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100年企業の責任感と徹底した現場主義を貫き製造業の未来と向き合う 三好ロジテック 三好寿良

三好ロジテック 社長 三好寿良

創業から100年以上にわたり、製鉄に携わってきた三好ロジテック。現場目線を徹底して貫き、安全性の追求や人材育成に努めてきた。人手不足という課題解決に向け、省人化や自動化という新たな潮流を前にしても、その姿勢は崩さない。(雑誌『経済界』「関西経済! 次の一手!特集」2023年3月号より)

三好寿良・三好ロジテック社長

三好ロジテック 社長 三好寿良
三好ロジテック 社長 三好寿良

 大阪市大正区にある製鋼所で、半製品(粗鋼)の運送や製錬を担う三好ロジテック。2020年はコロナの影響で一時停滞していた製鉄作業が21年からフル稼働になり、これに伴って運送・作業量も伸長した。また、工場内のメンテナンスや土木、足場工事などを行う工事業でも、着工待ちが発生するほどニーズが高まっている。

 多忙を極める同社だが、安全性に対しては妥協しない。「部門の異なる社員がお互いの現場をチェックする『交換パトロール』は毎週実施しています。現場をまたいで激論を交わし、刺激し合いながらお互いにレベルアップしています」と三好社長。

 ルールありきではなく、現場第一で安全を追求するため、社員の意識や責任感も高まる。時には、製鋼所内の他社の現場に注意を促すこともあるという。100年近く、製鋼所の現場を見てきたからこそ、ルールの逸脱にはらむ危険性がよく分かるのだろう。

 業績が好調な半面、人手不足は業界共通の課題だ。これに対して同社は、社員の多能工化による柔軟な人員配置や工事監督者の育成などの対策を講じている。

 三好社長はこう話す。「少子高齢化が進み、採用にも限度があるので、機械設備への投資で省人化や自動化を進めてきた。新しい作業場を造る際には、設計段階から最適な機械設備を提案しています」。

 難しいのは、図面上では可能でも、現場では機械トラブルなどが発生して想定以上に人員が必要になること。培ってきた現場感覚で、必要な機械や人員を見極めることが大切だ。

 排ガス規制で廃番となる機械もあるため、機械設備や作業方法の知識のアップデートも欠かせない。管理者が他の製鋼所を視察するなど、情報収集や意見交換も行いながら最善の策を模索している。

 「先進の機械を導入して自動化へとスムーズに移行させ、現場の社員が安心して働ける未来を切り拓くことが管理者や私の役目です」

 今後も脇見をせず、3つの事業を柱に全力で走りたいと話す。100年企業の責任と現場主義を貫く真摯な姿勢で、製造業の未来と向き合っている。 

会社概要
創 業●1919年4月
資本金●2,000万円
売上高●12億7,939万円
本  社●大阪市大正区
従業員数●100人(協力企業含む)
事業内容●陸上貨物輸送、製鉄作業、工事業、労働者派遣事業
https://www.miyoshi-logi.com/