経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

新しいサービスを次々に創出し地球・社会・企業の課題を解決 ナゴヤホカンファシリティーズ 三口大登

ナゴヤホカンファシリティーズ 三口大登

1960年にボイラーの維持管理会社として創業後、設計施工やIoT/AI技術を用いたシステム開発など、異なる分野に切り込んでいくナゴヤホカンファシリティーズ。その事業戦略について三口大登代表取締役に聞いた。(雑誌『経済界』2022年11月号より)

ナゴヤホカンファシリティーズ 三口大登
ナゴヤホカンファシリティーズ 三口大登

CO削減に寄与するファシリティサービス

 建築設備と産業用機械装置のメンテナンスや設備工事の設計施工、省エネルギーコンサルティング、IoT・AIシステムの開発など多岐にわたる事業を展開するナゴヤホカンファシリティーズ。東海地区を中心に、関東、北陸、関西と幅広い地域をカバーしている。

 三口代表が近年特に力を入れているのが、CO排出量削減を目指した省エネルギー対策だ。

 「カーボンニュートラルに向けて、各施設でのCO削減意識が高まっています。当社では、必要に迫られて取り組むCO削減ではなく、エネルギー使用量も徹底的に削減して、省コスト省COが、お客さまの利益と商品サービスの長所となるような提案を続けています」

 同社の主力事業の一つである空調設備リニューアルでは、独自技術とノウハウを活用して45%程度、場合によっては50%以上のCO削減が見込める。

 「まずは使用エネルギーを化石由来から電気、できれば再生可能エネルギー由来に替えることです。また、空調設備には設計余力が3割以上あります。過去の運転データを元に、その余力分を削減することで全体の使用エネルギーを削減します」

 しかし急な設備投資は資金調達がネックにもなる。そこで同社が提案するのがファシリティサービスだ。

 「当社が資金調達して取引先に設備投資し、利用料を頂くというサービスです。当社の設備ですからメンテナンスまで全責任を負います。利用料というよりはエネルギーを買ってもらうという考え方です」

 技術力とメンテナンス力に加えて資金調達力が揃っている同社の特長を生かしたサービスと言える。太陽光発電設備のPPAモデルに似ている。

発想の転換と技術力で医療/介護分野へも進出

 新商品や付加価値、サービスを提供することで事業を多角化してきた同社は、目先の売り上げだけでなく、その先を見た提案ができるのが強みだ。定期点検の精度を上げ、一定金額の保守料のみで、大規模修理を未然に防ぐサービスもその一つ。

 「大規模修理は以前、重要な収入源でしたが、その分お客さまの支出が大きくなります。お客さまは設備の維持管理費に敏感です。点検の精度を上げ、高額な部品の交換や長期の稼働停止を伴う修理を防げば、安定稼働とコスト削減を両立できます。お客さまに喜ばれ、当社も無用な支出や労力を削減でき一石二鳥です」

 「仕事量を減らして利益にする」という発想の転換が「双方良し」のサービスへとつながっているのだ。

 同社はIoT/AIの技術にいち早く注目し、現場での点検、修理、整備に加えて設備監視、診断、異常検知システムの開発とコンサルティングを手掛けている。

 2023年5月からは、設備監視のIoT/AIシステムの仕組みを応用した在宅介護支援事業を大学機関と提携してスタートする。非接触でバイタルデータを取れるセンサーを組み合わせて遠隔で見守りができるようにするシステムで、慢性的なマンパワー不足に悩む介護業界の強い味方となるだろう。

 「今後は、かかりつけ医と患者宅をネットワークで結ぶシステムで地

域医療にも貢献したいです」と、新分野の展開に期待を見せる。

歴史から学びを得て未来を変えていく

 「これからの10年はどんどん働き方を変えていきたい」と三口代表。昨年は、優れた母親人材をリモートスタッフとして採用。加えて、事務の効率化のために、さまざまなDXの構築、運用をスタートしている。

 「私自身が事務作業をやってみて、データの入力作業の煩雑さに気付きました。各社の業務ソフトがそれぞれの仕様を持っていて、効率化を図るどころか、かえって労力を増やすこともあります。私はまずそこを改善したい。協力してくれた取引先には何らかのメリットを還元しつつ、実現していきたいと思います」

 また、現場の技術者に対しても、従来のような時間の切り売りではなく効率性への意識改革をするべくインセンティブを提示しているほか、今後は腕力、体力に不安のある女性や高齢者、言葉に不安がある外国人でもスムーズに働けるよう、現場作業のあり方の見直しや学生支援なども強化していく予定だという。

 同業他社とのシェア争いではなく、既存のサービスや仕組みを果敢に変えていく三口代表は、「社会の仕組みの固定観念を変えた源頼朝、鉄砲などの先進技術をスピーディーに取り入れる大胆さを持つ織田信長、『及ばざるは過ぎたるより勝れり』という遺訓に代表されるように采配力に長けた徳川家康など、歴史から学ぶことは多い」と語る。

 「お客さまや社内の仲間、友人、家族への感謝を大切にしています。明るく楽しく元気よく‼ 全社一丸となって社会に貢献していきます」

 三口代表が東海エリアを代表する偉人に加わる、夢物語ではないそんな歴史に立ち会いたいものだ。 

会社概要
創  業 1960年8月
資本金 2,000万円
売上高 6億円
本  社 愛知県名古屋市北区
従業員数 20人
事業内容 建築設備、産業用機械装置設計施工、保守管理、省エネルギー、IT/AIコンサルティングほか
https://www.facilitysec.jp/