口腔菌研究のパイオニアとして副作用のない健康をサポート　プレミアモード　佐藤 稔

口腔内の善玉菌の重要性に着目し、人とペット向けにサプリメントを販売しているプレミアモード。自然の仕組みを科学の視点で生かし、量子微生物学などの研究で、健康長寿につながる新しい商品開発を続けている。（雑誌『経済界』2023年5月号「注目企業2023」特集より）

プレミアモード　代表取締役　佐藤 稔氏

人とペットの口腔ケアで健康長寿を目指す

口の中の善玉菌を増やす生菌サプリメントを研究開発し、人とペット用の商品を販売しているプレミアモード。

佐藤代表が「副作用のない薬を創りたい」という思いから設立し、口腔生菌製剤に注目して研究・開発を行ってきた。

社名は「カラダを特別なモードにしてゆくこと」から由来して名付けられている。

「未熟児で生まれたばかりの頃は体が弱く、また、父が早くに亡くなってしまったこともあり、健康長寿への願いを強く持ってきたことが起業につながりました」と佐藤代表は話す。

昨今は菌の研究が進み、腸内環境が注目され、善玉菌を増やす食品やサプリメントが人気だ。

一方で、口腔菌に関する論文を読み、腸内環境のために体の最上流である口腔ケアが大事だと共感した。

いち早く口腔内の菌のバランスを整える口腔善玉菌に着目し、２００９年から販売している。

「多くの方は、洗口液やうがいで殺菌したり、歯みがきで汚れを落として、口の中を奇麗にされていると思います。しかし、口の中には体にとって有用な菌も存在しています。殺菌しすぎることで、耐性菌が生まれ、抗生剤が効かなくなり、新たな感染症が増えるという問題もあるのです」

口腔内で善玉菌を増やすと、疾患の治療につながることも分かっており、特に動物医療の現場では口腔菌が治療に使われるケースが増えている。

同社の生菌製品は、動物医学の学会発表でもケア効果が実証されており、口腔菌研究のパイオニアというポジションを確立してきた。

「動物用として研究開発した『プロバイオシリーズ』によって犬の口臭がなくなった、猫の口内炎がケアできたといった声が多数寄せられています。犬は口腔環境が悪化して歯周病になると、菌が全身を巡って心臓や腎臓が悪くなると言われており、全身の健康のためにも口腔環境を整えることが大切です」

人用の生菌製品は「Ｚｅｎｄａｍａｎ」シリーズとして、医療関係施設向けと一般販売用がある。医療現場では歯科を中心に販売され、予防治療のコンセプトアップという提案をしている。

「口腔内には１００種類以上の菌がすみ着いていますが、その役割は未解明な点も多く、これからの研究によって次々に新しいことが分かってくる分野です。菌との共生による副作用のない創薬が当社の事業コンセプトなので、世界中の研究動向を見守り、新しい技術の提案を考えています」

量子微生物学を農業や化粧品に応用

同社がもう一つ力を入れているのが量子微生物学だ。

菌をはじめとする微生物が電子の影響を受けるという仮説の下、菌の力が強く働く環境をつくり、商品化する計画を立てている。

「例えば 『思い』が『電気信号』として伝わり、菌の活動に影響するという研究もあり、『どのような気持ち』で人生を送るべきかがフローラの観点でひも解くことができ、健康長寿に関わってくることを立証できる可能性も秘めています。このように、心の状態まで含めて微生物と人との共生を研究することにより、体の状態を良い方向へ変えていくことは重要な活動テーマの一つです」

そうした量子微生物学を農業の分野で土壌菌に応用したり、化粧品に応用して酸化還元力を高めるといったことも研究している。

「無農薬野菜を作る土壌への技術提供もできると考えています。また、酸化還元を続ける定量電子を化粧品に入れることができれば、肌が老化しにくい状態をキープできるので、革新的な技術になるのではないかと研究を進めています」

新しいことを創造し成長できる企業へ

事業部や関連会社の設立も予定しており、そうした事業拡大に向けて経営を手掛けたい人、柔軟な働き方がしたい人、海外進出に興味がある人を歓迎している。具体的な職種としてマーケティング、営業、管理といった分野で活躍できる人材を求めている。

「新しいことを創造していく会社なのでしっかりと成長できる環境がある」と佐藤代表は語る。

「菌の多様性が私たちの健康の土台です。菌と生態系を科学し、菌との共生をテーマに誰もが恩恵を受けることのできる人と地球の健やかな未来に貢献していきたいと考えています」