重量物や大型機械、精密機械の運送を得意とするカーレントサービスは物流業界におけるニッチトップといえる。歴史が古い企業が多く、動きが鈍い業界の中で、「運ぶ」から派生するあらゆる業務をワンストップで請け負うことで、物流における差別化を実現した。

保坂高広

カーレントサービス 代表取締役 保坂高広(ほさか・たかひろ)

 

 産業・社会に不可欠な物流業。どれだけITが進化しても、通信で「モノ」は運べない。しかし、物流業にも変化が求められている。日本には超大手から中小まで6万社を超える物流会社があるが、その多くが「輸送」や「保管」に特化したサービスを提供しているのが現状だ。

 「モノを運ぶ時には、運送だけではなく、解体、梱包、組み立て、設置など実にさまざまな工程が必要となります。当社は、物流に伴い派生する業務全てに一気通貫で応える体制を構築しました。これが『サービスバリューチェーン』です」

 そう話すのは、重量物・大型機械、精密機械の取り扱いに長けた総合物流企業であるカーレントサービスの保坂高広代表。

 従来、モノを動かしたい時には、個々の工程ごとに知見や資格を有する専門業者に依頼する必要があった。同社では社員を教育・育成し、技術や資格を修得させることで、運送を担当する社員に全てを委ねられるようにした。

 これにより、顧客は複数の業者に発注するより、管理の手間とコストを大幅に削減することが可能となる。

 物流業界は比較的保守的で、自分の得意分野以外に進出することを躊躇(ためら)う傾向にあるが、保坂代表は「多様性こそがリスクヘッジ」と断言する。運送だけで、差別化は困難で、実際に業界全体が今では価格競争に陥っている。ここに単に運ぶだけではないソリューションを持ち込んだ同社は差別化を図ることに成功し、リピーターが増え、数年後には売り上げ100億円に届く勢いで右肩上がりの成長を続けているのだ。

 「物流とシナジーを生み出せる分野にはこれからも積極的に参入していきます」

 積極的なM&Aで、物流周辺の事業を社内に取り込んでいく。加えて、日本で培ったノウハウを海外に展開することも視野に入れている。実は海外の物流も日本同様に運ぶに特化した会社が多いという。

 「当社は物流の力でジャパン・アズ・ナンバーワンを復活させるという目標を掲げています」

 世界でもまれなサービスによって、日本を代表するグローバル企業となる可能性を秘めている同社のこれからを注視していきたい。      

 

会社概要

設立 1972年5月

資本金 2,400万円

従業員数 140人(グループ合計)

事業内容 総合物流サービス、重量物・設備・什器取り扱いサービス、オフィス移転サービス、精密機器取り扱いサービス、廃棄処理サービス、国際物流支援サービス

 

【注目企業】の記事一覧はこちら

経済界電子版トップへ戻る

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年10月号
[特集] 進撃のスタートアップ
  • ・スタートアップ・エコシステムの活性化
  • ・[スパイバー]2万5千円のTシャツは完売 実用化が迫った人工クモの糸
  • ・[Rhelixa]エピゲノム関連の研究・開発で人類の役に立つ
  • ・[チャレナジー]台風発電でエジソンになる ビジネス展開は「島」から
  • ・[エイシング]エッジで動く超軽量AIでリアルタイムに予測制御
  • ・[キャディ]製造業に調達革命! 町工場は赤字から脱出へ
  • ・[Clear]目指すは日本酒産業のリーディングカンパニー
  • ・[空]「値付け」の悩みを解決するホテル業界待望のサービス
  • ・宇宙ビジネスに民間の力 地球観測衛星やロボット開発
  • ・71歳で環境スタートアップを立ち上げた「プロ経営者」
[Special Interview]

 荻田敏宏(ホテルオークラ社長)

 「The Okura Tokyo」をショーケースに海外展開を進めていく

[NEWS REPORT]

◆戴正呉会長兼社長を直撃! なぜ、シャープは復活できたのか?

◆アスクル創業社長を退陣させた筆頭株主・ヤフーの焦り

◆サービス開始から3カ月で撤退 セブンペイ事件の背景にあるもの

◆絶滅危惧種ウナギの危機 イオンが挑むトレーサビリティ

[特集2]

 富裕層は知っている

・富裕層の最大の使い道は商品ではなく次代への投資

・シンガポールからケイマン諸島まで 資産フライトはここまで進化した

・年間授業料100万円超は当たり前 教育投資はローリスクハイリターン

・最先端の人間ドックは究極のリスクマネジメント

・家事代行サービスで家族との時間を有効活用

ページ上部へ戻る