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製造現場のIoT化を促進し働く人の意識に変革を起こす ユニフェイス 今西竜一

ユニフェイス 今西竜一

モノづくり現場のIoT化が急がれる今、MES(製造実行システム)に熱い視線が注がれている。製造業向けIoTシステムの開発・販売をメーン事業とするユニフェイス。今西竜一社長は、MESパッケージ製品「IB‐Mes」で、日本の製造現場のデジタルソリューションを加速させる。(雑誌『経済界』2022年11月号より)

ユニフェイス 今西竜一
ユニフェイス 今西竜一

MES導入への近道となるシステムパッケージを開発

 ユニフェイスの設立は、デジタル新時代の草創期である2009年。以来、製造業に特化したシステムベンダーとして、IoTシステムの開発・販売事業を展開してきた。

 主力製品はオリジナルのMESパッケージ「IB‐Mes」。工場向けのソフトウエア開発を専門とする同社が蓄積してきた製造現場の知識やノウハウ。それらの実績や顧客の声を元に、現場にサーバーなどを設置して運用するオンプレミス版として13年にリリースした。

 「手応えを感じ始めたのは、この2年ほど。以前はMESへの関心自体が低かったが、コロナ禍による危機感から認知度が上がり、問い合わせが急増している」と、今西竜一社長は今日までの過程を振り返る。

生産工程への深い理解がトータルサポートを可能に

 工場内の設備や工程からデータを自動収集し、リアルタイムの情報共有を通じて生産性の向上に貢献するMESは、多くの製造業が実現を目指すスマート工場化に欠かせないシステムだ。オーダーメードによるシステム構築が主流で、大きな経済的コスト・時間的コストを要するため、主として大手企業での導入が進んできた。

 MESの構築には、対象となる業種や製品それぞれに異なる製造設備や業務フロー、専門用語や社内言語などの理解が欠かせない。そのこと自体、多くのIT企業にとっては参入障壁となっている。

 その点、製造現場のIoT化において実績を重ねるユニフェイスは、業務・計画システムから制御システム、工作機械や検査機器など、工場の設備やプロセスに詳しい。

 「上流から下流までを理解し、ハードウエアとソフトウエアをつなげてトータルで提案できるノウハウが、当社の強みです」

 「IB‐Mes」は、残業時間80%削減で利益率アップ、不良低減30%などの成果が続々と報告されている。

 21年6月には、業界初のサブスク型クラウドサービス版をリリースした。登録費用は、ユーザーライセンス・設備自動収集ライセンスともに、1人月額1万1千円。ソフトウエアの知識がなくても直感的に扱うことができ、スモールスタートに最適だという。オンプレミス版に比べて、サーバーの設置が不要なクラウド版は、試用してみたいという企業がターゲット。コストが障壁となり導入をためらう従業員100人以下の中小企業にとっても、MES導入の機会となる。

 「製造効率の見える化を実現するMESの導入は、エラー対策や改善サイクルの質の向上につながります。見える化は気づきを促し、気づきは現場の改善意識を生む。『IB‐Mes』が目指すのは、モノづくり現場の改善を通して、いきいきと働く人を増やすことです」

 この根底には、日本の製造現場で働くことに誇りを持ってほしいという思いがある。

 「そもそも『勘コツ』と言われるように、日本のモノづくりは現場の熟練技術者が支えてきました。世界中でDXが加速する中で、日本の製造業が生き残りを図る手立ての一つが工場のIoT化。そのために必要な知識を製造現場と共有したい」と、製造業向けのセミナーを定期開催することにも意欲を見せる。

東南アジア進出を足掛かりに販路を日本市場から世界へ

 そして今、今西社長の視線は世界にも向けられている。

 生産計画を最適化する「IB‐Mes」は、電気、ガス、水、材料、残業などのムリ・ムダ・ミスを解消し、カーボンニュートラルにも貢献する。

 世界中の企業がSDGsの持続的な開発目標を共有する現代。「日本の製造業をサステナブルに支える『IB‐Mes』は、海外の幅広い製造工場からのオファーを見込めるはず」と、今後は販路を国外へと広げる予定だ。

 その第一歩として、照準を定めるのは東南アジア。中でもVIP3国(ベトナム、インドネシア、フィリピン)への支店進出を計画している。海外支店を任せる予定のベトナム人は、既に社内で活躍中だ。

 今後の課題は、IT人材の不足。製造業に特化した人材育成の難しさも実感している。

 「IT技術者にとって、当社はソフトウエアやパッケージを開発するIT企業というだけでなく、製造現場に直接触れて専門知識とノウハウを獲得できる成長の場。DXの一端を担う経験を通して、将来性のあるキャリアを築いてほしい」と、意欲ある人材に期待をかける。

 「IB‐Mes」の拡販によって、今後は毎年の売り上げ倍増を見込み、24年までに10億円規模の成長目標を掲げるユニフェイス。人がいきいきと働く現場を支えるMESのプラットフォーマーとして、「世界の製造業のソリューションベンダーでナンバーワン」を目指す。 

会社概要
設  立 2009年11月
資本金  1,000万円
売上高 2億円
本  社 愛知県名古屋市中区
従業員数 20人
事業内容 パッケージ開発・販売事業/システム受託開発事業/WEBサービス事業
https://uni-face.co.jp/