ハイスペックな公認会計士や財務アドバイザリー人材の登録制コミュニティを持ち、M&Aや経営管理など案件ごとにマッチした専門家でチームを組成して企業を支援するサービス「ProAttend(プロアテンド)」。「専門家と経営者の両方の満足度の最大化を目指す」というaudienceの和田壮司代表に話を聞いた。(雑誌『経済界』2023年9月号 総力特集「人材育成企業2023」より)
プロ集団のコミュニティ「ProAttend Club」を開始
スキルや業務経験豊富なフリーランスの公認会計士・財務アドバイザリー人材が増えているが、その能力を最大限に生かせる場所をつくりたいと考えた和田代表。設立当初は10人のネットワークで始めたサービスも、昨年6月から公認会計士や財務アドバイザリー人材のフリーランスコミュニティ「ProAttend Club(プロアテンドクラブ)」のデータベース運用を開始し、システムへの登録者は2023年6月現在約60人となっている。現在の案件稼働率は3割ほどで、登録すると案件紹介のほかセミナーや、交流会への参加、コワーキングスペース利用といったサービスを受けられる。入会金や年会費はかからない。
和田代表自身、大手財務アドバイザリー会社を経て独立しており、最初は大手の看板がなくなることへの不安を経験したという。
「請け負った仕事をしている期間は、新しい案件の発掘がなかなかできませんし、1人では請け負える範囲や案件規模が限られます。しかし、ProAttend Clubに登録してもらうと、自分で仕事を探す手間が省ける上に、ハイスペックのプロフェッショナル集団の一員として大きな案件にも携わることができます」
企業と登録するメンバーが直接契約するのではなく、再委託型の財務アドバイザリーサービスで、audienceが主契約者となる。案件の精査と専門家の選択をしっかり行っており、ミスマッチが少なく、双方の満足度も高い。大手とは違い、家賃や人件費などの間接コストがかからないため、リーズナブルな価格でサービスを提供しているのも特徴だ。
業務内容は、財務デューデリジェンスやPMIなどのM&A領域を中心として、組織再編検討支援や内部統制構築支援などのリスクマネジメント、ベンチャーへの資金調達支援やIPO準備支援、月次決算早期化支援や国際会計基準導入支援などの財務アドバイザリーサービスを提供している。
同社ディレクターの山口洋平氏は「コロナ禍を経て、働き方の自由度が増し、フリーランスへのクライアントの理解も進んでいる」と話す。
クライアントは大手の会計事務所に依頼するよりもお手頃な価格でハイスペックな人材による質の高いサービスを受けることができ、リピート利用も多いという。最近では、プロフェッショナルファームからも人員不足を補う人材バンクとしても利用されている。独立してフリーランスになっても活躍の場は広がる一方だ。
フリーランスもチームでやりがいと高報酬を望める
登録に当たっては、採用プロセスと同様、職務経歴を入力し、面談で専門分野と人柄の確認がある。入会に必ずしも公認会計士や税理士の資格は不要で、実務経験重視だ。
実際の登録メンバーたちからは次のような声が寄せられている。
「投資ファンド会社を経営していますが、手が空いている時にスポットで入ることができるのも魅力」(須藤研介・米国公認会計士/米国弁護士)、「会社にいた時のようなチームでの仕事のやりがいを持ちつつ、フリーランスという自由な立場で、高い報酬が得られる」(海保文吾・公認会計士/税理士)、「案件をしっかり品定めして紹介してくれるので、安心して仕事に取り組める」(知場晶平・公認会計士)。
まずは登録者数100人を目標に、今後は品質の維持向上と組織の信用力を高めながら、社会に認められるプロフェッショナル集団を目指すという和田代表。
「われわれのサービスを通して、大きな組織に属していなくてもやりがいのある大きな仕事ができることを証明したい。その結果、クライアントからの依頼も増え、優秀な人たちがどんどん登録してくれるという好循環を生みたい。登録メンバーの働く環境をよりよくしていくことを一丁目一番地に置き、『登録してよかった』と思ってもらえる充実したコミュニティを運営し、数多くの案件を開拓していきたいです」
会社概要 設立 2012年10月 資本金 1,000万円 本社 東京都千代田区 従業員数 3人 登録者数 57人(2023年6月現在) 事業内容 財務アドバイザリーサービス、ハイスペック人材が登録するフリーランスコミュニティの運営 https://proattend.jp/ |