6月11日富士通株式会社が主催する富士通アクセラレーター第9期 Demo Dayがオンラインで開催された。国内外のスタートアップ200社の応募から、数段階に渡る選考を通過し富士通との協業検討が実施された10社が登壇。グローバルに変容する時代に適応し、継続的なイノベーションを創造する可能性を示した。今回はDemo Dayに登壇した企業の詳細を紹介する。
富士通アクセラレーター第9期協業検討フェーズ進出企業10社
wevnal
企業サイト:https://wevnal.co.jp/
企業概要:決済機能付きのAIチャットボットを提供し、顧客企業の販売増加に貢献する。またセールス活動や解約処理の自動化による人的リソースの削減、AIの自動学習による最適なFAQを提供し、リード獲得からロイヤリティ向上までを一貫して行う。
企業評価:AIチャットボット業界は急速な成長・拡大を遂げており、運用コスト削減と24時間のサポート体制の需要を満たすという観点から、企業と顧客の両者から人気を獲得している。日本では数少ない決済機能を有する同社が、富士通と協業することで生まれた顧客体験向上のプロジェクトに期待したい。
スマートショッピング
企業サイト:https://smartshopping.co.jp/
企業概要:法人向けにIoTを活用した在庫管理DXソリューションを提供している。自動で棚卸しや発注・通知する機能や、トレンド分析、システム連携を可能にすることで、人為的なミスを防ぎ、在庫量の最適化、廃棄ロスの削減に貢献する。
企業評価:昨今の新型コロナウイルスの情勢が、在庫管理におけるテクノロジー導入を後押し、世界的に市場が拡大している。今、在庫管理におけるIoTの使用は、企業パフォーマンスを決定する重要な要素となる可能性を秘めているが、今後どれだけ独自の付加価値を生み出していけるかが、新規顧客を獲得する鍵となるであろう。
PRECISION
企業サイト:https://www.premedi.co.jp/
企業概要:AIを用いた医療支援により、医療従事者の負担を減らし医療の質を向上させる。AI問診票の作成と最新の情報に基づく電子教科書を提供し、電子カルテ作成を省略することで、医療エラーの減少と医師の患者診療への注力を可能にする。
企業評価:COVID-19や医療従事者の減少、医療費の増加が懸念されている現在において、海外医療のAI開発は進み、厚生労働省もAI活用に前向きな姿勢を示している。圧倒的な電子カルテのシェアを誇る富士通との協業による、他社との差別化に期待。
WINフロンティア
企業サイト:https://www.winfrontier.com/
企業概要:人間情報センシング技術を強みに、ウェアラブル端末で心身の健康状態を測るアプリを提供している。心拍変動の解析によりストレスやリラックスの状態だけでなく、集中や気分の高揚の度合いを客観的に判断可能。同社アルゴリズムをモジュール化し、様々なデバイスやアプリに組み込んで活用を進めている。
企業評価:国内外のメンタルヘルステック企業がコロナ禍に増加し、特に一般向けのサービスの多様化が進んだ。富士通の社員向け健康ソリューションと連携して、どんなシナジー効果を発揮するのか注目したい。
MEDICOLAB
企業サイト:https://medicolab.co.jp/
企業概要:医療機関向けの製品・サービスを提供している。自動的に患者の治験データを収集できるデジタルバイオマーカーを開発。治験期間の大幅な短縮やコスト削減を可能にし、新薬の開発や医療の発展に寄与している。
企業評価:医療業界におけるAI技術やテクノロジーの導入は進んでおり、それは治験の領域も例外ではない。膨大なコストと時間を要する分野であるからこそ、AI導入によって得られる恩恵は大きい。巨大な市場を有する新薬開発・医療の分野において、同社の企業価値の拡大は間違いない。
サンクスラボ
企業サイト:https://www.thankslab.biz/
企業概要:デジタル領域の軽作業に特化し、精神障がい者を主な対象として就労支援を行う。オンライン業務による地方の障がい者の就労支援や、生産労働人口の減少・増え続ける障がい者の就労課題を解決。運営する福祉施設でデジタル業務を担う障がい者を育成・訓練し、就労サポートまでを行う一貫した就労支援を提供している。
企業評価:世界的にテクノロジーを福祉に取り入れる動きがあり、日本国内でもIT活用で障がい者に働く機会提供を行う企業が増える中、いかにポジショニングできるかが重要。ベトナムにも拠点を置き、包括的な就労支援を行う同社の今後のシェア拡大に注目。
ESCARE
企業サイト:https://www.escare.co.jp/
企業概要:独自の栄養解析ツールを用いて、塩分やタンパク質といった栄養素の摂取量を可視化し、個々人の最適な栄養管理を支援。フードテックの共同開発と栄養改善プログラムの2本を主軸に事業を展開している。購買履歴から顧客の栄養状態を分析するサービスや、従業員の栄養傾向・課題を特定する栄養改善プログラムを実施。
企業評価:フードテック市場においてパーソナライズドサービスは注目を集め、米国の「Habit」や、英国の「DNAfit + Vita Moj」などユーザーの健康状態を分析する食のサービスも登場。日本の大手飲料メーカーも栄養分析事業を展開し始める中、富士通との協業で新たな希少価値を見出せるかが重要である。
Workato
企業サイト:https://workato.ricksoft.jp/
企業概要:業務を自動化するためのプラットフォームサービスをクラウド上で提供している。必要な機能を単一プラットフォームで導入し、社内・社外の全てのクラウドとのシームレスな連携が可能。組織や会社横断の業務プロセス全体を自動化することを目指している。
企業評価:限られたリソースで大きな成果を上げる企業のワークフローの統合と自動化には世界が注目している。各インダストリーの業務プロセスを蓄積する富士通との連携による、同社の企業価値の向上は必至。
ストックマーク
企業サイト:https://stockmark.co.jp/
企業概要:同社は自然言語処理技術によって、情報収集を最適化する。閲覧データから組織及び個人のビジネスの思考を理解し、世界中のメディアをAIが解析して必要な情報を提供。組織やチームの情報感度と情報処理能力の向上に寄与する。
企業評価:情報が氾濫し不確実性が増す現代において、キュレーションアプリの需要は高いが競合も多い。企業に焦点を当ててポジショニングを展開しているが、富士通との協業により組織学習を最適化する新たなソリューションを期待したい。
conect.plus
企業サイト:https://www.conect.plus/
企業概要:IoTアプリケーション開発の課題を解決する。クラウド型IoTデータ可視化サービスによって、ノーコードでアプリケーションやデバイスとの連携を可能にし、開発期間の短縮やコストを削減。IoTデータ活用のニーズに応えるアプリケーションを提供している。
企業評価:様々な技術要素に伴い、開発リスクを孕む IoTサービスの領域。高度な機能を実装して先行する競合はあるが、同社はデザイン性と低コストの実現によって独自の価値を提供している。テクノロジーが時代を席巻している今、IoT開発の難易度を下げることで、世の中に価値あるサービスが誕生する契機となるであろう。