経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

コネクテッド・インダストリーズの担い手として日本の産業を支える存在となる――江川将偉(SELTECH代表取締役社長)

IoTとAIが一気に身近な存在となってきた。しかし社会に広く普及させるには、セキュリティ対策などの課題も多い。世界に誇れる独自の技術で、セキュアなIoTとAIを実現するSELTECHの出番が、いよいよ訪れようとしている。

海外から高い評価を得るSELTECH独自のセキュリティ保証とAI技術力

株式会社SELTECH代表取締役社長 江川将偉(えがわ・しょうい)

株式会社SELTECH代表取締役社長 江川将偉(えがわ・しょうい)

2017年にはメディアに取り上げられる頻度も増え、一般の認知度も大きく向上してきたIoTとAI。既に実証実験段階からソリューション段階に入ったともいわれ、スマートスピーカーのヒットをはじめ、身近なところでもサービスや製品が誕生している。

一方で、IoTとAIは課題も抱えている。それがセキュリティだ。インターネットでつながることは外部からの攻撃を受けるリスクとなる。またどれだけ便利なAIでも、情報漏洩やハッキングの脅威があっては使いづらい。そこで、独自の技術によりIoTのセキュリティを確保できる製品と、セキュリティが保証されたAIを開発しているのがSELTECHだ。セキュリティとAIの両方をカバーできる技術力は世界的に見てもごくまれであり、日本国内では絶対的な存在だ。

その同社のセキュリティ技術が「FOXvisor(フォックスバイザー)」。製品に既に組み込まれている基本ソフト(OS)とは別にもう一つの隠れた安全な「セキュアOS」として搭載することで、外部からの攻撃を遮断する。

「当社のHypervisorであるFOXvisorは、製品に既に組み込まれているCPUに搭載することができるため、高性能でありながら低コスト化を実現した製品です。この技術で身の回りの全てのIoT製品にリーズナブルに『安心・安全』を提供することが可能となります」と江川社長がその特長を説明してくれた。そして同社が開発するAIも、このセキュリティ技術が生かされている安全・安心なAIだ。

昨年は、同社の技術力が国内外から高い評価を受けていることの証となる大きなエポックが相次いだ。G7情報通信・産業大臣会合では、江川社長が経済産業省推薦で選ばれ講演を行い、またシリコンバレーのIT情報誌「APAC CIO Outlook Magazine」が、最も将来性あるAI企業25社の一つとして同社を選定している。

さらに、同社と積水ハウス、NTTデータ、DNP、ベンチャーラボの5社が幹事社となって「セキュアIoTアライアンス(SIA)」を立ち上げている。IoT社会が成立するためには、セキュリティに明確な基準が必要になるが、SIAは一般社団法人重要生活機器連携セキュリティ協議会(CCDS)が定めたガイドラインに則った製品標準仕様書を開発することをミッションとしており、SELTECHは中心メンバーとして関わっている。

今年にはさらに大きな展開が待っている。16年にソフトバンクが約3.3兆円で買収したことで注目を集めたCPU設計世界最大手のarm(アーム)社とも連携を深めているが、arm社はクラウドサービス分野への進出を開始しており、SELTECHの技術を生かした新サービスが間もなくリリースされるという。

江川社長の考えるさらなるAI普及とSELTECHの存在価値

江川社長は、AIは今後さらに急速に進化すると語る。「数多くのAI製品が誕生し、それぞれの技術力が試されるのが18年です。そして次の19年には、一般消費者の手に届くレベルとなり一気に社会に普及するようになると考えています」

AIが普及し始めるステージでは、SELTECHの存在価値がさらに重要度を増す。IoTを通してあらゆるモノ同士がつながる社会が訪れようとしているからだ。

「AIによって全ての人に平等に情報が行き渡るようになります。そこで情報の在り方が最も重要となります。利用者が情報を自ら理解するために、AIは得た情報を判断・分類し利用者に分かりやすく提示できなければいけない。例えITリテラシーが低い人でも、容易に情報を守る(非公開)か守らなくても良い(公開)か理解し判断させること、言い換えると利用者を教育する機能がAIに求められます」

利用者が非公開を選択した場合は、同社のセキュリティ技術によってしっかりと守られる。誰でも自ら選択できること、その上で守るべきは守れること、この2つが実現すべき社会正義だと江川社長は考えている。

同社のAI開発は、情報の在り方とは別のアプローチがある。それがより深く人を学べる能力だ。人の感情と行動パターンの関連性を学習することで、例えば自動車運転時のドライバーに特定の行動が表れるとイライラしていると認識し、そのイライラを鎮めるためのアクションを起こしたり、スピードの上昇を抑えたりすることも可能になる。この能力は、社会問題となりつつある「あおり運転」予防にも効果がある。行動認識と感情認識を学習するAIは、現在IoTマンションで実証実験を進めているほか、大手自動車メーカーと協同で自動運転システムの開発にも取り組んでいる。

そして、18年春もっとも期待が大きいのが「AIMY(エイミィ)」だ。同社ホームページでも簡単に案内されているが、全容は極秘のベールに包まれている。経済産業省の肝いりでもあり、日本を代表する大手企業が複数参加する一大プロジェクトだという。

国は、デジタル技術の活用で、企業、生産拠点、人、モノ、サービスやインフラなど社会におけるあらゆる要素がつながる未来図「コネクテッド・インダストリーズ=第4次産業革命」を提唱している。第4次産業革命を牽引できる技術力を有しているSELTECHは、次代の日本の産業を支える役割を担おうとしている。

株式会社SELTECH

  • 設立/2009年9月
  • 資本金/13億6436万円(資本準備金含む)
  • 従業員数/50人
  • 事業内容/仮想化(セキュア)技術「FOXvisor」の開発・販売、組み込みシステム向け人工知能技術×音声・画像認識「VAIS」の開発・販売
  • 所在地/東京都渋谷区
  • 会社ホームページ/https://seltech.co.jp

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