日銀が導入したマイナス金利の余波が個人向け国債の募集に影響を及ぼし始めている。財務省は2月3日、個人が買える国債のうち期間10年の新型窓口販売方式の2月分の募集を中止すると発表。日銀のマイナス金利導入で、利回りがマイナスになる見通しとなったためで、10年物の募集中止は初となる。長期金利の急低下で個人が買える国債の魅力が薄れ、預金金利も下がる中、資産運用先の選択肢は狭まりそうだ。
日銀がマイナス金利の導入を決めて以降、長期金利は急落している。財務省が2月2日実施した10年物国債の入札では、落札利回りが平均0.078%と過去最低を更新した。
新型窓販にはほかに2年債と5年債があるが、流通利回りの低下を受け、既に募集を取りやめている。この方式の国債はすべて募集がなくなった。
麻生太郎財務相は2月5日の閣議後会見で、日銀のマイナス金利導入が国債市場に及ぼす影響について「戦後やったことがないので戸惑いがあるが、現段階で一概には(影響があると)言えない」と述べた。
ただ、5日の国債市場では長期金利の指標である新発10年債の利回りが一時、前日終値より前日より0.030%低い0.025%と過去最低を更新するなど金利の下落基調には歯止めがかからない。市場関係者の間では、マイナス金利の影響で金利は下げ基調が続くとの見方も根強い。
財務省では、元本や最低利回りが保証されている個人向け国債の募集はこれまで通り実施する。これにより、引き続き「国債の個人保有を促進していきたい」(麻生氏)というが、利回りが低下する中で、どこまで個人の関心を引きつけられるかは不透明な状況だ。
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