三菱自動車が軽自動車などの燃費データを偽装した問題で、国土交通省が三菱の「体質」に頭を抱えている。不正発覚を受けて法令通りに行われたはずの再測定でも、独自方式で燃費データを算出していたことが判明したためで、解決に向けた道のりの厳しさがあらためて浮き彫りとなった。
三菱は4月、「eKワゴン」など軽4車種について法令で定められていない独自の方式で走行試験を行い、データを偽装していたと公表。一方で軽4車種以外の現行9車種については、「法令に基づいてデータを再測定したが、カタログ値との誤差が3%程度」として販売を継続していた。
だが国交省が測定したところ、現行9車種のうち8車種でカタログ値から最大8・8%、平均4・2%の乖離があることが判明。走行試験では車を複数回走らせてデータの中間値を選ぶことで走行条件のばらつきを抑えるが、三菱は燃費が良くなる数値だけを選別していた。国交省はこれを不正と認定した。
9月上旬の閣議後会見で石井啓一大臣は「三菱のやり方は“いいとこどり”。燃費不正問題に対する三菱の姿勢そのものが問われる事態」と強調。国交省は三菱に対し、諸元表に記載する燃費値の修正を指示、本社などに対する立ち入り検査を実施した。
一連の問題にかかわる国交省の担当者が「常識では考えられない」と重大視しているのは、遵法意識の低さが社内風土のように三菱を蝕んでいる実情だ。
三菱から国交省に提出された資料では、数多くの走行試験データがランキング付けされ、悪びれもせずに都合の良い数値を選んだことがうかがえたという。会見した三菱の益子修会長は中間データをとるべきだったとしながら、「法令違反ではない」と釈明した。
国交省関係者は「彼らはいいクルマを造ろうと努力するのではなく、造ったクルマがよく見られるよう努力している。修正すべきは燃費データでなく考え方そのもの」と、三菱の抜本的な意識変革を求めた。
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