経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

プラントベースを武器に成熟した市場の枠を切り開く 東 義和 TWO

東義和 TWO azuma ceo

日本でも若い世代を中心に増えてきた「フレキシタリアン」にも人気のプラントベースフードブランド「2foods」 。同ブランドのカフェを運営するTWOは、プラントベースフードに限らず、その卓越したマーケティング力から生み出される新商品は注目され、大手企業とのコラボ商品も相次いでいる。文=井上 博(雑誌『経済界』2024年2月号より)

東 義和 TWO代表取締役CEOのプロフィール

東義和 TWO azuma ceo
東 義和 TWO代表取締役CEO
あずま・よしかず 2005年、PR会社マテリアルを設立したのち、14年にウェルビーイングカンパニーとしてTWOを創業。21年にプラントベースフードブランド「2foods」を立ち上げる。

プラントベースフードの新市場を開拓

 東京の渋谷、銀座、八重洲に店舗を構える「2foods」は、オムライスからカレー、ハンバーガー、担々麺、ナゲット、そしてドーナツなどのスイーツまで、さまざまなプラントベースフードが楽しめる飲食店として人気となっている。

 「プラントベースフードというと代替肉をイメージされる方も多いと思いますが、当店のメニューはヘルシーと相反するジャンクが共存する『ヘルシージャンクフード』 。ファストフードのラインアップのようでありながらプラントベースであることが特徴で、いつものファストフードと同じ気軽さでプラントベースフードが食べられると、リピーターも多いです」と、人気の理由を説明するのはTWO代表取締役CEOの東義和氏。

 プラントベースフードというと、美と健康意識の高い人、ベジタリアンが食べるというイメージが強く、中には低カロリーやグルテンフリー、低トランス酸などこだわりを持つ人も多い。一人一人嗜好やこだわりが違うためにターゲットが絞り込みにくく、ここにプラントベースフード市場の難しさがある。

 「ベジタリアンのお客さまがそうでない友達と一緒に食事が楽しめるのも当店の良さです。食べた後に『おいしいけど、これってプラントベースなの!』と、驚かれる方も多いですが、ベジタリアンもそうでない人も、一人でも友達や仲間と一緒でも、いつものファストフード店のような気軽さで楽しく食事ができるのが『2foods』です」

 東代表の言葉通り、食事をする場所が限られがちなベジタリアンだけではなく、「みんなで食事を楽しむ」という新しいニーズを開拓し、同社はプラントベースフード市場の枠そのものを拡大させた。

 最近、米国のZ世代を中心に急増する週に何回かは菜食を食べる「フレキシタン」(フレキシブルとベジタリアンの造語)が、日本の若い世代にも増えている。「2foods」が「フレキシタン」にも人気の理由は、そうでない友達や家族などとの食事を楽しむ場を提供していることにありそうだ。

 東代表は、2005年に企業やサービスのブランドコミュニケーションを手がけるPR会社を設立。14年に「マーケティングを自由に、一からやってみたい」と、TWOを起業し、ライフスタイルブランド「BARTH」、21年に「2foods」を立ち上げた。22年にアース製薬が「BARTH」ブランドを買収したことで、同社のマーケティング力、商品企画力に注目が集まった。特に同ブランドの中でもロングセラーの入浴剤は「毎日の入浴がシャワーだった人が、お風呂につかるようになった」と言われ、生活習慣を変えた入浴剤として業界に新風を巻き起こした。

 同社は、23年7月に「2foods」ブランドのサブブランドの第一弾として味の素から開発サポートを受けたプロテイン「2Protein」を、同年9月にはカゴメと共同開発したエナジードリンク「2Energy」を発売し、大手企業とのコラボ商品を相次いで発表した。 

 「『2Protein』はタブレットとパウダータイプがあり、今までのプロテインのようにシェーカーで混ぜる必要がなく、アニマルフリー、乳フリーのプラントベース。特にタブレットはいつでもどこでもプロテインを摂ることができます」

 新型コロナ以降、健康意識の高まりやダイエット目的でプロテインを摂る人たちが急増。最近では仕事のパフォーマンスを上げるために摂るビジネスパーソンも増えてきたが、そこで問題になるのが水や牛乳などと一緒にシェーカーで混ぜる必要があることと、使う度にシェーカーを洗う面倒さ。この2つの問題を解決した「2Protein」は、ビジネスパーソンのニーズに応え、今後、拡大が予想されるプロテインのオフィス市場を切り開く先駆け的な商品としても業界から注目されている。

プラントベースのエナジードリンクも好評

TWO 2energy

 「今やエナジードリンクが若い世代では当たり前のように飲まれていますが、そこに含まれる成分やカロリーを気にしている人も多いです。『2Energy』はカフェインフリー、ゼロシュガー、ゼロカロリー。プラントベースでありながらエナジードリンク特有のジャンクな味や刺激感はそのままという今までにない缶飲料です」と、東代表は話す。

 エナジードリンクを飲むのは、仕事や勉強で疲れたとき、集中したいとき、もうひと頑張りしたいときなど、気合を入れたいときのようなポジティブな目的が多いが、その目的のために飲料メーカー各社が成分や刺激感、缶のデザインを競い合い、エナジードリンク市場を食い合っているのが現状である。

 「デート前など仕事とプライベートを切り替えたいとき、予定のない休日など、毎日の生活の中で『ちょっとしたポジティブ感が欲しいけど、エナジードリンクでは重いかな』という場面は意外とあります。そういったニーズに応えたのが『2Energy』で、刺激感もあるがカフエインフリー、ゼロシュガー、ゼロカロリーと重くない。エナジードリンクのヘビーユーザーからも『ちょうどいい』と、好評です」

 今やエナジードリンクは世代を超えて広がり、最近では「逆エナジードリンク」と呼ばれるリラックスしたいときに飲む商品もヒットする中、「ちょっとしたポジティブ感が欲しい」というニーズに応えた「2Energy」がエナジードリンクの新しいニーズを開拓する。

 入浴剤、プラントベースフード、プロテイン、そしてエナジードリンクといった特色のある市場に新規参入し、それぞれの市場で存在感のある商品を提供するTWO。次はどんな市場に参入するのか、同社の動きに注目したい。