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最高のチームで世界ナンバーワンのインナービューティメーカーに プロラボホールディングス 佐々木広行

佐々木広行 プロラボホールディングス

エステティックサロン、フィットネスクラブ、美容クリニックなどで専売されているインナービューティ商品「エステプロ・ラボ」を展開する。ラインアップは主力商品の酵素ドリンク「ハーブザイム113グランプロ」をはじめ補助食品、基礎化粧品など120アイテム超。インナービューティサロンの運営など10領域で事業展開している。文=榎本正義(雑誌『経済界』2022年12月号より)

佐々木広行 プロラボホールディングス
佐々木広行 プロラボホールディングス代表取締役兼CEO
ささき・ひろゆき 1968年神奈川県生まれ。91年早稲田大学教育学部卒業後、セコム入社。98年ウィズダム教育通信社を設立。2002年エステプロ・ラボを設立。店舗向け健康食品・化粧品の企画開発、卸販売を行う。18年2月プロラボホールディングスに社名変更。

インナービューティで身体の中も外も美しくなる

 「インナービューティ(内面美容)とは、身体の内側(内臓やメンタル面)の調子を整えて、身体の中も外も美しくなることを目指す、欧米をはじめ世界で注目されている美容法です」と言うのは、プロラボホールディングス代表取締役兼CEOの佐々木広行氏だ。

 「インナービューティは、食事を通して内側から健康な身体づくりを目指すことなので、主たるアプローチ対象は胃腸です。特に腸には人間の免疫細胞が集中していて、腸を温めると免疫が活性化することが分かっています。善玉菌、悪玉菌、日和見菌をきちんと管理し、腸内環境を整えることが健康づくりの第一です。エステサロンでどんなに外側から施術しても、食生活が乱れていたら、効果は出ません。まずは食品添加物や抗生物質、農薬に汚染された食材など腸にとってマイナスに働く食べ物を摂らないこと。当社は食事改善、腸内環境を良くする〝腸活〟に注力している会社です」

 佐々木氏は大学を卒業後、セコムを経て、1998年にフリーペーパー発行を行うウィズダム教育通信社を設立した。フリーペーパー以外にもカルチャースクールや託児所、ブランド品の中古売買など、これは事業になると思ったものに手を出し、14の事業を立ち上げた。だが、事業そのものが途中で立ち消えになったり、うまくいかなかったりで、資金繰りに苦悩する。糖尿病と診断され、不安とストレスから、酒を飲まないと眠れなくなる日々の中で2003年、35歳の時に詐欺にあい、約7千万円の不良債権を抱えてしまう。借金の返済に追われる毎日に耐えながら、経営について改めて勉強する中で、「何を目的に会社経営をしているのか」「人が真似できる事業をしても経営継続は難しい」ということに気付く。自問自答する中で、辿り着いた答えは、「自分がすべて決定できるメーカーになろう」ということだった。

 当時市場に出回っていたサプリメントは科学的根拠が希薄で、賦形剤(※1)を大量に使用する一方、有効成分は少量の低品質な商品が多く出回っていた。そこで自ら高品質な製品を目指して開発に着手すると同時に、予防医学や東洋医学を始め多方面の専門家と、科学的根拠のある原材料の選定や処方を試行錯誤しながら研究開発を重ねていった。

 06年に自社サロンでハーブティー販売を始めたのを皮切りに、07年インナービューティ製品「Esthe Pro Labo(エステプロ・ラボ)」ブランドを立ち上げた。プラセンタ製品や酵素ドリンク、サプリメントと商品の幅を広げ、今やエステティックサロンやヘアサロンを中心に、国内には約1万9千店舗の代理店があり、海外は中国、ベトナムをはじめ15カ国に展開しているインナービューティブランドとなった。

メーカー事業への進出など10の領域で事業を展開

プロラボホールディングス プロラボの社員たち
プロラボホールディングス プロラボの社員たち

 プロラボグループでは、「プロラボスタンダード 社員の心得(17の心)」というグループの理念・共通言語を掲げており、その2つ目に「利他の心」を挙げている。周りを豊かにすることで自分も豊かになる。他人への感謝を忘れず自分の魂を高めたいと思う人たちがいる組織こそ、人は成長すると佐々木氏は考えているという。

 「これからもプロラボの理念に共感してくれる仲間を増やし、最高のチームでプロラボを世界ナンバーワンのインナービューティメーカーに発展させたい。妥協しない品質と安全性を心掛けた製品づくりで、世界的に活躍するモデルやタレント、スポーツ選手など多くのユーザーが愛用しています」

 17年に「東久邇宮国際文化褒章」を受賞。19年にはニューヨークタイムズ主催のアジアで活躍する次世代リーダーを表彰する「NEXT ERA LEADER,S AWARD」に選ばれている。

 また、女性社員が7割以上を占め、女性の活躍推進を行う会社だからこそ、すべての女性の悩みに寄り添いたいとの思いから、昨年よりフェムテック(※2)商品の開発を精力的に進めている。この他、会員制のプライベートサウナをオープンし、温活事業へ参入。インナービューティ鮨店「麻布 黒しゃり」、インナービューティ肉割烹「麻布 肉しゃり」で飲食事業にも乗り出した。

 教育事業では、「一般財団法人 内面美容医学財団」を設立している。ここには著名な医師や美容家、スポーツトレーナーなどが参加しており、ファスティング(断食)カウンセラーや妊活マイスターなど、内面美容のスペシャリストを養成している。

 「ファスティングというと、がまん断食のような、ある種、宗教的イメージもありました。ところが今では医学的なデータも揃ってきて、多くの方が一定期間食べないで過ごすことで、健康や美容につなげています。いろいろなやり方がありますが、一番推奨しているのは、3日間は水と当社の酵素ドリンクだけで過ごし、その前後も動物性の食事は控えて内臓を休息させるというもの。それでは苦しいという方には、朝だけ酵素ドリンクに置き換える16時間ファスティングもあります。前日の夕食は8時までに済ませ、昼の12時までの16時間は空腹時間を作るのです」

 プロラボの直営サロンには60数人のカウンセラーがおり、メディカルファスティングをやっているクリニックもグループ内にあるので、顧客の体質改善にしっかり向き合うことができているという。

 「今後は今ある代理店網をさらに拡大すると同時に、アジアを中心に海外のネットワークの拡充にも努めていきます。BtoCの会員は現在5万人ほどですが、月に1千人くらいずつ増えており、インナービューティを通して人類の健康寿命の延伸に貢献し、総合ウェルネス企業としてますます会社の存在意義を高めていくために邁進していきます」