記事作成=hackjpn
広大な倉庫の中には、隅からあらゆる方向へのアイテムを輸送する多くの産業用ロボットと、容器から正しい製品をピックアップする人間のオペレーターが存在する。Amazonなどのオンライン小売業者からネットスーパーOcadoの食料品まで、注文処理プロセスの側面は、AI、自律型マシンにますます依存している。
ピッキング、配置、およびパッケージングの最終ステップには、人間だけが実行できるレベルの器用さが必要である。しかし今のところ、注文が増えているためオンライン小売業者は可能な限りプロセスをスピードアップすることに熱心である。
そうした中、フランスの新興企業であるExotecは、eコマースの巨人であるCdiscountと協力しながら、注文処理を次のレベルに引き上げることができる、革新的でスピーディーな自律型ロボットネットワークを構築している。
3次元に高速で動き回るロボット
フランスのAIロボティクスの新興企業であるExotecは、注文処理速度を向上させ、競合他社の2倍の速度で動作するように設計された自律システムであるSkypod Robotsを、フランスのカルフールを含む小売業者に販売している。
Exotecシステムで使用されるロボットは、Skypodsと呼ばれるものだ。その容器システムには最大18個の商品が入る。このロボットは自律的に床を動き回り、目標の棚に近づくと、棚を登って容器を取ったり、それを持って降りてきたりすることができる。地上数メートルの場所に商品を保管できるため、倉庫の生産性を4倍にし、ストレージ容量を5倍に増やすという。
Skypodsにより、人間は無駄に倉庫内を歩き回る必要がなくなり、ピッキング、パッキング、そして製品の入出庫の確認に集中することができる。4m / sの速度で3Dパターンを使用しており、フランスのeコマース企業であるCdiscountは、ボルドーの倉庫でSkypodsをテストしたところ、注文処理速度が4倍に向上したと発表した。Skypodシステムが提供する違いは次のは3つだ。
1つは、棚を拡大縮小したり、地上で転がったりする機能を持つ「3D移動ロボット」であること。2つ目は速度で、時速10マイルで動き、倉庫内の商品を梱包と輸送を担当する人間のオペレーターにすばやく届ける点。3つ目は、ロボットのレーザースキャナーナビゲーションシステムにより、60ポンドを超える重量の箱を運びながら、保管場所のどこにでも移動できることである。
ロボットによる柔軟な展開
ExotecのCEOであるRomain Moulin氏は、柔軟でスケーラブルなシステムが、今日の混雑としたeコマースロジスティクスに対応していると述べる。「Skypodの無料ナビゲーションにより、ロボットはシステム内のどこにでも移動でき、これは今日の競合他社では提供できないことです」
同社システムのソフトウェアは最新の人工知能を利用しており、数週間ではなく数日で現場に導入できる。倉庫ロボティクスの市場は年間45%(CAGR)成長すると予測されており、世界の自動化市場のCAGRも常に10〜15%成長している。
Romain氏は、「倉庫でのロボット工学ソリューションは世界的に必要とされているが、ロジスティクス担当者はこの急速に変化する世界において従来の自動化に投資することを懸念することがよくある。この500億ドルの市場には、顧客のニーズと新しいショッピングのタイムラインを満たすための柔軟で効率的なソリューションを提供する必要がある」と述べる。
日本のユニクログループの一員であるカルフールやファーストリテイリングを含むいくつかの国際的なクライアントが、倉庫で同社技術を採用したため、2020年にExotecの収益は2倍となった。
ファーストリテイリングとの契約では、日本の2つの倉庫に1000台を超えるSkypodが配備されている。現在、30カ国で500以上の倉庫に用いられ、その数は1万8千台におよぶという。シンガポールのTexas Instruments、英国のスーパーマーケットASDA、米国のBest Buy、ドイツのLufthansaなど、食料品やヘルスケア、航空まであらゆる市場にサービスを提供している。
人の代替となって厳しい労働市場を救う
Exotecは今年1月、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)のGrowth Equity事業がリードするシリーズDラウンドで3億3500万ドル(約383億円)を調達した。これによりExotecの評価額は20億ドル(約2292億円)に達した。
これまでの投資家には、Bpifrance、Iris Capital、360 Capital Partners、Breegaが含まれる。目指している市場は動きの速いものであるが、1日あたり数千件の注文を確実に処理し、同日配達を実現している。
今回の資金調達を受けて2025年までにエンジニア500人を雇用し、引き続き北米事業を推進する予定だという。最近の顧客にはGapやGeodisなど北米地域の大口顧客8社もいる。フランスのロボティクス市場の拡大に期待だ。