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突然の高額紙幣廃止が発表されたインドの通貨をめぐる混乱

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偽造通貨や不正蓄財の根絶目指すインドのショック療法

 インド政府は、警告なしですべての500ルピー(約800円)と1千ルピー(約1600円)紙幣を廃止することを決定した。この2つの高額紙幣は、流通紙幣のおよそ86%を占めており、インドでは金融取引のほぼ70%が現金で行われている。ブラックマネーと言われるお金のほとんどが500ルピーまたは1千ルピー紙幣で保持されている。

 インドでは大多数の企業が、現金で運営されている。インドのGDPの3分の2が税制に組み込まれていない現金経済だ。

 現金取引が重要な役割を果たす主要部門は、不動産、建設、金や日用生活品の小規模業者・販売者などの非公式部門だ。例えば、果物や野菜の小規模農民は、地方の市場で農産物を現金で売り払う必要があるので、直ちに影響を受ける可能性がある。小規模業者、レストラン所有者、輸送業者なども影響は避けられない。

 その影響自体は徐々に減退するだろうが、突然の紙幣廃止は経済に悪影響を与え、縮小の事態に見舞われる公算が大きい。

 インドの通貨の86%が無効となったため、中央銀行は差し替え用紙幣(新紙幣はサイズが違い既存のATMには使えない)の印刷に苦闘している。

 モディ首相は、国民に対して50日間辛抱するように要請したが、実際にはこのプロセスに4カ月もの時間がかかる可能性がある。労働人口の多くが、新しい通貨を引き出すために銀行やATMの前に長い列を作っている。

 消費者は今後数週間の間、現金に困り、支出に打撃を与えるだろうが、この戦略はインドのイメージや経済的展望を長期的には押し上げるものだ。

 アナリストによっては、今回の動きをモディ首相の見事な手腕であるという人もいる。これにより多くの人が本当の収入を明らかにして税金を払い、腐敗やブラックマネーの問題に取り組むことになり、テロリストへの資金提供になりやすい偽金を阻止して、インドの経済成長モデルが軌道に乗る可能性がある。

 インドのインターネット新規事業はこの機会を利用しようとしている。例えば、タクシー配車サービスのUberとインド企業のOlaやモバイル決済大手のPaytmなどは、人々が現金からデジタル支払いに移行したため、新規登録数が急増している。

 インドが自国通貨を廃止したのは今回が初めてではない。1946年にインド準備銀行によって1千ルピー紙幣と1万ルピー紙幣が廃止された。その後、54年に5千ルピー紙幣が導入されたが、市中では定着せず、78年に廃止された。

紙幣切り替えの影響と海外メディアの反応

 旧紙幣の廃止は、若者には歓迎されたが、一部には眠れない夜を迎えている人もいる。ある病院は、治療費を払う新紙幣がない患者に対して医療処置や薬を無料で提供すると発表した。また、あるホテルは今回の紙幣廃止の影響を受けた旅行者に無料で食料を提供している。

 インドを訪れる旅行者は、短期的には必要な紙幣を使用・交換できずに多少困ることになるだろう。しかし、ほとんどの高級ホテルではクレジットカードや国際的なデビットカードが使用可能なため、現金不足は外国人旅行者にとってそれほど困難な事態にはならないだろう。

 一部の野党のリーダーは、一般大衆への影響から施策の撤回を要求している。だが、実際に撤回が行われるとインドは政治的危機に見舞われると予測するアナリストもいる。

 フォーブスは、「インドの紙幣切り替えは功を奏する様子――銀行には300億ルピーの預金」という記事を発表。これだけの規模の動きは「明白な混沌」を引き起こすが、「現在のところ、うまくいっている様子である」と指摘している。

 BBCはより批判的で、「インドの通貨廃止がいかに貧困者を困らせるか」とし、ATMの前の長い列や急な現金不足で小規模業者が直面する問題などに注目している。

 ニューヨークタイムズは、ATM前の人だかりについて取り上げ、今回の施策を賢いやり方だと言う専門家の言葉を引用している。記事では、「今回の計画は、モディ首相の発表までトップシークレットだった。思い切った一手であり、インドの転換点になる可能性もある」と述べている。

 米国のワシントンポストは、肯定的な形で反応した。ナレンドラ・モディ首相の取り組みを“野心的”と呼び、ブラックマネーに対し断固たる措置を取ると述べた選挙時の誓約を守っていることに触れた。

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