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食品メーカーと海外バイヤーを会員制サイトでマッチング TAPインタートレード 田島俊明

TAPインタートレード 代表取締役 田島俊明 たじま・としあき

日本の食品メーカーと海外市場とをマッチングするプラットフォームサイト「FOOBAL」(フーバル)のサービスを開始したTAPインタートレード。右肩上がりで成長を続ける同社が、食品を海外に輸出したい企業をサポートする。(雑誌『経済界』2023年5月号「注目企業2023」特集より)

TAPインタートレード 代表取締役 田島俊明氏

TAPインタートレード 代表取締役 田島俊明 たじま・としあき
TAPインタートレード 代表取締役 田島俊明 たじま・としあき

日本の食品輸出のマーケットは拡大傾向

「貿易は簡単なので、もっとたくさんの企業に気軽に輸出にチャレンジしていただきたい」と話すTAPインタートレードの田島俊明代表。

同社は日本の食品、お菓子、飲料、コスメや文具などの雑貨を米国、英国、オーストラリア、カナダ、シンガポール、マレーシア、ネパール、ドバイといった世界中の国へ輸出する事業を行っている。

「安全で高品質でおいしい日本の食品は、ジャパンブランドとして世界中で確立されています。決して安い価格ではありませんが、現地の人からは富裕層を中心に支持されています」

例えば「糸こんにゃく」がロンドンで流行るなど、意外な食品が海外で流行することも。

「パスタの代わりに糸こんにゃくを食べるのがヘルシーで人気だそうです。日本は人口減が進んでおり、海外マーケットに活路を見いだす企業は、ますます増えていくのではないかと思います」

日本の食品の海外輸出額は年々増加しており、農林水産省では2025年に2兆円、30年には5兆円を目指す計画を立てている。

そのうち同社が得意とする加工食品が3分の1程度を占め、コロナ禍でも売り上げを伸ばしてきた。

一つのコンテナに一つのメーカーといったシステムではなく、いろんな顧客の商品を一緒に積むことで、多品種小ロットの輸出にも対応しているのが強みだ。

サイト「FOOBAL」で海外バイヤーに売り込む

日本の食品が世界でマーケットを拡大している一方、「各国のレギュレーションに対応するのが難しい」「英語ができない」といった理由で、海外輸出をあきらめてしまう企業も少なくないという。

「例えば海外のバイヤーから、日本の食品を輸入したいという要望があった時に、日本の企業で対応できるところを探してマッチングを実現してきました。しかし、ダイレクトに日本のメーカーと海外のバイヤーをマッチングできる場があれば、日本のメーカーが輸出に参入するチャンスが増えるのではないかと考えたのです」

そこで昨年11月にビジネスマッチングのプラットフォーム「FOOBAL」をスタート。名前の由来はフード×グローバルだ。

登録会員はデータの相互閲覧が可能で、マッチングした会員同士は専用のチャットルームで商談することもできる。

同サイトは経済産業省の「第8次ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の採択事業として補助金を受け、オープンイノベーションを用い、1年という短期間で構築された。

「メーカー、バイヤーとも登録は無料で、商談成立に当たって弊社を通す必要はありません。もちろん要望があれば、そこからは事業としてサポートします。将来的に会員数がもっと増えれば、有料会員枠をつくり、貿易に有益な情報提供を行っていくことも考えています」

現在は約90社の登録があり、500アイテムほどの食品が並ぶ。今期の目標は300社、3千アイテムで、海外バイヤーへの働きかけも行っている。

さらに日本を軸にしたグローバルなネットワークを構築することも構想中だ。

「米国で売れるお菓子は、欧州でも売れますが、グローバルなつながりがないために、紹介できていないといったことがよくあります。日本を軸にしたグローバルなグループ(ジャパングローバルネットワーク)として交渉していける有機的なグループづくりを目指しています。日本の企業が団結すればもっと輸出を促進できるでしょう」

政府も輸出を促進。海外進出の足掛かりに

もともとは田島代表が友人に頼まれてタイにお菓子を輸出するところから事業をスタートし、会社の規模を大きくしてきた。

座右の銘は「報恩感謝」で、顧客に恵まれ、15年の経営の中で、代金が払われなかったといったトラブルはゼロだという。

「一番大変だったのは東日本大震災の後です。原発事故の影響で、日本の食品の輸出がストップしました。あの大変さに比べると、コロナや為替の影響は微々たるものです」

今後は輸出国の拡大も計画中で、コロナが落ち着き、海外を飛び回っているという田島代表。

「アフリカや南アジアなど、日本食の需要を掘り起こせる国はまだまだあります。政府も海外輸出を推進する方針があるので、『FOOBAL』を戦略ツールとして使っていただき、海外展開への足掛かりにしていただければと思います」 

会社概要
設立 2007年5月
資本金 2,000万円
売上高 15億2,031万円
(2021年12月期)
本社 東京都江戸川区
従業員数 15人
事業内容 食品・日用雑貨品等の輸出業・卸売業
https://www.tapit.jp/