ウェブマーケティングから新卒紹介、研修、さらに医療へと事業領域を拡大してきたDYM。いずれの事業も好調を維持しながら、さらなる成長を目指して新規事業に取り組む同社の競争力の源泉について聞く。

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株式会社DYM
代表取締役社長
水谷 佑毅 (みずたに・ゆうき)

 2003年の創業以来、13期連続で増収を続けるDYM。景気の動向に左右されない、強靭な事業基盤を作り上げてきた一番の要因として、同社の水谷佑毅社長は真っ先に「優れた採用力」を挙げる。

 「主力のウェブマーケティング事業を見ても、他のウェブ広告を取り扱う会社と比べて人材のレベルがまったく違うと自負しています。新卒紹介事業においては年間約50万人と言われる就活生のうち、約20%にあたる10万人程が当社のサービスを利用しています。それとは別でさらに、数千人が当社の採用試験を受け、実際に今年採用したのは70人。本当はもっと採りたいところですが、優秀な学生に絞り込んだ採用を徹底しています」

 その言葉通り、採用する学生の出身大学は大手企業と比べても遜色なく、毎年銀行や広告代理店、総合商社、外資系コンサルティング会社など錚々たる企業の内定を勝ち取った人材が続々と入社してくるという。そうした大手企業を蹴ってまでDYMが選ばれる理由については「当社は『世界で一番社会を変える会社を創る』というビジョンを掲げ、さまざまな新規事業に取り組みながら社会に貢献したいと考えています。この『社会貢献』というキーワードが学生に刺さるとともに『世界一』を目指すという大志を持った人材、上昇志向がある優秀な人材が集まりやすい環境が、学生に支持されているのだと考えています」

 確かに、同社のメンバーにはスポーツの分野での全日本チャンピオンや代表クラスが数多く在籍している。中でもDYMのサッカー部は着々と実績を重ね、昨年12月にはITサッカーリーグ加入3年目にして、並み居る大企業チームを相手に奮闘し初優勝を飾るなど目覚ましい活躍を見せている。

 「最近の若者は競争を好まないと言われていますが、当社には逆に競うことが大好きな人材が集まっています。そんな会社になることができたというのが結果的には良かった。悪い意味での安定志向の人材が入ってくると、会社は弱くなります」

競争意識による圧倒的な新規営業力

 その競争意識がもっとも顕著に現れるのが、他社と比べて圧倒的に優れた新規営業力だ。

 「月間の新規アカウント数でいえば、恐らく国内すべての企業の中でもトップクラスに入るのではないでしょうか。その営業力の源となるのが、やる気のある人材です。営業力自体は技術云々には関係なく、会社のことを好きかどうかに依存すると思っています。もちろん、研修はしっかりやっていますが、会社が好きで競争意識の高い人材同士が争っているからこそ、桁違いの新規アカウント獲得につながっているのだと考えています」

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他社の一歩先を行く技術で創業以来、着実に実績を重ねるウェブマーケティング事業

 さらに、相次いで新規事業を立ち上げてきたことで相乗効果も上がっている。ウェブ関係の商材が売れれば新卒紹介も、商材のラインアップが増えたことにより提案できる内容もより充実し、営業に行っても無駄にならないという良い循環を生み出している。

 創業時から取り組むウェブマーケティング事業は、すでにある程度淘汰が進みプレーヤーの数が減りつつある中で、最後発ながらもしっかりと生き残り順調に業績を伸ばしているという水谷社長。一方の主力である新卒紹介事業においても、競合企業は無いと言い切る。

 「ウェブマーケティング事業のノウハウを活用した集客力に加え、人材面でも社内で補完し合えるだけに各事業間の相乗効果がどんどん上がっています。他社に比べて学生の集客コストも圧倒的に低く、仮にこの先同業他社と価格競争に陥るようなことがあったとしても、まだまだ十分余力は残しています」と自信を見せる。

 確かに、新卒採用事業は景気の変動を受けやすく、好景気であれば企業の採用意欲も年々高まっていくが、逆に不況期になると一気に市場が縮小するため、専業の会社ではなかなか事業を拡大することが難しい。そうした中で、多くの事業部が互いに切磋琢磨するDYMでは、不況期には逆に強みを発揮するウェブ事業への配置転換などで対応可能なことから、強気の営業戦略がとれるのだろう。

伸びる新卒紹介市場で圧倒的な存在感を発揮

 「リクナビやマイナビあたりの大手求人サイトと比べるとまだまだとはいえ、新卒紹介市場は急速に拡大しています。現在、年間2500人程度マッチングしていますが、恐らく2〜3万人ぐらいまでは伸ばせるようになると思います。大手企業の大量採用はともかく、数十人程度の新卒採用であれば当社のサービスを利用した方が圧倒的に低コストで精度も高く、手間もかかりません」

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多くの学生による熱気で包まれる新卒採用マッチングイベント「Meets Company」

 年間400回以上開催するという企業と学生のマッチングイベント「Meets Company」では、企業の経営者や人事決済権者と座談会形式での対話が可能で、内定に直結するイベントとして多くの学生に注目されている。同社に在籍する、就活のプロによるきめ細やかなアドバイスも特長だ。他の事業部も含め、大手企業から中小・ベンチャー企業まで数多くの企業と取り引きのある同社だけに、応募してきた学生に対しては確実に内定を獲得させることができる、というのも大きなアピールポイントとなっている。

 さらに、もう一つの大きな柱である在留邦人向け医療事業も順調だ。昨年10月、新たに香港でクリニック事業を立ち上げ、次いでタイで展開する「DYMインターナショナルクリニック」も昨年11月に2号院がオープン。間もなく3号院のオープンを控えるなど、好調に推移している。すべて日本語で対応し、できるだけ日本製の医薬品を使って治療するということが在留邦人の安心感につながっているという。この医療機関については、アメリカや香港での展開もスタートする。まずはデトロイトでのオープンを予定しており、今後より広く世界各地への展開を構想中だ。

 「医療事業については、世界中どこの国でも当社の関連施設で治療が受けられ、健康診断のデータもすべて共有できるような体制を構築し、遠隔医療の活用でいつでも日本人の医者が診察できるような仕組みも合わせて企業向けに提案していきたい。医療事業の分野で強力な営業力を持つところはあまり見当たらないので、この分野でも当社の営業力は大きなアドバンテージになります」

さらなる事業拡大に向け新規事業に挑戦

 こうして多くの事業が相乗効果を生む同社にあって、新たな事業として着々と育ちつつあるのが、実績や人脈を持つ顧問候補を企業に紹介するエグゼパート事業だ。

 「日本は先輩後輩という縦の関係が非常に強い社会です。法人営業に関しては、やはり強力な人脈を持ち、営業先を紹介できる顧問の存在は大きいので、今後ますます需要が期待できると思います」

 そして、次なる新規事業として狙いを定めるのが、福利厚生分野だ。初年度から10万人程度の利用が見込めるとして、積極的に取り組んでいく。また、医療クリニックの全国展開を目指すとともに、健康診断の営業代行事業にも意欲を見せる。

 「法人向けのビジネスで競合が少なければ、ほぼうまくいくと考えてさまざまな商材開発に取り組んでいきます。福利厚生事業に関しても、意外とプレーヤーが少ないので、当社の営業力を活用すれば順次拡大できるのではと期待しています」

 今後の目標については、当面の目標である売上高100億円を来期にもクリアした上で、10年以内に1千億円、さらにその先も見据えている。

 「生まれてきたからには、何かを成し遂げたい。『世界で一番社会を変える会社を創る』というビジョン通り、世界レベルの会社を作って、いずれは孫に自慢できるような偉大な経営者になることが一番の目標です」

 日本という枠を超え、今後はよりグローバルな舞台での活躍を期待したい。

 

株式会社DYM

  • 設立/2003年8月
  • 資本金/5000万円
  • 従業員数/372名
  • 事業内容/ウェブプロモーション事業、新卒紹介事業、研修事業、エグゼパート事業、医療事業
  • 会社ホームページ/http://dym.asia

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