「前提を疑え」。創業70周年を迎えた老舗企業の改革に力を注ぐ野津基弘氏。傘下の事業会社13社を束ね、グループ全体の価値を高めていくための戦いが始まった。

コミュニケーションの充実に力を注ぐ

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日本カバヤ・オハヨーホールディングス株式会社
社長
野津 基弘 (のづ・もとひろ)

 午前10時。オフィスの一角に設けられたカフェスペースに集合した社員たちを前に、野津基弘氏は力強く話し始めた。

 日本カバヤ・オハヨーホールディングスは、2016年11月25日に紀尾井町(東京都千代田区)にオフィスを移転、13ある事業会社のうち6社の東京オフィスを1カ所に集約した。この日は新たなオフィスに移って2度目の朝礼だ。

 グループが目指すものは何か、存在意義はどこにあるのか――16年に創業70周年を迎えた老舗企業とは思えぬほど、根本的なテーマを社員に問い続ける。

 「経営の意思をしっかりと伝える場を持ちたい」

 週に一度の朝礼は、そんな思いに溢れている。

 野津氏の祖父が岡山県で創業したカバヤ食品、オハヨー乳業を中核とするカバヤ・オハヨーグループが、持ち株会社制に移行したのは16年4月。目的は、グループ全体の方向性を統一し、中長期のビジョンを共有すること。複数の事業会社のオフィスを集約した狙いもそこにある。

 野津氏は14年8月にカバヤ食品、オハヨー乳業などの副社長に就任、15年6月に社長の座に就いた。同氏は90年代後半から2000年代初めまでオハヨー乳業の幹部として社内改革に辣腕を振るったが、旧勢力に会社を追われるという憂き目にもあった。そうした苦労を経て、今度こそ本物の改革を実現しようとしている。

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社員を前に「経営の意思」を伝える野津氏

 そこで必要なのが、まずは社内コミュニケーションの強化だ。年3回出していた社内報も毎月発行することに決めた。野津氏をはじめ経営陣が日々感じていることを、深掘りして粘り強く社員に伝えていく。

 「限られた時間の中でも自分の仕事に対して本当にこれでよいのか、という前提すらも疑って、“いいもの”を作るためにどんなことでも言い合える空気に変えていかなければいけません」

 事業会社が1カ所に集まって、経営陣と社員との物理的な距離が近くなったのは1つのメリットだ。野津氏は言う。

 「経営陣の意識がみんなに届く距離にあることが大事。ホールディングスの社員には、現場のためにここでやるんだという意識を持ってほしい」

中期経営計画が今春始動、グループの価値向上へ

 現在、日本カバヤ・オハヨーHDでは中・長期の経営計画策定に取り組んでいる。25年までの計画を3分割し、17年春から本格的にスタートする予定だ。

 以前は営業は目の前の売り上げ主体で、製造はいかに投資金額を増やせるか、という観点だったため方向性がバラバラだった。新中計では、“真の欲求を究めて、ホンモノをカタチにする”というテーマの下、共通の世界観を実現するために何が目的か、を徹底的に練っていく。

 「例えば、当社が掲げるものの1つに、医と食のバランスを変えるということがあります。単においしいという部分に終始するのではなく、人の生活において重要性の高い商品の開発をしようということ。これまで、良い商品を作っても売り上げを維持できなかったのは、ブランド構築という部分が欠けていたから。商品構成をきちんと決めて、収益構造を確立してやりきるという意思を持つことが大切です」

 ホールディングスの役割は、事業会社の経営管理をするだけではない、とも野津氏は言う。それよりも、社会的意義こそがビジネスチャンスと捉え、中計に落とし込んでいくこと。そして、人事、財務、経営方針の伝達、現地との対話といった、経営陣の本来の仕事に集中する構えだ。

 

日本カバヤ・オハヨーホールディングス株式会社

  • 設立/2016年
  • 資本金/1億円
  • グループ企業/オハヨー乳業、カバヤ食品、エス・バイ・エル・カバヤ、フジ物流、エクセルパック・カバヤ、イケダペットファーム、東京レジャー開発、システムメイト、スクエアビル、瀬戸内海経済レポート、サンユー総合教育研究所、トータルアシスト・カバヤ、三友学園

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