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新技術を導入したインスタントコーヒー
インスタントコーヒー市場は現在、かつてないほどの多様化を見せている。コーヒー濃縮物の製造や、外出先でも使えるコーヒードリッパーなどがどんどん開発されている。
最高の一杯を淹れるために、粒子サイズ、水の温度と圧力、酸化、抽出収率、カップ内の溶存固形物の総量など、非常に多くの変数を気にしながら完璧なコーヒーを抽出する。しかし、何よりコーヒー豆の鮮度を保つことが重要である。
現在、設立から9年目を迎えたある米国企業が冷凍コーヒーポッドという新たな技術を介して新鮮なコーヒー豆を届けることでインスタントコーヒーをさらなる道へ導いている。
風味を落とさずにコーヒーを届ける凍結技術
Cometeerは、味を保つために液体窒素で瞬間冷凍するコーヒーカプセルを開発している。コーヒーを最高の状態で凍らすことで、いつでも最高のコーヒーを淹れることが出来るのがセールスポイントだ。米国のジョーコーヒー、バードロックコーヒー、など約25の著名なコーヒー焙煎業者が手掛けたコーヒーが含まれている。
同社のコーヒー濃度は平均14%の高さを維持しているため、アイスコーヒー、ホットコーヒー、さらにはエスプレッソベースの飲料をすべて1つのカプセルからつくることが可能となっている。
液体窒素で抽出し’たコーヒーをすぐに凍結し、醸造直後に抽出物を液体窒素浴を通して-321°Fに落コーヒーを抽出した直後にカプセルに注ぎ、摂氏-196度の窒素浴に浸すことで、添加物を含まずに鮮度や風味を保持できるという。
そして、お湯または水を入れたカップにパックを入れて溶かせば、10倍に抽出されたコーヒーを味わえる。カプセルは冷凍庫で保管すれば3年間、冷蔵庫で保管すれば3日間は新鮮な状態を保つことができる。カプセルは、2個入りが約2ドル(約220円)、基本出荷量はカプセル32個で64ドル(約7300円)で販売されている。
最高のコーヒーとして世界のエクスポで認められる
同社の極低温保存コーヒーカプセルは特許を取得しており、ボストンで開催されたSCA Expoで最優秀製品賞を受賞した後、コーヒーに精通したエンジェル投資家から5千万ドル以上の資金提供を受けている。さらに、2020年にはエルサルバドル、エチオピア、グアテマラ、ニカラグアなど、複数のカップオブエクセレンスのグリーンコーヒーオークションで最高得点を獲得している。
COMETEERの共同設立者兼CEOであるMatthew Roberts氏は、「優れた味の焙煎を提供してもらうだけでなく、コーヒー農家を支援し、フェアトレードの最低価格の何倍もの公正な価格で直接取引して購入することを重要視している」と述べている。
同社は、様々な技術、焙煎スタイルを持つ多様な焙煎パートナーとのグループを構築することに注力しており、コーヒー業界の脱コモディティ化のサポートを目指している。
ホームページには、「コーヒーを飲むための新しい日が地球にやってきた」という謳い文句が書かれてる。コーヒーカプセルは完全にリサイクル可能で、水のみが必要であるため、環境にやさしい方法で調理される地球上で最も風味豊かな一杯のコーヒーであると主張する。コーヒーを入れる容器の有害性をなるべく削減するためにアルミニウムカプセルを使用しており、カプセルの90%はリサイクル可能である(残りの10%は蓋とコーヒーかす)。さらに、カプセルは18か月以上の貯蔵寿命があるため、食品廃棄物も少なくなり、残ったコーヒー豆はすべて地元の堆肥会社に送られるという。
農家支援と環境保全を意識
元コンピューター科学者であるRoberts氏は、エンジニアリングと製品開発の幅広いバックグラウンドを持つDougHoon氏とKarlWinkler氏とともに、2015年にクレジットカードの残高だけで会社を設立した。
「私たちの使命の一部は、コーヒーを民主化し、農民がより多くの収入を得られるよう支援することです」とRoberts氏は述べてる。
「私たちは世界中の最も革新的な農場からコーヒーを試飲するのが大好きであり、コーヒーの風味は年々改善していると感じる。しかし、カリフォルニアでは1つのワインブドウ園でコーヒーの世界よりも多くの投資額が見られることがよくある。私たちはコーヒーのフレーバースペクトルを広げるために革新的な農業および加工技術に投資し続けたい」
コーヒー業界をより美味しく、公正で、持続可能な未来に導くことでCOMETEERが目指すのは、業界の脱コモディティ化だ。現在、同社は「コーヒー業界のテクノロジー会社」を自称している。