自民党の小泉進次郎・農林部会長の全国農業協同組合連合会(JA全農)に対する皮肉を込めた批判が止まらない。8月26日の部会終了後には記者団に、全農の中野吉実会長に対し、「(JAの他のグループのトップは)皆、改革やりますと言っているのに、(中野会長)一人だけ否定しているのだから。すごいね」と言い放ったのだ。
9月から始まる自民党の農政改革の議論の焦点は、農業資材の引き下げに向けた全農の抜本改革に踏み込めるかだ。協同組合の全農には独占禁止法が適用されないため、資材を共同調達し、高い市場占有率を維持してきた。ただ、独占に甘え経営効率化が進まず、資材はホームセンターよりも割高と批判されている。小泉氏は、資材引き下げは全農自身の改革が必要不可欠と訴えている。
小泉氏が全農批判に拍車をかけた発端は7月22日、JA全国連(JA全中、JA全農、JA共済連、農林中央金庫)のトップによる共同記者会見での中野会長の発言だ。全農の組織改革の必要性について問われた中野会長は、「今までやってきたことは間違いない」と強調し、“現状維持”の姿勢を貫いた。
これに小泉氏は反応。全農が改革に前向きでないことを各所で吹聴してまわった。すると「全農は改革に消極的」と見る世論を気にした全農側が焦り始めた。7月29日には中野会長が「『全農は改革に消極的』とのご指摘や一部報道がありましたが、もちろん全農は改革に積極的に取り組んでおります」と異例のコメントを発表する事態になったのだ。
これについても小泉氏は「あれ(7月22日の会見)がなかったら、報道陣の皆さんにもいかに全農という組織が改革に後ろ向きか印象付かなかったと思う」と説明。その上で「そういった意味では全農にすごく感謝している。自らああいう発信をしていただいて」と全農の“自爆”ぶりを笑顔で皮肉った。
9月から本格化する農政改革に向けた議論で、全農はどのような反撃を見せるのか。
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