリューションを展開していく。

高木純氏の指摘①世界で進むキャッシュレス化に取り残されつつある日本

 

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株式会社NIPPON PAY創業者兼海外事業部門CEO 高木 純(たかぎ・じゅん)

 創業時は主に中国モバイル決済ソリューションを中心としたサービスから開始し、2016年1月にECショップ向けの中国3大決済サービス(ウィチャットペイ、アリペイ、銀聯=ユニオンペイ)を、17年1月に店舗向けにマルチ決済サービスを展開、同9月からは日本人向けにAmazon Payにも対応した決済ソリューションサービスを開始した。今後、東南アジア各国で普及している決済サービスのほか、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨も含め、さまざまなキャッシュレスソリューションを展開していくという。

 「14年に経済産業省は、20年に向けたキャッシュレス化の方策を発表しています。しかし、16年の日本の個人消費額300兆円のうち、240兆円は現金決済。日本はまだ現金決済が主流の国なのです。一方、中国はアリババのアリペイ、テンセントのウィチャットペイ、インドではペイティーエムといったモバイル決済サービスがあり、アフリカでは既に07年からエムペサというモバイル送金サービスが始まっています。

 世界の70億人のうち、中国、インド、アフリカがキャッシュレス社会に向けて進んでいて、それはこれからの世界標準になるというのに、日本は取り残されつつある。これは何とかしなければいけないという思いと同時に、このギャップはビジネスチャンスになると思いました」と高木純氏は起業の経緯を振り返る。

 高木氏は、高校を中退し、水道工事の仕事をしていた父親の手伝いや、建設会社を経営していた伯父の会社に勤めた後に独立。儲かりそうな仕事をしている人がいれば話を聞きに行き、その手伝いをする形でさまざまなビジネス経験をした。

 24歳になった高木氏は最年少上場の夢を描き、投資家から資金を集めたが頓挫し、25歳で8千万円の借金を背負うことになる。そんな時に「Yahoo!BB」拡販の仕事があると知り、営業に精を出し、全国2位になるとともに、借金も完済できたという。

 「肩の荷が下りたのか、燃えつき症候群のようになってしまいました。ちょうど父も亡くなり、生前、その父からは『男なら海外に出て勝負して来い』と言われていたのを思い出しました。そこで一念発起し、28歳からニュージーランド、オーストラリア、香港、シンガポールと40くらいのプロジェクトに関わり、多くのベンチャー企業のスタートアップのお手伝いなどをしてきました。

 37歳のときに保有していた飲食の会社の一つが売却できたので、世界を回り、その際に、立ち寄ったアフリカのケニアで、ボーダフォンがやっていた携帯電話のショートメッセージと送金サービスのエムペサを知りました。

 アフリカの人たちは、誰もが銀行口座を持っているわけではないし、銀行が辺ぴな場所にあったり、そもそも店舗がなかったりします。それでエムペサが普及していたのです。日本がSuicaなどを使っているときに、アフリカの国がこんな最先端のサービスを当たり前のように使っているのかとカルチャーショックを受けました。そこからモバイル送金、スマホ決済、キャッシュレス化に関心が深まり、今のNIPPON PAYにつながっています」

 

高木純氏の指摘②2020年の日本はキャッシュレス化のチャンス

 

 アフリカのマサイ族は中東に出稼ぎに行った後、給料はスマホで送金する。中国ではホームレスですらQRコードを掲げて物乞いをしている。この現実を目にした高木氏は帰国後、NIPPON PAYを設立すると、ECショップ向けの中国モバイル決済システムサービス、中国スマホ決済のウィチャットペイとアリペイを一つのアプリで対応可能にしたマルチ決済サービスを始めた。

 中国2大スマホ決済システムは、アジア圏からの訪日観光客の利便性を高めることができ、訪日外国人の集客効果が期待できるとして、精力的に展開している。東京・銀座、大阪市、愛媛県松山市に拠点があり、松山はNTTと共同で作った物流拠点だ。

 「キャッシュレス化によって現金を持ち歩かないので、アジアの新興国では強盗が減り、治安が良くなりました。紙幣やコインを触ることがなくなったので、疫病が減りました。さらに決済データが残るため、賄賂や脱税がなくなります」

 日本でキャッシュレス化が進まないのは、業界の利益を守るために、競争を避け進化をやめてしまう国民性にある。また既得権益がある各業界の抵抗もあると高木氏は指摘する。

 日本の現金第一主義を憂う一方で、キャッシュレス化が進むことによって、モノやサービスへの本来の価値観を取り戻すことができると見ている。グローバル化によって、この先世界は国境を越えた体験や購買を求めるようになる。支払方法や通貨など国の常識や制度に縛られることはナンセンスになるだろうと言う。

 NIPPON PAYでは、自治体などへ専用タブレットのレンタルを開始している。代理店も組織中で、店舗での加盟店の拡大を図っている。

 「NTTドコモは18年にQRコード決済サービスを始めます。みずほ銀行とメタップスも新サービスを発表しているし、三菱UFJ銀行もMUFGコインを始めるというように、18年は“ペイペイ元年”になると思っています。日本にもキャッシュレス化の波が押し寄せようとしています。日本は240兆円という “現金決済大国”だからこそ、これがキャッシュレス化されれば巨大な市場が生まれます。多くの外国人が来日する20年は、日本のキャッシュレス化のチャンス。われわれの取り組みは日本初です。訪日外国人が増える中で、日本の100%キャッシュレス化に向けて、貢献していきたい」

 米国決済情報サイト「PYMNTS.com」によると、GDP成長率の高い国ほどキャッシュレス化が進み、GDP成長率の低い国ほど現金決済が主流のままだと指摘している。現金決済が未だ高い日本のGDPは横ばいのまま。NIPPON PAYが仕掛ける日本のキャッシュレス化は、この国の未来を切り拓く特効薬になるのか期待したい。

 

株式会社NIPPON PAY

  • 設立/2016年10月
  • 資本金/3000万円
  • 売上高/18億円(2018年3月期予想)
  • 従業員数/50人(契約社員含む)
  • 事業内容/決済代行ソリューション事業、インバウンド向けマルチ決済サービス、タブレットレンタル事業
  • 所在地/東京都中央区
  • 会社ホームページ/http://nippon-pay.com/

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