安心資産税会計の高橋安志社長は資産税対策のプロフェッショナルとしての幅広い実績から、「資産税業界の師」との異名をとる。高橋社長はITツールを活用して徹底的な業務効率化を達成。その分、相続税対策に悩む顧客のサポートに時間を割き、長年の実績と知識に裏打ちされたコンサルティング力を発揮している。高橋社長が語るAI時代における税理士のあり方とは。
「相続税をはじめとする資産税案件では家族間のトラブルが付きもので、人間によるコンサルティングが必要不可欠です。その分、データの入力、分析作業はITシステムを使って効率化を進めています」
安心資産税会計の高橋安志社長はこう説明する。同社ではRPAソフトを活用し、顧客の請求書や領収書をスキャンし、仕訳作業を自動化。クラウド名刺管理サービス「Sansan」を取り入れ、かねてから機動的な営業活動を実践している。
「税理士資格を取得すればバラ色の未来が待っている時代は終わりました。ダーウィンが言うように唯一生き残ることができるのは変化できる者。浮いた時間を使って私達の強みを発揮することに集中しています」
同社最大の強みは40年近くにわたる資産税案件での豊富な実績。高橋社長は関連法規を徹底研究し、税金の法律を手掛ける財務省の主税局や通達を作成する国税庁と直接かつ間接的に情報交換することで、顧客にとっての最適解を追求している。
「私たちは相続税の土地評価で生じるグレーゾーン問題に正面から向き合っています。『税務の弁護士』として、メリットやリスクを十分説明した上で複数の選択肢を提示しています。武器になるのは、理論武装、法律の絶えざる勉強、事例研究。今まで取り扱った案件では、土地評価において税務署から申告内容を否認されたことはほとんどありません」
特に相続税の圧縮につながる「小規模宅地等の減額特例」では独自の交渉力を生かして、顧客の信頼を獲得。「土地の評価が8割下がった顧客からは『良い先生に出会うことができた』と泣いて喜ばれた」という。
高橋社長は顧客満足度向上のため、最新情報のキャッチアップに余念がない。最近では、昨春に創設された「配偶者居住権」に注目。夫を亡くした妻が自宅に住み続けても以前のように遺産から自宅の評価額を差し引かれることなく、預貯金をより多く受け取れる権利で、今年6月に関連著書を出版した。
「私は今年70歳ですが、今後の人生もまだまだ挑戦します。税理士受難の時代と言われていますが、本当に必要なサポートを提供して存在感を一層発揮していきます」