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唯一無二の開発力で世界に挑み続ける高付加価値センサ技術 北陽電機 尾崎仁志

北陽電機 社長 尾崎仁志

光をスキャニングしながら測定する測域センサなどを開発・製造する北陽電機。1946年創業のリーディングカンパニーだ。中期経営計画に掲げる2025年度売り上げ目標150億円に対し、今年は既に160億円超を見込む。未来を見据える視点を追った。(雑誌『経済界』「関西経済! 次の一手!特集」2023年3月号より)

尾崎仁志・北陽電機社長

北陽電機 社長 尾崎仁志
北陽電機 社長 尾崎仁志

 ロボットの「目」の機能として、ファクトリーオートメーションや半導体搬送装置の安全用・制御用に利用されてきた同社のセンシングコントロール技術。海外では韓国、北米、オランダに展開しており、売り上げの30%を占めている。半導体産業の活況に加えて、近年のコロナ禍では非接触や省人化などの目的で、商業施設や鉄道、大型テーマパークなどの工場・倉庫以外の市場が一気に広がった。アイテム数を増やし、今までにない方面の要求に応えることで機能拡大の実績を出している。

 この好調ぶりにも尾崎社長は、「時流ではあるが、現状に甘えているわけにはいかない」と表情を引き締める。半導体市場をはじめ昨今の需要拡大に伴い、世界的に競争が激化している。

 同社は創業時よりオンリーワンのものづくりにこだわってきた。顧客のニーズを捉え実現することを得意とし、他社にない技術で「おたくから買うしかない」と支持されてきた。オリジナリティを発揮することで価格競争から免れてきているものの、成熟に向かう市場で他社にはないオンリーワンの価値を出し続けるため、次の一手を模索している。

 2023年度には人事評価制度を刷新する。段階的な評価制度から自発的なスキルアップ成長を応援できる体制にシフトしていく。

 「一人一人の能力の積み上げが会社をつくっていく。常にそう伝えています。他社から評価される人材になってほしい。その方が人生は楽しい」

 視点は常に未来のニーズを追っている。04年にはISO14001を取得、環境問題にも早くから取り組んでおり、近年は新たにSDGsの視点も盛り込んでいる。

 26年以降の5年間は、新たな事業を検討する時期だという。狙いは平面による2Dのセンシングから、3Dで立体的に検出物を捉える技術の活用だ。また、難しいと言われる屋外でのセンシング精度を高めていく。「守りに入るとろくなことはない。変化に挑戦し続けていく」。

 社員一人一人のスキルとアイデアを十分に生かしながら、次代に向けて新たな価値を提供し続けていく存在となる。 

会社概要
設  立●1946年4月
資本金●5,000万円
本  社●大阪市西区
従業員数●240人
事業内容●光通信機器、センサ、レーザ機器、計測機器、障害物検知センサ、自動ドアの製造
https://www.hokuyo-aut.co.jp/