乳幼児教育の国際化を掲げ、改革を推し進める明泉学園では、運営する鶴川女子短期大学の新校舎がいよいよ完成する。設計したのは、世界的に有名な建築家・隈研吾氏。創立者・百瀬泰男が掲げ、建学の精神の基幹を成す「愛の教育」は、この新校舎にも体現されている。
隈研吾氏設計の新校舎での授業が後学期からスタート
多摩丘陵の美しい自然環境の中に鶴川女子短期大学はある。四季の豊かさを味わう心を育みながら学ぶことのできる恵まれた立地を生かし、乳幼児教育・保育の現場で活躍できる人材の育成に取り組んでいる。新校舎の建設に当たっては「この鶴川の緑豊かな環境に調和する建物でなければならない」と、百瀬義貴常務理事はこだわった。
「学生や職員だけでなく、地域の皆さまからも誇りに思ってもらえるような、鶴川のシンボルとなる存在になればいいと考えています」
木材の良さを引き出し、日本的な「和」を美しく表現する隈氏も、鶴川の自然環境を気に入り、木をふんだんに用いた美しくも温かみのある校舎をデザインした。
新校舎のさらなる特長として百瀬常務理事が挙げたのは、通学、通勤が楽しくなるようなワクワクする校舎であることだ。大人も子どもも美術や芸術、工作などを楽しめる「アトリエ」を設け、開放的な空間が広がる大階段はホールとしても使えて、滑り台を設置する遊び心も見せる。事業所内保育園や幼稚園の子どもたちがいつでも楽しめることを意図した造りは、時に大人も童心に帰れるような豊かさが感じられる。
こうした設計思想の一つ一つに、明泉学園の心ともいえる「愛の教育」の精神が息づいていると、百瀬常務理事はいう。乳幼児教育・保育の現場では、十分な愛情を注ぐことが何よりも求められるからこそ、愛情が育まれる場である必要がある。
「五感を養い、心にインスピレーションを感じさせる空間で、子どもたちや学生、職員、すべての人たちが愛情によってつながっているような教育を実践すること。まさに『愛の教育』を表現する場にしていきたいと思うんです」
新校舎では、給食制度を採用し、学生たちに無料で食事の提供も行う。食育の観点から、栄養バランスの取れた食事の重要性を再認識してもらいつつ、学生らの健康をサポート。また、これまでは男女別だったトイレにLGBTの方にも配慮した「だれでもトイレ」を設置するなど、さまざまに目配りを施す。誰にとっても居心地の良い愛ある学び舎を目指し、いよいよ今年度後学期から、新校舎での授業がスタートする。
どれだけ時代が変わろうとも揺らぐことのない「愛の教育」
その一方で、同学園は国際化の推進を掲げ、大きく舵を切り始めている。2017年には幼児教育学科を「国際こども教育学科」に変更し、その中に「国際こども教育コース」を新設。さらに専攻科として、「国際こども教育専攻」を設置し、グローバル人材輩出のための新たな教育モデルの構築を打ち出した。今年4月には改正出入国管理法が施行され、今後5年間で35万人余りの外国人労働者の受け入れが見込まれている。乳幼児教育・保育の現場においては、外国人の子どもたちの受け入れが増加していくことも予想され、外国語教育や異文化コミュニケーションの必要性はますます高まってきている。
「今後さらにグローバル化が進展していく中で、私たちは単に英語教育を施すだけでなく、日本人としてのアイデンティティーを醸成した上で、異文化理解を深めた保育者を育成していく必要があります」
従来の乳幼児教育から、英語・異文化教育を共に学ぶ国際乳幼児教育への転換を標榜する明泉学園だが、時代の変化に伴い、学びの形が変わろうとも、決して変わらぬものがある。それが、創立以来大切に受け継がれ、百瀬常務理事も繰り返し言葉にしている「愛の教育」だ。教育とは何より愛をもって成されるべきである。この想いは、職員一同が共有しているところである。
「周囲への感謝と敬意を忘れず、時に語りかけ、時に傾聴しながら学生のために尽くすこと。学生一人一人の人生に役立っているという実感が得られるからこそ、働く喜びを感じてもらえるのだと思います」
職員一人一人がこうした姿勢を絶やさぬようにしているからこそ、互いに同じ視点に立って考え、共に悩みながら愛の教育の実践を志すことができている。
20年には、鶴川女子短期大学は「フェリシアこども短期大学」に名称が変わる。フェリシアは、可憐な青い花を咲かせるブルーデージーの別名であり、「幸せ」を意味する言葉でもある。本学で学ぶ学生たちに心から幸せになってもらいたい――。そんな想いを込めて、明泉学園はさらなる一歩を踏み出してゆく。
会社概要
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設立 1960年7月
所在地 東京都町田市
事業内容 鶴川女子短期大学、鶴川高等学校、鶴川幼稚園、
鶴川フェリシア保育園などを運営
http://www.meisen.ac.jp/
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