経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

バイオマス接着剤の販促とGIR工法の普及へ。2つの事業で攻めに転じる オーシカ 堀口和秀

オーシカ 社長 堀口和秀

合板などの成形に特化した木質用接着剤のシェアが50%を超えるオーシカ。日本の戸建て建築の約半分がオーシカに支えられていると言える。原材料費の高騰や開発の遅れに苦しんだ2022年に対し、今年はコロナ後を見据え、守りから攻めの事業に転じる。(雑誌『経済界』2023年5月号「注目企業2023」特集より)

オーシカ 社長 堀口和秀

オーシカ 社長 堀口和秀 ほりぐち・かずひで

2025年に創立120周年を迎えるオーシカ。事業の2本柱は、戸建て建築の壁や梁に使う「合板」「集成材」の製造に使用される木質用接着剤の製造と、それらを用いた木製建材の製造・販売だ。

コロナ禍やウクライナでの戦争、インフレなどの影響を受けて、足踏みを余儀なくされた22年に対して、23年は「攻めの年」にするという。

「インドネシアでは、家具製造関連を中心に当社製品の需要が伸びています。特に当社は30%を超えるトップシェアを誇り、水性高分子イソシアネート系接着剤を製造する合弁会社の工場を持っています。従来は年間3千トン規模でしたが、現在は倍の年間6千トン供給できる体制を整えました」

東南アジアの旺盛な需要増がこの背景にある。

一方、日本国内はコロナ禍で対面での新製品テストなどが思うようにはできなかった。加えてウクライナでの戦争の影響で木材が輸入されなくなり、インフレによる原材料費や輸送コスト高騰の影響を受けるなど、計画通りに進まなかった部分もあった。だが今年に入り、コロナ後の展望が見えてきたため、堀口社長は2つの大きな目標を掲げている。

「一つは、カーボンニュートラルを実現する社会で求められる、バイオマスを活用した接着剤『リグニンフェノール』の販売拡大。もう一つは、木造高層建築などの接合部に使うGIR工法の普及です。この2つの拡大・普及のため、さらに本腰を入れて取り組んでいきます。その促進のため、化成品事業部内に営業戦略グループ、建材事業部内に木造建築推進グループを新設しました」

木造建築物は、人が入居する木造住宅では規制が厳しい一方、養鶏場などの畜舎は規制が弱いためコストも抑えられるという。また、近年の畜舎の大規模化にも適するため、提案を増やしていく方針だ。

オーシカで驚くのは技術開発への注力ぶりだ。関連会社を除く160人のオーシカ社員のうち、約40人が自社研究所の研究員だ。

「私たちの商品は基本的に人目に触れません。見えないところだからこそ品質にこだわり、磨き抜く。これが私たちの合言葉です」 

会社概要
設立 1943年3月
資本金 4億1,785万円
年商 296億円(2022年3月期)
本社 東京都板橋区
従業員数 160人
事業内容 接着剤、工業薬品、合板、木材加工品の製造販売・営業
http://www.oshika.co.jp/