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南シナ海判決で意識は「日中」から「日韓」へ――財務省

ハーグの仲裁裁判所が南シナ海における中国の権益を否定する判決を下したことで、日中財務対話の年内開催が厳しくなっている。判決前から日本や米国は伊勢志摩サミットなどで対中包囲網の構築を進めており、中国側は不快感を示していた。判決で国内の不満が高まる中、中国指導部は強硬姿勢を貫かざるをえなくなっている。

前回の日中財務対話は昨年6月、北京の釣魚台で、麻生太郎財務大臣と楼継偉財政部長が出席して行われた。悪化していた日中関係に改善の兆しが見えたこともあり、約3年2カ月ぶりの開催だった。開催地は交互であるため、財務省は今年に入り、6回目となる日中財務対話の東京開催の準備を進めてきた。

しかし、仲裁裁判所が中国の主張を完全に否定する結論を下したことで、中国国内の不満が噴き出す恐れが強まった。

習近平指導部は判決を「紙くず」として無視すると同時に、国民の怒りの矛先を日本や米国に向けさせようと躍起だ。そんな状況では、中国側が東京で開く財務対話に「出席するのは難しくなっている」(関係者)。

にらみ合いが続く日中とは対照的に動きがありそうなのが、日韓だ。第7回の日韓財務対話は年内に韓国で行われる。

慰安婦問題をめぐって韓国国内には対日強硬論が根強く、昨年2月には日韓通貨スワップ協定が終了した。しかし、昨年末の安倍晋三首相と朴槿恵大統領の日韓合意から政府間関係は改善の兆しがみえる。北朝鮮が挑発行為を続けており、協力する必要性もある。

さらに、中国が仲裁裁判所の判決を無視し、敢然と「法の支配」に挑戦する姿勢を示したことで、日本や米国は韓国取り込みが不可欠になっている。

韓国側も7月に就任した李俊揆駐日大使が通貨スワップの再開をほのめかすなど秋波を送っている。このため財務省も「日中」より「日韓」の姿勢が強まりそうだ。

政治、経済のリスク相次ぐ今後の中国

 
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